チェコの旅行地図 II
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SHOCart社はチェコ東部の小さな町ヴィゾヴィチェ Vizovice に本拠を置く地図出版社。看板商品である観光地図 Turistická Mapa は、官製地形図のデータを使いながら、独自の味付けを施しているので全くのオリジナル作品のように見える。
道路網や地名をくっきり縁取りして目立たせる代わり、市街地はトーンを落として錯雑感を弱める。地勢表現にはぼかしを加えて立体感を出す。ハイキングルートは縁取りなしのカラフルな線で一目で分かるように表現する、といったように、よく考えられた大胆なデザインだ。等高線は補助曲線を含めてもとのまま使用しているので、地形図の機能も失ってはいない。同じ観光地図シリーズでも、地形図を素のまま使っているKČT(2006年3月23日の項で紹介、下記リンク参照)との違いは顕著だ。KČTが普段着なら、SHOCartのほうは、きりっとしたスーツ姿か。
同社の区分図はチェコ全土を72枚でカバーしているが、それを1冊に仕立てた地図帳も作られている(写真)。チェコ共和国の面積は約79,000平方キロで日本の5分の1程度の広さ。しかしこれを縮尺1:50,000で表現すると、A4判の地図が627ページ、地名索引30ページというボリュームになる。かくして厚さが5.5cmもある電話帳並みの旅行地図帳が出来上がった。とうてい旅行に持っていける代物ではないが、各ページは4穴のバインダに綴じてあるだけなので、着脱自由。行き先の分だけはずして手軽に携帯できるところがミソだ。
区分図1枚の価格はオンラインショップの割引で71Kč(チェコ・コルナ)、日本円で約350円。全国集めると25,200円かかる計算だが、対する地図帳は1,199Kč、日本円で約6,000円と容易に手が届く価格だ。同社では、地図帳と同じ体裁の「チェコ旅行百科 Turistický lexicon Česko」「チェコ・ウォーターマンズ・ガイドブック Vodácký průvodce Česko(カヌー、ボート等の愛好家のためのガイド)」を3点セットで売り出している。チェコ語が読めさえすれば、これで国内旅行は鬼に金棒となるところだが...
■参考サイト
SHOCart http://www.shocart.cz/
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