スロバキアの1:50,000旅行地図
スロバキアとポーランドの国境にあるタトラ山地には、標高2654mのゲルラホフカ峰 Gerlachovký štít をはじめ、標高2500mを超える峰々が屏風のようにそびえ立つ。山地は南の低タトラ Nízké Tatry と北の高タトラ Vysoké Tatry に分かれているが、後者はスイスアルプス並みに鉄道系の交通が発達した観光地だ。
高タトラと低タトラにはさまれた盆地を東西に走るスロバキア国鉄の駅から、高タトラの裾野を這い上がる鉄道路線が3ルート設けられている。西から順に記すと、①ラック式鉄道(Tatranská Štrba~Štrbské Pleso、延長4,753m、高低差455m)、②メーターゲージ路線(Poprad-Tatry~Stary Smokovec、延長13km)③標準軌線(Poprad-Tatry~Studený Potok~Tatranská Lomnica、延長17km)。
3つのルートの終点となっている各リゾート村の間はメーターゲージの通称「タトラ電気鉄道」(Tatranská Lomnica~Stary Smokovec~Štrbské Pleso、延長22km。所要1時間)がつないでいる。さらに、タトラの頂からの眺めを愉しむためにロープウェイやケーブルカーも整備されている。夏は登山、ハイキング、高地療養、冬はスキー、スノーボードと観光施設も充実した一等観光地なので、日本ではまだ無名なのが不思議なくらいだ。
スロバキア語で Vysoké Tatry ヴィソケー・タトリと呼ばれる高タトラ地域の地図を紹介しよう。
地元のVKÚ社は、全土を63面でカバーする1:50,000観光地図シリーズを出版している(写真右上)。等高線は20m間隔(日本の1:50,000と同じ)、ぼかしも施されて地形の概要がつかみやすい。登山ルートには地点間の所要時間も併記されている。ヴィソケー・タトリはシリーズの113番。別冊で付いている観光案内は、登山ルートの解説をした100ページ以上もある大作だが、惜しむらくは表記がスロバキア語のみ。
前回紹介したSHOCart社にも、同じように全土をカバーする1:50,000区分図がある(写真右)。ヴィソケー・タトリはシリーズの1097番。等高線間隔は10mとさらに詳細で、端正な美しさが特徴だ。タトラ以外の地域は品切れが目立つのが難点だったが、この4月にチェコと同様の全国地図帳が発売された。
オーストリアのフライターク・ウント・ベルント社 Freytag&Berndt も1:50,000観光地図を発行している。図番WKSK1、図名「高タトラと西タトラ(ドイツ語表記 Hohe Tatra und Westliche Tatra)」。F&B はたいていの地図店で扱っているので入手しやすいが、この図に関しては精度が粗く、上記2社の精緻な作品を見た後では幻滅モノである。
■参考サイト
VKÚ http://www.vku.sk/
SHOCart http://www.shocart.cz/
Freytag&Berndt http://www.freytagberndt.at/
タトラ山地観光案内のサイト
http://www.tatry.sk/ 英語版あり。"Photo"にタトラ山の写真多数
http://www.tanap.sk/ 英語版あり。"Transport"から時刻表にリンクしている
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