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2020年4月19日 (日)

地形図を見るサイト-イギリス

イギリスの国土測量を担っているオードナンス・サーヴェイ Ordnance Survey(OS、英国陸地測量部)は、地形図を公開するウェブサイトを設置していない。旧版図を含めて、地形図の提供を原則有償としているためだ。かつては地図を通販する「Get-a-map」という自局サイトで地形図データが使われていたが、今は別仕様のデジタル地図に切り替えられてしまっている。

しかし、OSの許諾を得たいくつかの民間サイトで、現行地形図(下注)の閲覧が可能だ。また、旧版図についても、刊行後50年を経過した時点でパブリックドメインに移行するため、まとまった量を公開しているサイトが存在する。その中から主なものを紹介しよう。

*注 OSの刊行する地形図については、本ブログ「イギリスの地形図-概要」参照。

(記述は2020年4月現在の仕様に基づく)

現行地形図

チャールズ・クロース協会 Charles Close Society

現行地形図がみられるサイトの多くは、1:50,000(ブランド名:ランドレンジャー Landranger)とそれ以下の小縮尺図の公開にとどまっている。OS図を研究対象としているチャールズ・クロース協会のサイトもその一つだ。

Charles Close Society - Modern OS Mapping On-line
http://www.charlesclosesociety.org/OSMap

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初期画面
© Crown copyright 2020
 

初期画面はロンドン市内の1:50,000だが、この地図画像が現れるまでに少し時間がかかるかもしれない。操作機能は単純で、地図画像の移動、拡大縮小、地名または郵便番号による検索のみだ。

地図の拡大縮小は、画面左上のスケールバーで行う。拡大すると、残念ながら1:25,000地形図ではなく、等高線なしの市街図になる。縮小すると、OS 1:250,000図、次いでOS 1:550,000図が現れる。

地名による検索は、初め少々とまどうだろう。画面左上の "enter a place/postcode(場所/郵便番号を入力)" と表示のあるボックスに地名や郵便番号を入力して、その下の "Find(検索)" ボタンをクリックするのだが、ボックスの表示がすぐに "enter a place/postcode" に戻ってしまうからだ。よく見るとその下に "Select a place(場所を選択)" と書かれたボックスが現れている。その右端のVマークをクリックすると、候補の地名一覧が表示される。ここから、見たい場所を選択する。

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地名による検索手順
 

このサイトには、他の地形図公開サイトを列挙した広範なリンク集もあり、たいへん参考になる。この画面の上部にある、"For Historic OS mapping online see HERE" または、左メニューの "Online Resources" から、リンク集に移れる。

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リンク集
 

Streetmap.co.uk

1:50,000図のサイトがいくつかあるのに対して、1:25,000図が見られるサイトは(OSとの契約料が高額(?)なためか)、Streetmap.co.uk ぐらいだろう。賑やかな広告が画面の余白を埋め尽くし、いささか目障りだが、1:25,000図の詳細がわかる貴重な存在になっている。

http://www.streetmap.co.uk/

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初期画面
 

初期画面には地図画像はなく、見たい場所の地名や郵便番号をまず入力しなければならない。ここでは街路名、経緯度、ナショナルグリッドの値などでも検索が可能だ。試しに "London" と入れてみると、60件以上の地名がヒットした。

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地名による検索手順
 

見たい地名を選択すると、ようやく1:50,000図が現れる。右下のスケールバー(Zoom Control)で一段階拡大させると、1:25,000図になる。さらに拡大するとA-Z図風の市街図になる。縮小側では1:100,000、続いて1:200,000と表示されるが、データはOSの1:250,000図を用いている。どの縮尺も紙地図に比べればかなり拡大表示されており、細部まではっきり読み取れる。

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地図表示画面
© Crown copyright 2020
 

なお、図上にホテルの位置を示すアイコンなどが表示される場合があるが、これはOSの地図記号ではないので、地図の右上にある "Icons off" をクリックして消すことができる。

地図の表示枠を拡げるには、右下の "Map Size" アイコンで、大きいほうのタイルイメージを選択する。

地図をプリントするときは、"Print" アイコンをクリックすると、印刷プレビュー画面が現れる。プレビュー画面でも、右下にある+-ボタンで地図の縮尺を変更できる。また、"Portrait" ボタンで縦長に、"Landscape" ボタンで横長に切替えられる。ただし、プリンタ側でもそれに合わせて縦/横の設定を変更する必要があるのはいうまでもない。

旧版地形図

スコットランド国立図書館 National Library of Scotland (NLS) 

イギリスの旧版地形図をウェブ上で見るなら、迷わずスコットランド国立図書館 NLS の公式サイトを訪れるべきだ。ここでは、16世紀から1960年代までのスコットランドに関する膨大な地図画像が無償公開されている。OS図については、収録範囲がイングランド及びウェールズにも及んでおり、充実度では間違いなくイギリス随一だ。

National Library of Scotland - Map Images
http://maps.nls.uk/

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初期画面
 

初期画面には、地図データへの多様なアプローチが提示されているが、左の項目列にあるテーマ別索引がわかりやすい。"Maps of Scotland" ではスコットランドの地図が年代順に、"County maps" ではカウンティ(郡)別にまとめられている。また、"Ordnance Survey maps" にはOS図のシリーズ(旧エディション)別リンクがある。

その "Ordnance Survey maps" へ進んで、次の画面で "1:25,000 maps of Great Britain - 1937-1961" を選んでみた。これは「暫定版Provisional Edition」と呼ばれた最初の1:25,000図シリーズだ(下注)。

*注 1:25,000のシリーズについては「イギリスの1:25,000地形図 I」参照。

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操作選択画面
 

こうしたシリーズものは、区分図の単体画像と、隣接図を貼り合わせたシームレス画像の2種が用意されている。単体画像は "graphic index"、シームレス画像は "seamless layer on a Google maps" からリンクしている。また、図番がわかっている場合は、その下の "Browse list by sheet number" で直接選択できる。

単体画像の場合は、図郭の選択画面が現れるので、左上のボタンで拡大して、見たい図郭を選択する。

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図郭選択画面
 

選択した図郭に応じて、右側に候補となる図葉のサムネールが表示されるので、必要なものを選択する。

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図葉選択画面
 
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図葉表示画面
 

シームレス画像の場合は、縮小画像が表示されるので、必要に応じて画面左上の+ボタンで拡大する。また、背景レイヤーをたとえば空中写真などに変更して、地表のようすを地形図と照合することもできる。この際、透明度は左メニューのスライドバーで調整する。

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シームレス画像表示
 

さらに、画面上部にある "Full Screen/Draw" でフルスクリーン化、"Spy" で背景レイヤーの上に拡大鏡風に重ねる方法、"Side by Side" で、2枚のレイヤーを左右に並べる方法も選択できる。

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Side by Side(並列表示)の例
reproduced with the permission of the National Library of Scotland https://maps.nls.uk/
 

このようにNLSのサイトは、単なる地図画像の表示にとどまらず、よりわかりやすく見せようという工夫が各所に施されており、使い慣れれば地図の世界を自由自在に回遊できるようになるだろう。

惜しいことに、スコットランド政府の予算で運営されているためか、イングランド及びウェールズに関するOS図のコレクションは不完全だ。それでも、イングランドにもウェールズにもこれに比肩するような地図画像公開サイトは未だ構築されていない。

A Vision of Britain

NLSが公開するイングランド及びウェールズの1インチ図は、19世紀から20世紀への変わり目に刊行された「改訂ニューシリーズ Revised New Series」が最も古い。それ以前、19世紀前半に作られた最初の1インチ図「オールドシリーズ Old Series」を公開しているのが、「A Vision of Britain」だ。

A Vision of Britain - Historical Maps
http://www.visionofbritain.org.uk/maps/

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初期画面
 

これはポーツマス大学地理学部 Department of Geography of the University of Portsmouth による広範な歴史資料サイトだが、"Historical Maps" のページに、照会できる地図のリストがある。

1行目の "Ordnance Survey First Series 1:63360" が、1インチ図オールドシリーズのことだ。4行目、8行目、10行目にも1インチ図(1:63360)シリーズの名があるが、これらは上記NLSのコレクションにも含まれている。

それでは、1インチ図オールドシリーズを選択するとしよう。次の画面では、湖水地方 Lake District の北辺付近の図が現れるだろう。

 

Blog_uk_map_hp15
地図表示画面
 

これはシームレス画像になっており、マウスドラッグで移動できる。また画面の下方には、シームレス画像に該当する区分図の情報とともに、サムネールが表示されている。ここからデータのダウンロード(zip圧縮、5MB程度)も可能だ。ただし実行前に、許諾条件の承認と簡単な問いに対する回答が必要になる。

どういうわけか、地名による検索はこの画面ではできず、「A Vision of Britain」のトップページに戻る必要がある。そうでなければ、地図画面右下に表示されている位置図の赤枠を地道に動かしていくしかないようだ。

現行および旧版地形図を公開しているサイトは他にもある。「官製地図を求めて-イギリス」の「地図閲覧」の項を参照されたい。

なお、OS図は、刊行後50年を超えた時点でパブリックドメインに移行するので、各公開サイトの許諾条件(商用不可、引用元の明示など)に従い、二次利用が可能になっている。

★本ブログ内の関連記事
 イギリスの地形図-概要
 イギリスの地形図略史 I-黎明期
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 イギリスの地形図略史 III-戦後の1インチ図
 イギリスの地形図略史 IV-旅行地図の系譜
 イギリスの1:25,000地形図 I
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 イギリスの1:250,000地形図 II-歴史

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