オーストラリアの大分水嶺を越えた鉄道-トゥウンバ付近 II
前回、イプスウィッチIpswich~トゥウンバToowoomba間、大分水嶺の斜面を上っていく鉄道にスポットを当てた。実際の勾配は20‰(1000m進んで20m上る)に抑えたというから、麓から山上まで470mの高低差を克服するには、水平距離にして23.5kmの線路を敷き回す計算になる。どのようなルートをとっているのか、と官製地図を求めてみた。
オーストラリアの官製地形図の作成は、ドイツのように連邦と州が分担している。連邦が受け持つのは1:100 000までで、それより大縮尺は州の測量局の担当だ。ただし、クイーンズランド州の一部やタスマニア州では1:100 000でも州の測量局が作成しており、全国統一仕様とは言いがたいところがあるのだが、全国レベルで入手できるという意味で連邦のコントロール下にある。一方、1:50 000や1:25 000の整備方針は州ごとにさまざまで、ここクイーンズランド州の場合は、主要都市とその周辺を1:25 000でカバーしようとしている。
しかし、ここからがユニークな点なのだが、カタログでは1:25 000を(1)Line Map、(2)Image or Orthophoto Map、(3)Double-sided Line/Image Mapの3種に区分している。(1)は等高線地図、つまり普通の地形図のこと、(2)は写真地図、すなわち、Google Earthなどにも使われているひずみを修整したカラー空中写真に、等高線や道路網などの記号を加刷した地図、(3)はこの2種類を両面に印刷した徳用版で、各図幅はこのうちどれか一つが刊行されている。
正直言って写真地図は見にくい。住居が1戸ずつ判別できたり、地表の様子が包み隠さずわかる利点はあるが、等高線で地形の概要をさっと大づかみするのにノイズが多すぎるのだ。その点、(3)は好みのほうを使えるのでありがたい。なお、現在(1)または(2)で刊行されている図幅も、更新時には(3)に切り替えられる予定だ。
おもしろいことに、注目の山登り区間は、まず9342-41 Helidonと9342-44 Withcottが(2)、9343-33 Murphys Creekが(1)、9243-22 Highfieldsが(3)、9242-11 Toowoombaがまた(2)と、3種類が隣接している。
ヘリドンHelidonを出て4kmほど、列車は平坦な道を走ったあと、支流の谷を分け入る態勢に入る。半径200m程度のカーブでぐいぐい曲がっていくが、これはまだ序の口。少し開けた谷の中にある交換所マーフィーズ・クリークMurphys Creekを過ぎれば、いよいよ大分水嶺の斜面にとりつく。山襞をほとんどトンネルを掘らずに忠実に巻いていくので、半径100mという相当急な曲線が使われている(資料によれば49箇所も!)。これではスピードは出せない。道路交通が主流になるまで、この路線は州都と山上の町を結ぶ動脈だったはずだが、抜本的な線路改良を加える計画はなかったのか。やがて花畑が旅人を迎えるスプリング・バフSpring Buff駅に停車。峠道の中間に位置するこの小駅では、たとえば碓氷峠の熊ノ平と同じように、往時には必ず上下の列車が行き違っていたはずだ。
列車はさらに上る。しばらく遠ざかっていた眼下の谷底がだんだん近付いてきた。道路がこともなげに追いついてきて、頭上をまたいでいく。こちらも大きな尾根を過ごして、高度があがってきたことを実感するようになる。そうこうするうち、切通しに突っ込むが実はここがサミットで、そのあと車窓は突然、都市郊外といった風情のなだらかな原っぱに一変する。家並みが続いてまもなくトゥウンバ駅に到着する。
■参考サイト
トゥウンバ付近の地形図(Multimapのサイト、原図1:250 000)
http://www.multimap.com/maps/#t=l&map=-27.55,151.96667|12|4
官製地図を求めて-各国地図事情 クイーンズランド州 http://homepage3.nifty.com/homipage/map/map_queens.html

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