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2021年1月19日 (火)

地形図を見るサイト-アメリカ合衆国

カナダの地図ユーザが、自国の地形図サイトの使いにくさを嘆きながら、「(それに比べて)USGSのウェブサイトは有用性の見本であり、驚くほどわかりやすい」と記した投稿を見たことがある。

USGSとは、アメリカ合衆国地質調査所 U.S. Geological Survey のことだ。同国の民生用地形図(下注)を所管する内務省の研究機関で、現行図とともに、1884年以来作成してきた膨大な数の旧版図をウェブ上で公開している。確かにそれは、史料の充実度はもとより、明快な操作機能と垢ぬけたデザインという点でも、見本にしたいサイトと言うことができる。

*注 アメリカの地形図については、本ブログ「アメリカ合衆国の地形図-廃止された旧体系 I」「アメリカ合衆国の地形図-新シリーズ「USトポ」」参照。

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絵画のような陰影つき地形図
1:62,500 Strasburg,VA 1947年
 

地図サイトは2種存在し、一つは最新の地形図や空中写真をシームレス画像で提供する「The National Map」、もう一つは旧版から最新版まで区分図の形でダウンロードできる「TopoView」だ。今のアメリカの地理空間を見渡したいなら前者が、特定の地点・地域を時間軸で観察したいなら後者が適している。順に紹介していこう。

(以下の記述は2021年1月現在の仕様に基づく)

The National Map
https://viewer.nationalmap.gov/advanced-viewer/

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初期画面
 

初期画面は、アメリカ合衆国の本土48州の陰影図だ。この地図は「USGS National Map」と呼ばれるベースマップで、拡大していけば、現行の1:24,000区分地形図「USトポ」と同じものが現れる。メニューは画面上部の緑色のバーにまとめられており、Esriシステムにより、表示の一部が日本語対応している。

特定の地域の地図を表示するには、バー右端の検索窓に地名や住所を入力する。同じ地名が多いので、州名(またはその略称)を添えるとよい。試しに「New York」と入力して、右の拡大鏡アイコンをクリックすると、ドロップダウンリストに選択肢が表示された。

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地名による検索結果
 

最上段の「New York, NY, USA(NYはニューヨーク州の略)」を選ぶと、地図画面は一気にニューヨークとその周辺に変わる。左下に縮尺とズームレベルが表示されている。初期画面のアメリカ全図はズームレベル4、ニューヨークの画面は同 10だ。ちなみに等高線が現れるのはレベル14以降で、16が「USGS National Map」の最大縮尺になる。

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選択した候補のエリアを表示
 

地図を拡大縮小するには、画面左上隅の+-を使うほか、地図上をダブルクリックしても一レベルずつ拡大する。また、マウスホイールを使うと、連続的に拡大縮小できる。Shiftキーを押しながら地図に矩形を描くと、その範囲が拡大される。

地図を入れ替えるには、バーの「ベースマップ」アイコンから入る。画面右にベースマップギャラリーが現れるので、適宜選択する。ここではさまざまなデジタル地図とともに、空中写真や陰影図なども用意されている。

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ベースマップの切り替え
 

このうち上2段6種類の地図は汎用の世界地図で、全世界の表示が可能だ。「National Geographic」は、ナショナル・ジオグラフィック社が提供する世界地図である MapMaker Interactive を使っている。「OpenStreetMap」や「Street」は先述の「USGS National Map」で表示されないレベル17以降の市街図にも対応している。

一方、下2段6種類はUSGSのオリジナルになる。「USA Topo Maps」は、USGSの印刷版地形図をスキャンし、接合したもので、きれいに見えるレベル(縮尺)は限られている。「USGS Imagery Topo」は写真図(空中写真に道路網など地図の骨格を重ねたもの)、「USGS Imagery Only」は空中写真、「USGS Shaded Relief Only」は陰影図のことだ。

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さまざまなベースマップ
 

背景図の上に重ねる地図レイヤーは、バーの「レイヤー」アイコンから入る。USトポの地形図生成にも用いられている様々なデータがレイヤー化されており、ベースマップに重ね表示することができる。各項目の右にある「…(オプション)」で、透過度の調整やレイヤーの上下関係の変更も可能だ。

・US Topo Availability:USトポ(地形図)索引図および更新時期
・Hydro Cached:水系図
・Watershed Boundary Dataset:河川流域図
・NLCD Land Cover:土地被覆図(NLCD=全国土地被覆データベース National Land Cover Database)
・3DEP Elevation:高度陰影図(3DEP=三次元高度プログラム 3D Elevation Program)

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レイヤーの追加と調整
 

地図をプリントするときは、バーの「印刷」アイコンから入る。レイアウト(判型、縦長/横長)と書式(JPEG、PDF等のデータ形式)を選択して、印刷ボタンをクリックすると、データファイルが生成されるので、ファイル形式に対応したアプリ(ソフトウェア)で印刷する。

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印刷画面
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生成されたPDFファイル
 

なお、バー左側の「Data Download」は、地形図をはじめとした各種データベースのダウンロードサービスだが、同様の機能は下記「topoView」にもある(取得できるファイルも同じもの)ので、説明は省略する。

USGSが刊行した印刷版の地形図は、実に178,000種を超えるという。これが全国地理空間プログラム National Geospatial Program(NGP)と称するプロジェクトですべてスキャンされ、データベース化された。そして、3年周期で時層化されているデジタル地形図USトポとともに、ウェブサイト「topoView」で無償提供されている。

USGS topoView
https://ngmdb.usgs.gov/topoview/

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topoView 初期画面
ボストン今昔 Boston Now & Then(上記画面右側の説明文)
 下のスライダーを使って、1893年のボストン地域を画面に出してください。旧版地形図コレクションで、ユーザーは自然および文化的な特色が時間とともにどのように変化するのかを調べることができます。地図はとりわけ、特定の場所や地域を研究している科学者、歴史家、系図学者その他の人々に有用です。一定期間にわたって刊行された同じ地域の一連の地図は、開発される前に地域がどんな様子だったのかを示し、時間の経過に伴う変化の詳細を見せてくれます。
 

初期画面には、アメリカの主要都市(画面例ではボストン Boston)の今昔を比較できる鳥瞰地図があしらわれている。初期値は旧市街付近だが、地図をドラッグすれば、東のローガン空港 Logan Airport から西のブルックライン Brookline まで見渡せる。スライダーを右に動かすと、19世紀末のボストンが浮かび上がる。空港一帯はまだ海で、ブルックラインは郊外にある一つの町に過ぎない。サイトでは、このような時代旅行がアメリカ全土にわたって楽しめる。

ではさっそく画面上方の「GET MAPS」か、右の「View and Download」をクリックしてページを進めよう。

次の画面では、ベースマップとしてアメリカ本土48州が表示され、左メニューにベースマップの操作、右パネルには検索・絞り込みの機能が並ぶ。また、地図画面左上の3個並ぶアイコンは、ベースマップを切替えるためのものだ。左がデジタル地形図(Mapbox を使用)、中央が空中写真、右は拡大していくと旧版地形図になる。

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ベースマップと操作パネル
 

ベースマップの拡大縮小操作は「The National Map」と同じだ。画面左上隅の+-ボタン、地図上をダブルクリック(一レベルずつ拡大)、マウスホイール(連続拡大縮小)、またはShiftキーを押しながら地図に矩形を描く。

右パネルには、始め方 Getting Started として三つの方法が列挙されている。すなわち、

1.上の地名検索窓に場所(地名、住所、郵便番号、経緯度(下注)など)を入力して、その場所の地図をすべて見る。
2.単純に地図上の任意の場所をクリック/タップして、その地点の地図をすべて表示する。
3.上の図名検索窓で図名を検索する。

*注 経緯度は緯度、経度(西経はマイナス表示)の順で、小数点付き(例:38.90, -77.04)または度分秒(例:38 54 00, -77 02 24)で入力する。

ここでは1の方法で、地名「san francisco」を検索してみる。候補が2件表示されるので、一つ目を選択する。

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地名による検索結果
 

これで、右パネルにサンフランシスコ旧市街が図郭に入る地形図の一覧が現れる。1895年版から最新の2018年版まで、該当するものが43点あることがわかる。なお、一覧の並び順は、「Name(図名)」「Date(製作年)」「Scale(縮尺)」「State(州名)」と書かれたアイコンで変更できる。

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該当する地形図の一覧
 

次に、製作年で絞り込みしよう。スライドバーを使い、左のポインタ(ピンクの小円)を右へ動かして、1945年にしてみる。すると候補は29件に絞られた。

今度は、縮尺で絞り込みしてみよう。スライドバーの下にカラフルな円が並んでいる。「All」は全縮尺、「250K」は250 Kilo(Kilo=1000)で1:250,000を意味する(下注)。例として「24K」、すなわち1:24,000を見ることにする。ちなみに、右隣にある「HTMC」は旧版図コレクション Historical Topographic Map Collection(=1884~2006年刊行の地形図)、「UST」はUSトポ US Topo(=2009年以降の地形図)のことだ。

*注 近似する縮尺は代表的な縮尺のグループに含めて表示される。例えば「100K」では、1:100,000とともに、1:96,000、1:125,000の地形図も表示される。

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条件の絞り込み
 

絞り込みの結果、第二次大戦後に作成された1:24,000地形図が14点、年代順にリストアップされた。同じ縮尺、同じ製作年のものが複数挙がることもよくあるが、これには増し刷りや刷り直しなどが含まれる。

では実際に地形図を表示させてみよう。例として、最上段にある「1947(年版)」を選択(クリック)すると、この版に関する操作パネルが現れる。「SHOW」アイコンで、左のベースマップ上に地形図の画像が表示される。また、右の地図画像のサムネールをクリックすると、別ウィンドウに単独画像が表示される。

「SHOW」で表示した地形図画像は、透過度バーで透過度を調整できるので、ベースマップとの比較も容易だ。また、複数の地図を表示して、時代による変化を追うこともできる。表示中はパネルに「HIDE」アイコンが出ており、これで地図画像をベースマップから消去できる。

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地形図画像の表示
 

「INFO」アイコンでは、製作に用いた空中写真の撮影時期や編集年、座標系、投影法など地形図の整飾に記載されている事項(メタデータ)が表示される。

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属性情報の表示
 

データダウンロードは、JPEG、KMZ、GeoTIFF、GeoPDFの各形式から選べる。解像度は240~300dpiあるので、拡大して詳細を読み取ることが可能だ。

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ファイルダウンロード
 

最後に、地形図の著作権について。

USGSは、上記サイトで取得した地図データはアメリカ合衆国のパブリックドメイン U.S. Public Domain にあり(=公有物)、制限なく使用できるとしている。ただしその場合、適切なクレジットをつけることを求めている。文例は以下のとおり。

「Credit: U.S. Geological Survey」
または
「Department of the Interior/USGS」
または
「U.S. Geological Survey/photo by Jane Doe(写真家/アーティストがわかっている場合)」

この件の原文は、下記参考サイトにある。

■参考サイト
USGS - Copyrights and Credits
https://www.usgs.gov/information-policies-and-instructions/copyrights-and-credits

使用した地形図の著作権表示 Department of the Interior/USGS

★本ブログ内の関連記事
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