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2022年7月

2022年7月27日 (水)

イギリスの保存鉄道・観光鉄道リスト-イングランド北部編

英語版ウィキペディアによると、保存鉄道 Heritage railway は「生活史としての過去の鉄道シーンを再現または保存するために運営されている鉄道」と定義されている。そしてイギリスには、こうした路線が100から150もあると書かれている。

鉄道発祥の地であるイギリスは、鉄道の保存運動でも先鞭を着けた国だ。1951年に、ボランティアが運営する世界初の保存鉄道が、ウェールズのタリスリン鉄道 Talyllyn Railway で始動している。1960年代以降、ミドルトン鉄道 Middleton Railway や有名なブルーベル鉄道 Bluebell Railway がそれに続き、国鉄の合理化政策「ビーチングの斧 Beeching Axe」で廃線が急増したこともあって、活動が全国に広まっていった。

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キースリー・アンド・ワース・ヴァレー鉄道ハワース駅(2011年)
Photo by David Dixon at wikimedia. License: CC BY-SA 2.0
 

保存鉄道と一括りに呼ばれてはいるが、内容は路線によってさまざまだ。蒸気機関車、ディーゼル機関車、気動車、トラムなど取り扱う動力車の種類はもとより、保有車両数、軌間、走行線の長さ、年間運行日数などの運営の規模や状況もまったく違う。

その一部を「保存鉄道・観光鉄道リスト」で、地方別にまとめてみた。保存鉄道も一般客を受け入れている以上、観光アトラクションの要素が多分にある。それで、保存鉄道ではない観光路線や、いわゆる絶景車窓の一般路線も一緒に取り上げている。一方で、保存鉄道であっても小規模なものはやむなく割愛した。標準軌の場合は走行線が1マイル(約1.6km)以下、狭軌では半マイル(0.8km)以下で蒸気運転でないものがその目安だ。

また、路線に焦点を絞ったリストなので、鉄道博物館やスチームセンターについては、構外に専用の走行線を持たない、またはあっても短距離の場合は載せていない。ヨーク York やコヴェント・ガーデン Covent Garden のような主要な博物館の名がないのはそうした理由による。

「保存鉄道・観光鉄道リスト-イングランド北部」
http://map.on.coocan.jp/rail/rail_englandn.html

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「保存鉄道・観光鉄道リスト-イングランド北部」画面
 

イングランド England は広くて、該当する鉄道も相当数あるので、リストを3分割した。北部編では、ノース・イースト North East、ヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー Yorkshire and the Humber、ノース・ウェスト North West の3地方 Regions にある路線を取り上げている。

特に興味を引かれた鉄道をいくつか挙げてみよう。まず、標準軌から。

項番10 ノース・ヨークシャー・ムーアズ鉄道 North Yorkshire Moors Railway

ノース・ヨークシャー・ムーアズ国立公園の山野を貫いて走るこの路線は、イングランド北部の代表的な標準軌保存鉄道だ。試しに「イギリスの保存鉄道ベスト10」に類する見出しをつけた本国のウェブサイトをいくつか覗いてみたが、必ずと言っていいほどランクインしている。

どこにそれほど魅力があるのだろうか。一つはそのルートだ。拠点駅のピカリング Pickering からグロスモント Grosmont に至る29kmは、中間に峠を挟んでいる。列車は、蛇行する狭い谷の中をゆっくりと上っていく。

峠からの下り坂では、途中に19世紀の構内景観をとどめるゴースランド Goathland 駅がある。映画ハリー・ポッターで、ホグワーツ特急が到着するホグズミード Hogsmeade 駅のロケ地にもなったので、現地を通るのを楽しみにしている乗客も多いことだろう。

終点のグロスモントは、ナショナル・レール(旧国鉄線、下注)のエスク・ヴァレー線 Esk Valley Line との接続駅だ。一部の列車は同線に乗り入れて、終点である北海の港町ウィットビー Whitby まで進む。町は人気の観光地で、旧市街や海を見下ろす高台の修道院跡など見どころが多く、保存鉄道の事実上の目的地とみなされている。

*注 ナショナル・レール National Rail は、上下分離された旧イギリス国鉄 British Rail (BR) の路線網で列車を運行する事業者の総称。一方で線路、信号、駅等、路線網のインフラを所有するのは、公共企業体のネットワーク・レール Network Rail 社だが、本稿では、路線に言及する場合も「ナショナル・レール」と記した。

ピカリング(下注)から蒸気列車で1時間40~50分、ウィットビーで昼を過ごして午後の列車で戻れば、1日分の手ごろな観光コースになる。これも支持される理由の一つだろう。なお、利用客が集中するため、直通便は予約制だ。

*注 ピカリングへは、ヨーク York やモールトン Malton から路線バスの便がある。

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ゴースランド駅を後にする80135号機(2006年)
Photo by Nick Wise at wikimedia. License: CC BY-SA 3.0
 

項番16 キースリー・アンド・ワース・ヴァレー鉄道 Keighley and Worth Valley Railway

キースリー・アンド・ワース・ヴァレー鉄道も「ベスト10」サイトの多くに名を連ねる標準軌の路線で、保存鉄道としての環境も似ている。ウィットビーに相当するのはハワース Haworth という、ワース・ヴァレー(ワース川の谷)Worth Valley の斜面に立地する小さな町だ。駅でいうと、終点オクセンホープ Oxenhope の一つ手前になる。

ハワースとその周辺はブロンテ・カントリー Brontë Country と呼ばれ、19世紀イギリス文学の傑作「嵐が丘」や「ジェーン・エア」などの作者ブロンテ三姉妹ゆかりのスポットが点在している。早くからウェスト・ヨークシャー West Yorkshire の人気観光地の一つで、石畳の古い町並みと名作の舞台を巡る人々が常に行き交う。

蒸気列車は、キースリー Keighley 駅(下注)西側の3・4番線から出発し、たおやかな緑の谷を眺めながら終点まで8kmを25分で走りきる。ブロンテ姉妹が存命中にはまだ鉄道が通じていなかったとはいえ、地域にとって鉄道は、文豪と並ぶ重要な観光資源になっている。

*注 キースリーへは、リーズ Leeds から列車で30分以内。

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オークワース Oakworth 駅の出発シーン(2019年)
Photo by ARG_Flickr at wikimedia. License: CC BY 2.0
 

項番31 イースト・ランカシャー鉄道 East Lancashire Railway

ヨークシャーの保存鉄道を紹介したので、ペナイン山脈 Pennines の反対側、ランカシャー Lancashire の代表的な標準軌蒸気鉄道も挙げておきたい。

マンチェスター大都市圏 Greater Manchester の北縁、ベリー Bury の町に拠点を置くイースト・ランカシャー鉄道だ(下注)。旧 国鉄ベリー駅を再活用したベリー・ボルトン・ストリート Bury Bolton Street から、北と東の2方向に路線が延びている。ルートは全部で20kmあり、往復すると2時間30~40分を要する。

*注 ベリーは行政区分上、マンチェスター大都市圏だが、歴史的にはランカシャーに含まれている。

この鉄道は前2者と異なり、沿線に著名な観光地を持たない。基幹産業だった繊維工業が衰退するなか、観光開発を推進するため、地元自治体の支援で設立された保存鉄道だからだ。鉄道の土地と施設は公有で、鉄道会社はそれをリースして、列車を走らせている。

運行状況を見る限り、この事業は成功しているようだ。シーズン中は週5日の運行で、閑散日が蒸機3往復、繁忙日は気動車3往復が加わって計6往復の設定がある。比較的長距離なので、需要が堅調でなければ、これだけの体制は組めないだろう。ベリーへは、マンチェスター・ヴィクトリア駅からメトロリンク Metrolink のトラムで30分(下注)。市内からも気軽に訪問できる保存鉄道だ。

*注 メトロリンクのベリー駅と保存鉄道駅の間は少し距離があり、徒歩で6分ほどかかる。

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アーウェル Irwell 川を渡る蒸機「オーステリティ Austerity」2890号(2018年)
Photo by ARG_Flickr at wikimedia. License: CC BY 2.0
 

項番25 レークサイド・アンド・ハヴァースウェイト鉄道 Lakeside and Haverthwaite Railway

湖水地方 Lake District の中心に横たわるウィンダミア Windermere(下注)は、南北18km以上の長さをもつイギリス最大の湖だ。レークサイド・アンド・ハヴァースウェイト鉄道の出発駅レークサイド Lakeside はその南端で、湖面を渡ってきたフェリーが着く埠頭のすぐ後ろに控えている。発着時刻も連動させてあり、10~15分の待ち時間で船と列車を乗り継げる。

*注 ウィンダミアはもともとそれ自体が湖の名だが、湖の近くにある同名の町と区別するため、「ウィンダミア湖 Windermere Lake」と呼ばれることがある。

いかにも緊密な連絡態勢は、本来、この鉄道が航路との接続を意図して建設されたことに由来する。国鉄時代の旧線はレークサイドから南下して、ランカスター Lancaster から来るファーネス線 Furness line に合流していた。復活した保存鉄道のルートは、残念ながら5.1km先のハヴァースウェイト Haverthwaite で途切れていて、あくまで地域内の観光アトラクションという位置づけだ。

ルートは、湖から流れ出すレヴン川 River Leven の右岸に沿っている。走りだして少しの間、水量豊かな川面が覗くが、やがて木々に隠されてしまう。片道18分はちょっとあっけないかもしれない。ハヴァースウェイトの駅前からは、ウィンダミア、ケンダル Kendal、あるいはファーネス線方面へのバスの便がある。

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レークサイド駅の国鉄110形気動車(2016年)
Photo by Andrew at wikimedia. License: CC BY 2.0
 

項番5 タンフィールド鉄道 Tanfield Railway
項番18 ミドルトン鉄道 Middleton Railway
項番6 ビーミッシュ博物館 Beamish Museum

イングランド北部は、鉄道黎明期の歴史に数々の足跡を刻んでいる。

ニューカッスル・アポン・タイン南郊に、蒸気保存鉄道のタンフィールド鉄道がある。この鉄道が使っているルートは1964年に廃止された炭鉱支線だが、その一部区間のルーツは、1725年に初めて敷設されたワゴンウェー Wagonway(下注)にまで遡る。当時は木製のレールを敷いて、石炭を積んだ貨車を馬に牽かせていた。ルートの谷側には、ワゴンウェーのために造られた世界最古の鉄道橋、コージー・アーチ Causey Arch も残されている。

*注 1830年代にレールロード Railroad、レールウェー Railway の名称が広まるまでのレールを用いた輸送手段は、ワゴンウェー(荷馬車道の意)と称される。

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コージー・アーチ(2011年)
Photo by boyward at wikimedia. License: CC BY-SA 3.0
 

一方、リーズ市内南部にあるミドルトン鉄道も、もとはワゴンウェーだが、こちらは1758年に初めて議会法で認可・設立された鉄道として、歴史に名を残した。その後、レールの改良、蒸気機関車の導入、標準軌への改軌と近代化が進められたが、1960年からは、ミドルトン鉄道財団 Middleton Railway Trust Ltd. によるボランティア運営の保存鉄道になった。両鉄道とも公式サイトで世界最古の鉄道とうたっているのは、こうした長い歴史を持っているためだ。

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ミドルトン鉄道ムーア・ロード Moor Road 駅(2018年)
Photo by Zath Ras at wikimedia. License: CC BY-SA 4.0
 

なお、ワゴンウェーや初期の蒸機の動態は、タンフィールド鉄道の近所にあるビーミッシュ博物館で見ることができる。ここは19世紀の都市と農村の日常生活を再現した大規模な野外博物館で、鉄道も重要なテーマの一つになっている。広い場内を一周する路面軌道や標準軌の蒸気鉄道があるほか、1820年代の鉱山軌道をモチーフにしたポッカリー・ワゴンウェー Pockerley Waggonway のコーナーでは、世界最古の機関車パッフィン・ビリー Puffing Billy のレプリカが実際に動いている。

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ワゴンウェーとパッフィン・ビリーのレプリカ機(2015年)
Photo by Barry Skeates at wikimedia. License: CC BY 2.0
 

項番14 セトル=カーライル線 Settle–Carlisle line

保存鉄道以外の標準軌路線でとりわけ高い人気を誇るのが、セトル=カーライル線だ。ナショナル・レールに含まれる準幹線で、「イギリスの絶景車窓」といったランキングでは、保存鉄道を押しのけて、常に上位を占めている。正式な区間は、リーズ=モーカム線 Leeds–Morecambe line から分岐するセトル・ジャンクション Settle Junction とカーライル Carlisle の間115kmだが、列車はリーズから直通だ(下注)。リーズ~カーライル間は気動車で2時間40分を要する。

*注 先述したキースリー・アンド・ワース・ヴァレー鉄道のキースリー駅にも停車する。

歴史をたどると、ここは1875年に、イングランド中部を地盤とするミッドランド鉄道が、スコットランド進出をもくろんで建設した速達路線だ。ライバルのロンドン・アンド・ノース・ウエスタン鉄道 London and North Western Railway を避けて直線的なルートを求めた結果、ヨークシャー・デールズ Yorkshire Dales の荒涼とした山中を延々と貫いていくことになった。

車窓の眺めでは、とりわけリブルヘッド Ribblehead からカービー・スティーヴン Kirkby-Stephen にかけての、氷蝕谷の高みをたどる区間がすばらしい。この間には、24のスパンを連ねて谷を渡るリブルヘッド高架橋 Ribblehead Viaduct(長さ400m)や、イングランド最高所の駅デント Dent(標高350m)など、見どころが点在している。

しかし、列車に乗っているだけでは、あっという間に通過してしまう。時間が許すなら、どこか駅で途中下車して、フットパスを歩きながら、心行くまで荘厳な山岳風景に浸ってみたい。

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LMS 8F形が牽くフェルズマン Fellsman 号がリブルヘッド高架橋を渡る(2012年)
Photo by ARG_Flickr at wikimedia. License: CC BY 2.0
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デント駅(2015年)
Photo by Kreuzschnabel at wikimedia. License: CC BY-SA 3.0
 

項番24 レーヴングラス・アンド・エクスデール鉄道 Ravenglass and Eskdale Railway

狭軌の保存鉄道では、レーヴングラス・アンド・エクスデール鉄道がよく知られている。軌間は381mm(15インチ=1フィート3インチ)で、もはや狭軌の範疇からも外れ、ミニマムゲージ(最小軌)に分類される。

起点は、ナショナル・レールのカンブリアン・コースト線 Cumbrian Coast line と接続するレーヴングラス Ravenglass だ。エスク Esk 川の三角江に面した小村で、鉄道はそこから山裾に沿うように内陸へ進んでいく。路線長11.3km、片道40分。狭い車内に閉じ込められる乗客にとってささやかな救いは、景色が開けるのが、行程の前半は左側の窓、後半は右側の窓とうまく振り分けられていることかもしれない。

起点のレーヴングラス Ravenglass は海沿いだが、意外なことに湖水地方 Lake District に含まれている。ただ、ウィンダミア Windermere やケジック Keswick といった観光の中心地から見ると、山地の裏側に当たり、道路でも遠回りを強いられる遠隔地だ。

不利な地理的条件にもかかわらず、鉄道ではシーズン中、毎日5往復から、繁忙期には10往復もの運行がある。しかもほとんど蒸機が牽いているのには驚くほかない。

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アートン・ロード Irton Road 駅の列車交換(2015年)
Photo by Peter Trimming at wikimedia. License: CC BY 2.0
 

項番19 ホイッスルストップ・ヴァレー(カークリーズ軽便鉄道)Whistlestop Valley (Kirklees Light Railway)

これも381mm軌間で、ごく最近まで地域名を冠して「カークリーズ軽便鉄道」の名で公開されていた路線だ。リーズ Leeds とシェフィールド Sheffield のおよそ中間にあり、炭鉱地域にかつてよく見られた標準軌支線の廃線跡を利用して、1991年に開業した。

2005年に観光開発企業に買収されて以来、クレイトン・ウェスト Clayton West の駅の周りに広場や遊具が増設され、小さな子ども向けのミニ遊園地化が進められた。蒸気列車はそのメインアトラクションという位置づけになる。とはいえ、艶光りする自家製蒸機が4.9kmの長距離を往復する本格的な路線であることに変わりはない。もとは標準軌線なので、ルートは直線的に延びていて、複線幅の広い線路用地や、長さ467mのミニマムゲージらしくない長大トンネルなど、興味深い沿線風景も見られる。

新ブランドのホイッスルストップは、警笛の合図で停車する小駅(=リクエストストップ)のことだ。個別の地名ではなく、鄙びた駅という一般的なイメージで集客増を狙ったのだろうが、鉄道の語が消えたのは少し寂しい気もする。

*注 軽便駅へは、ハダーズフィールド Huddersfield やデンビー・デール Denby Dale からバスの便がある。最寄りの停留所名は Kirklees Light Railway Station。

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スケルマンソープ Skelmanthorpe 駅
標準軌仕様の跨線橋が巨大に見える(2018年)
Photo by Zath Ras at wikimedia. License: CC BY-SA 4.0
 

トラムウェー(路面軌道)Tramway の保存鉄道はどうだろうか。

項番26 ブラックプール・トラム Blackpool Trams

イングランドの古典路面電車で真っ先に思いつくのは、やはりブラックプール Blackpool だ。言わずと知れた北西海岸のリゾート都市で、アイリッシュ海の海岸線に長いプロムナード(海岸遊歩道)が続き、そぞろ歩く人々でいつも賑わっている。

ブラックプール・トラムはこのプロムナードに沿って走る。1885年の開業で、南岸ブライトン Brighton のビーチにあるヴォルクの電気鉄道 Volk's Electric Railway とともに、イギリスで最後まで残った第一世代のトラムウェーだ。

使用車両の主力は、「バルーン Balloon」と称されたダブルデッカー車だが、イベントなどでは、タワー型パンタを載せたブラッシュ社製のレールコーチ Brush Railcoach、屋根なしの「ボート・カー Boat Car」などユニークな車両のオンパレードが見られた。しかし2012年以降、ボンバルディア Bombardier 社の新型トラム、フレキシティ Flexity 2 が導入されて、これら旧型車は定期運用の場から退いた。

現在、旧型車はヘリテージ・トラム・ツアー Heritage Tram Tours という、日時を限った有料ツアーで運行されていて、専用サイトから申し込めるようになっている。乗れなくてもいいが実物を見たいという人には、ガイド付き車庫見学のツアーもある。

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プロムナードを行くバルーントラム(2009年)
Photo by David Ingham at wikimedia. License: CC BY 2.0
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(左)ブラッシュ・レールコーチ(2021年)
Photo by Steven's Transport Photos at wikimedia. License: CC BY 2.0
(右)ボート・カー(2009年)
Photo by David Ingham at wikimedia. License: CC BY 2.0
 

項番30 ヒートン・パーク軌道 Heaton Park Tramway

ブラックプールに刺激されてか、近隣の都市でも古典トラムを保存運行しているところがある。中心都市マンチェスターでは、マンチェスター交通博物館協会 Manchester Transport Museum Society が、北部にある市立公園ヒートン・パーク Heaton Park の広大な園内に、車庫と約1kmの走行線を持っている。

東側の公園入口から車庫・博物館までの直線路は、1903年にマンチェスター市電の支線として建設された区間だ。電車はこのストレッチを折り返して、さらに公園の奥へ進み、ボートが浮かぶ池の前まで行く。週末や祝日の運行日には、地元の旧市電のほか、ブラックプールやリーズなどから来た保有車両も随時登場して、静かな園内がにわかに活気を帯びる。

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ヒートン・パークのストレッチを行くトラム(2012年)
Photo by Christine Johnstone at wikimedia. License: CC BY-SA 2.0
 

項番32 ウィラル軌道 Wirral Tramway

リヴァプールのマージー Mersey 川対岸、バーケンヘッド Birkenhead にあるウィラル軌道(下注)も同じような博物館のトラム走行線だが、こちらは対照的に港湾地区にある。再開発事業の一環で1995年に建設されたもので、ウィラル交通博物館 Wirral Transport Museum からフェリーターミナル前の広場まで、街路やレンガの建物群に沿う約1.1kmのルートだ。

*注 ウィラル Wirral は、バーケンヘッドを含む自治体の名称で、マージー川とディー Dee 川に挟まれた半島の名でもある。

当初は自治体の委託で運営されていたが、事業整理により、2014年から全面的に非営利団体マージーサイド路面電車保存協会 Merseyside Tramway Preservation Society に引き継がれた。協会は今も、週末や学休日の午後に、保有する旧リヴァプール市電などの動態保存車を走らせているが、末端区間の軌道の劣化が進んだため、終点の約200m手前での折返し運転になっている。

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ウィラル軌道の香港トラムレプリカ(2005年)
現在、この区間は運行されていない
Photo by citytransportinfo at wikimedia. License: CC0 1.0
 

次回は、イングランド中部の保存鉄道・観光鉄道について。

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