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2023年4月23日 (日)

新線試乗記-相鉄・東急新横浜線

東海道新幹線の新横浜駅で降り、改札を出たら、正面の吹き抜け空間は相模鉄道、略して相鉄(そうてつ)と東急電鉄の新駅開業を祝う大きな横断幕や柱巻き広告で、あたかも満艦飾の状態だった。ここはJR東海の管理エリアのはずだが、おなじみ「そうだ京都、行こう」の広告も埋もれてしまって目につかない。

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新幹線新横浜駅正面ロビーの横断幕
 

新幹線とJR横浜線、横浜市営地下鉄ブルーラインが交わるこの駅に、2023年3月18日、もう一つ新しい路線が加わった。相鉄の羽沢横浜国大前(はざわよこはまこくだいまえ)から東急の日吉(ひよし)に至る新横浜線で、相鉄と東急が相互に直通運行する。

実質的に1本の路線だが、西側の羽沢横浜国大前~新横浜間4.2kmは相鉄が管轄する相鉄新横浜線で、東側の新横浜~日吉間5.8kmは東急管轄の東急新横浜線だ。区別のために、路線名称に社名が含まれている。

このうち相鉄新横浜線は、相鉄本線に接続する西谷(にしや)~羽沢横浜国大前間が、相鉄・JR直通線の一部として2019年11月30日に先行開業しており、今回はその延伸ということになる。

JR直通線は当時、横浜駅をターミナルにしてきた相鉄電車が初めて都心に進出するというので、ひとしきり話題になった(下注)。しかし今から思えば、それはまだ前哨戦のようなものだ。東急の路線網は渋谷、目黒にとどまらず、地下鉄線を介して新宿(三丁目)、池袋、永田町、大手町など主要地点をカバーしている。今回の接続で、都内でネイビーブルーの相鉄車両が見られるエリアは一気に拡大した。

*注 JR直通線については、本ブログ「新線試乗記-相鉄・JR直通線」参照。

一方、東急側から見ると、相鉄線からの入れ込み増だけでなく、自社沿線から新横浜への直行ルートが開かれたことにも大きな意義があるだろう。東海道新幹線で東海・関西地方へ移動するのが便利になる(下注)とともに、新横浜周辺にある横浜アリーナや日産スタジアムといった大規模集客施設のアクセス改善にも貢献するからだ。

*注 これに呼応して、新横浜始発で現行のひかり号(6:00発)より新大阪に先着する臨時のぞみ号(6:03発)が設定された。

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新横浜線新横浜駅、東急方面ホーム
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(左)目黒線に直通する相鉄21000系、海老名駅にて
(右)目黒線から来る埼玉高速鉄道2000系は新横浜まで

新幹線で新横浜に来たことは何度かある。しかしすぐに地下鉄か、裏手にある横浜線に乗り換えていたので、正面の北口ロビーに続くペデストリアンデッキに上がるのは初めてだ。案内表示に従い、突き当り右側の下りエスカレーターに乗った。高低差16mという長いエスカレーターはそのまま地下に潜っていき、降りるとすぐ左手に相鉄・東急の改札口が見えた。これはわかりやすい。

地下コンコースは地下鉄開業時からあるものの、新横浜線の改札が両側に出現して、今や地下街のように人が行き交っていた。全体が真新しいが、今日は開業から1週間以上が経過した27日、利用者にとってはすでに日常風景なのだろう。もの珍しげにあたりを見回しているのは私くらいのものだ。

改札横には、相鉄と東急の券売機が仲良く並ぶ。その上に掲げられた路線図が、2社のネットワークに新横浜駅が組み込まれたことを象徴的に示している。

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新横浜駅
(左)JR駅正面のペデストリアンデッキ
(右)長いエスカレーターを降りると新横浜線の改札階に
 

さっそく改札を入った。側壁に設置されたランダムな塗り絵のような壁面パネルは、駅周辺の地層断面図だそうだ。何ともマニアックな題材だが、地下鉄と交差するためにホーム階は地下33mとかなり深い。それで、鶴見川が運んできた泥や砂礫から成る沖積層は通り越して、その下の上総(かずさ)層群と呼ばれる基盤層に達している。

ホームは2面あり、1・2番線が相鉄方面、3・4番線が東急方面になっていた。しかし、線路は3本しかなく、中央の線路を2番線と3番線が共用する形だ。

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(左)地層断面図の壁面パネル
(右)改札からホームへはエスカレーターを折り返して降りる
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中線は2、3番線で共用
 

まずは東急新横浜線で日吉まで行ってこようと、3番線に停車中の新型電車、都営6500形に乗り込んだ。当駅始発で目黒から都営三田線に入る西高島平(にしたかしまだいら)行だ。上り方面は、相鉄線からの乗入れ列車だけでなく、こうした当駅始発便もある。それで日中の運行は、相鉄線4本に対して東急線は6本だ。東側の需要を大きく見込んでいることが見て取れる。

東急新横浜線はほとんど地下を行く。トンネルはシールド工法特有の円形断面だ。大倉山の手前まで市道環状2号線直下を、その後はおおむね東横線の下を通っているそうで、かぶりつきで見ていても、直線主体の良好な線形が続いている。中間の新綱島(しんつなしま)に停車した後、地上に出たと思ったら、目の前がもう日吉駅だった。所要7分ほど。従来の菊名乗換えに比べて、画期的な時間短縮が図られている。

駅の手前で、目黒線(3番線)と東横線(4番線)に分岐するポイントを渡った。新横浜線は目黒線の延伸だとばかり思っていたのだが、時刻表を見ると、日吉で東横線に進む電車も3本に1本程度設定されている。やはりJR直通線との対抗上、渋谷、新宿への直通ルートは確保しておきたかったようだ。

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日吉駅
駅手前に目黒線(右)と東横線(左)の分岐がある
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(左)新横浜線の発着表示はLEDに
(右)下り方面に新横浜線の紫帯が加わった
 

日吉から戻る途中、中間の新綱島駅を訪れた。並走している東横線の綱島駅とは、綱島街道をはさんで100mほどしか離れていない。しかし、それは平面図での話だ。綱島のプラットホームは高架上、新綱島のは地下35mと、垂直距離がかなりある。新線開通で目黒方面へ直行できるようになったのはメリットだが、ホームに降りるまでに少なからず時間を要する。

周辺では、地上29階建てのタワーマンションを含む大規模な再開発事業が進行中だった。それで、駅といっても仮囲いの隅に地下出入口がぽつんとあるのみだ。今年の冬には地上部にバス用のロータリーができるらしいが、今のところ、商店街やバス停が集まる綱島駅前の賑わいとは雲泥の差がある。

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新綱島駅
(左)駅南口、現在は出入口がぽつんとあるのみ
(右)綱島駅との連絡ルート案内図
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(左)地下ホームのサインボード
(右)桃の木のデザインのガラスパネル
 

ちなみに工事現場の東隣は、そこだけ時計の針を巻き戻したかのような池谷家の緑あふれる屋敷地が広がっていて、桃園ではピンクの花が満開だった。綱島ではかつて桃の栽培が盛んで、ここはそのころの面影をとどめる貴重な場所なのだそうだ。新綱島駅の地下改札を入った正面壁面にも、それにちなんだ桃の木がモチーフのガラスパネルが見られる(上写真)。

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池谷家の桃園は花盛り
 

東急3000系の海老名行に乗って、新横浜から今度は相鉄新横浜線へ。こちらも長いシールドトンネルでおおむね環状2号線の下を進み、途中、東海道新幹線と浅い角度で交差している。羽沢横浜国大までは4.2kmと、都市近郊区間としては駅間距離が長い。といっても所要時間は4分。駅の手前に短い明かり区間があり、そこでJR直通線が左右から合流してくる。

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羽沢横浜国大駅
ホームから上り方を望む
相鉄新横浜線は直進、JR直通線は側方分岐
 

羽沢横浜国大駅は、先行開業の際にも降りたことがあるが、駅のようすに目立った変化はなさそうだった。改札前にある券売機は相鉄とJRのものだけで、運賃を示す路線図にも東急の文字は出てこない。ここは相鉄とJRの共同使用駅なので当然だが、東急との直通などまるでなかったかのようなそっけなさだ。

しかし、構内の案内表示は変化なしには済まされない。まず相鉄の路線図だ(下写真参照)。今まで目立つ位置に描かれていたJR線は隅に押しやられ、東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線、次いで東急目黒線、さらに目黒で接続する都営三田線、東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道と、俄然賑やかになった(下注)。ほんの数年前まで左半分の自社線のみだったことを思えば、劇的な変貌というほかないだろう。

*注 写真は上りホーム壁面のもの。下りホームの路線図では配置が逆になり、JR線が最上段に来る。

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停車駅案内図は俄然にぎやかに
(上)2019年JR直通線開業時
(下)2023年現在
 

発車案内板もしかり。1番線に海老名(えびな)とともに、いずみ野線の終点、湘南台の名が出現している。JR線直通列車は従来通り海老名発着だが、東急線直通は海老名と湘南台発着がざっと半々の割合で設定されているからだ。おおむね、海老名発着便は目黒線直通、湘南台発着便は東横線に直通する。

一方、2番線ははるかに複雑だ。行先が遠方で、かつ多岐にわたるので、終点まで行く人はともかく、途中駅で降りたいときにどの列車に乗ればいいのか、初心者は頭を抱える。武蔵小杉、渋谷、池袋へは運賃の異なる2ルートがあるし、土休日の朝には別ルートを通る川越行きと川越市行き(下注)が前後して発車するなど、もはやトリビアとして語られるほどだ。

*注 前者は相鉄・JR直通線、埼京線、川越線経由。後者は東横線、副都心線、東上線経由。

そのため、発車案内の種別欄はルートごとにシンボルカラーで色分けされていて(下写真参照)、水色は目黒線方面、緑はJR線方面、ピンクは東横線方面を示している。これとて、いつも利用している人ならピンと来るだろうが、一見客には判じ物の世界かもしれない。

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発車案内の上り種別欄はルートごとに色分け
 

再び電車に乗って、起点となっている西谷駅で降りた。新横浜線の電車は、外側ホームの1番線(下り)と4番線(上り)を使っている。先行開業の時点では日中30分に1本電車が入るだけで、のどかな雰囲気が漂っていたが、今や発着は10分間隔に縮まった。それもネイビーブルーの自社車両に加えて、赤帯の東横線車両、青(水色)帯の目黒線車両、緑帯のJR車両と、多彩な顔ぶれだ。

きょうは、新横浜駅で相鉄の一日乗車券を買ってきた。新横浜線の観察を終えた後は、久しぶりにいずみ野線を含め全線を乗り鉄し、最後に横浜へ向かおうと思っている。1番線に次は何色の電車が入ってくるだろうか。

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西谷駅下りホーム
 

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