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2018年2月25日 (日)

アメリカ合衆国のハイキング地図-ナショナル・ジオグラフィック

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図番201
「イエローストーン
国立公園」図葉表紙

アメリカ合衆国(以下、米国)で山野歩きに持っていける地図(印刷図)は、と問われたら、米国森林局 U.S. Forest Service とナショナル・ジオグラフィック National Geographic の両シリーズが思い浮かぶ。いずれもUSGS(米国地質調査所)の地形図をベースに、トレールのルートや関連情報を加えた旅行地図だ。地域を限定すれば、ほかにも選択肢はあるが、全国的に主要エリアをカバーするのはこの2種のみだろう。

ただし、前者は国有林 National Forest に対象を絞った地図で、販売所も限られている(下注)ため、使い慣れた人以外にはなじみが薄い。それに対して、後者は国立公園その他刊行範囲が広く、かつショッピングサイトなどで気軽に買えるところが魅力だ。

*注 ショッピングサイトで全国の図葉を扱うのは、同局の直販サイトやUSGS、一部の地図専門店など。

ナショナル・ジオグラフィック・マップス National Geographic Maps は、自然科学雑誌の刊行で知られたナショナル・ジオグラフィック協会 National Geographic Society(以下、協会という)の地図部門だ。1世紀にもわたり、雑誌の付録地図はもとより地図帳、壁貼り地図、地球儀とさまざまな種類を世に送り出してきた。その中で確立されたものの一つが、ハイキングやトレッキングのための地図シリーズ「トレールズ・イラストレーティッド・マップ Trails Illustrated Maps」で、これまでに250タイトル以上が出ている。

下記参考サイトで見られる索引図によると、刊行エリアは、米国本土からアラスカ、ハワイ、さらに一部はカナダ領内にも及んでいる。

■参考サイト
National Geographic Maps - Trails Illustrated Maps
http://www.natgeomaps.com/trail-maps/trails-illustrated-maps

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サンプル図(1501「アパラチアン・トレール」マップガイドの表紙を拡大)
© 2018 National Geographic Maps

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表紙の変遷 228「シェナンドー国立公園」
(左)1997年改訂版 (中)2002年改訂版 (右)2015年版

まず東部では、メイン州からジョージア州まで帯状に長く連なる図郭が目を引く。いうまでもなくアパラチアン・トレール Appalachian Trail、約3,500kmのルートを追うもので、全行程が計13点のマップガイド Map guide(地図入りガイドブック、図番1501~1513、縮尺1:63,360)に収まる。また、それと重なる矩形の図郭は1枚ものの折図(740~790番台、下注)で、周辺の国有林 National Forest にも網がかかっている。

*注 3桁の図番は大判用紙を折った1枚ものの地図、4桁は地図入りガイドブックを示す。他地域も同じ。

大陸の背骨を成すロッキー山脈では、コロラド州からユタ州にかけてのエリアが広くカバーされる。とりわけコロラド・フォーティナーズ Colorado 14ers の高峰群が集中するあたりでは、官製図のような整然とした図郭の折図(100~130番台、その多くが縮尺1:40,680)が設定されて壮観だ。グランドキャニオン Grand Canyon、ザイオン Zion その他、グランドサークル Grand Circle と呼ばれる著名な自然公園分布域でも、必要な地図が揃っている。

西部では、ワシントン州からオレゴン州にかけてのカスケード山脈 Cascade Range(図番818~827など)と、セントラル・ヴァレー Central Valley の東にそびえるシエラネバダ山脈 Sierra Nevada Mountains が中心だ。とりわけシエラネバダでの布陣は手厚く、縮尺1:63,360でほぼ全域を覆う(800番台)だけでなく、人気の高いヨセミテ国立公園 Yosemite National Park ではさらに詳しい1:40,000の区分図4面(図番306~309)も用意されている。

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マップガイドの表紙
(左)1501 「アパラチアン・トレール スプリンガー山~ダヴェンポート峠」
(中)1302 「コロラド・フォーティナーズ」
(右)1001 「ジョン・ミューア・トレール」

道路地図ばかりか歩くための地図でさえ、等高線などの地勢表現が省かれたいわゆるプラニメトリックマップ(平面図)が使われることのある米国では、等高線入りのハイキング地図は貴重な存在だ。特にトレールズ・イラストレーティッド・マップの場合は、等高線に加えて、濃いめの精妙なぼかし(陰影)をかけることで、真に迫った地勢表現を実現している。用紙は耐水・耐擦性を備えた合成紙だが、これも「バックカントリー・タフ backcountry tough(=過酷な使用環境にも耐えられる)」なだけでなく、発色の良さで見栄えを高めている。

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凡例(201「イエローストーン国立公園」より)
図葉によって記号の種類は多少異なる

右画像が凡例だが、ハイキング地図とはいえ、車が通る道も含めて道路網全体を強調するデザインであることが見て取れる。そのうえで、自動車道(ハイウェー Highway およびロード Road)は二重線、歩く道(トレール Trail およびパス Path)は太い破線で描き分け、さらに色で細分化するのだ。

画像ではわかりにくいが、ハイキング・トレール Hiking Trail の記号は黒で、許可を受けたオフロードバイクも走行できるモータライズド・トレール Motorized Trail は紫色が充てられている。同様に、舗装された自転車道 Paved Bike Path は緑、雪原や雪渓を行く冬用トレール Winter Use Trail は黒の太い点線だ。さらに有名トレールは、シンボルマークと緑やオレンジのマーカーでルートが強調される。地点間の距離(マイル表示)が記されている場合もある。

そのほかピクトグラムの記号でも、キャンプ地、ピクニックエリア、トレールの出発点 Trailhead、駐車場、見晴らし台、有料エリア、休憩所、野生動物観察地、自転車ルートの路面状態など、さまざまな情報が描かれる。余白には文字情報、たとえばトレールに関する距離、高度、所要時間、難易度などのデータや、域内で行えるレクリエーションでの諸注意などが記され、地図1枚で、野外活動に必要な情報がひととおり得られるようになっている。

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サンプル図(1001「ジョン・ミューア・トレール」マップガイドの表紙を拡大))
© 2018 National Geographic Maps

あるマウンテンバイクの専門サイトでは、このシリーズを次のように紹介していた(以下は要約)。

「USGS地形図は専門的で、読図に精通している必要がある。また、かなり古く、ときには最後に編集されてから20年から40年経過している。こうした問題のほとんどすべてを切り抜ける優れた地図として、トレールズ・イラストレーティッド・マップを参考にされたい。極めて正確なUSGS地図をベースに使用するこの地図は、常に更新され、図郭内にあるすべてのトレールを表示している。マウンテンバイクや乗馬のためのトレールも表示されている! 無料ではないが、費用(約10ドル)を支払う価値はある。」

ナショナル・ジオグラフィックの地図は、日本のアマゾンや紀伊國屋などのショッピングサイトでも扱っている。品切れの場合、米国のアマゾン http://www.amazon.com や地図専門のオムニマップ http://www.omnimap.com/ のサイトを覗いてみるとよい。いずれも日本へも送ってくれる。

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2018年2月18日 (日)

ドイツの新しい1:250,000地形図

連邦地図・測地局 Bundesamt für Kartographie und Geodäsie(略称BKG)が担当しているドイツの小縮尺図体系が2017年から大きく様変わりしている。黄色い表紙で親しまれてきた区分図シリーズの1:200,000地勢図 Topographische Übersichtskarte がついにカタログから姿を消してしまったのだ。代わりに登場したのが、Übersicht(概観)の語をつけずに、単に Topographische Karte(地形図)と称する1:250,000で、全30面が一気に刊行された。

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1:250,000地形図表紙
(左)ベルリン Berlin  (右)ローゼンハイム Rosenheim いずれも2017年版

1:200,000図のルーツは19世紀に遡るが、第二次世界大戦後、1961年に当時の西ドイツを44面でカバーするシリーズとして再興され、東西統一後は旧東側にも範囲を拡げて、全59面の区分図シリーズ(のちに一部の図郭拡張で58面)になった。近年、1:100,000以上の地形図が、平板な印象の ATKIS図式(下注)に置き換えられていくなかで、1:200,000は、配色に変更が加えられながらも、銅版刷りの繊細さを残すドイツ地形図の特質をおよそ50年間護り続けてきた。

*注 公式地形・地図情報システム(アトキス)Amtliches Topographisch-Kartographisches Informationssystem (ATKIS) で使用される地図図式。

ドイツの1:200,000地形図ほか」の項でも述べたように、戦後まもない地形図体系の再編の際にも縮尺を1:250,000に変更する案が検討されたことがある。実際、英仏をはじめ西側諸国ではそちらが多数派なのだ。グローバル化時代に入ると、このことがシステム規格の決定に影響を与えることになる。欧州各国の地図作成機関等が参加する組織、ユーロジオグラフィクス EuroGeographics が汎ヨーロッパの地理情報データベースを構築するにあたり、採用した縮尺の一つが1:250,000だった。

ユーロリージョナルマップ EuroRegionalMap と呼ばれるこのデータベースには、各組織が、担当する地域の地理情報を共通仕様で提供する必要がある。そのためにドイツも ATKIS に1:250,000のデータを作成し管理している。縮尺が近似する1:200,000を、印刷図を維持するために更新していく積極的な理由は見出しにくい。さらに、ATKISからは印刷図の原稿も直接出力できるので、国内各州の測量局は、担当する1:25,000から1:100,000までの印刷図の大部分をすでにこの方式に移行させてしまっている。BKGが同様の転換策に踏み切るのは、実は時間の問題だったのだ。

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1:250,000地形図索引図

今回刊行された1:250,000地形図は、冒頭にも述べた通り、ドイツ全土を30面でカバーする全く新しいシリーズだ。地形図の裏面には、同じエリアのカラー衛星画像 Satellitenbildkarte が印刷されている。

折寸こそ旧図と同じ横10.8×縦24.0cmだが、表紙からして、色で縮尺の違いを示す従来方式(例えば1:200,000は黄色)ではない。人目を惹く風景写真を中央に配し、その下に都市や観光地の名が列挙され、収載されるエリアがすぐにわかるようになっている。英仏の例に倣って、利用者へのアピールを強化する作戦だ。

図郭は、旧1:200,000の経度1度20分×緯度48分に対して、新1:250,000では縮尺が小さくなり、用紙の横を一折り分長くしたことで、経度2度×緯度1度と切りのいい数値に収まった。

内容はどうだろうか。1:200,000(下図左)と1:250,000(下図右)で、同じエリアを並べてみた。場所は、バイエルン南東部のローゼンハイム Rosenheim からオーストリア国境の山岳地帯にかけてと、ベルリン Berlin 市街だ。色調はほぼ変わらないものの、一見して1:250,000のほうが、情報の取捨選択が徹底されていることがわかる。絵的にはシンプルで見易くなったと感じる一方で、残念ながら、省かれたものも多数ある。

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1:200,000図(左)と1:250,000図(右)の比較
ローゼンハイムからオーストリア国境の山岳地帯にかけて
© Bundesamt für Kartographie und Geodäsie, 2018
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同 ベルリン市街
© Bundesamt für Kartographie und Geodäsie, 2018

たとえば、ローゼンハイム図の下のほうにあるバイリッシュツェル Bayrischzell の町の周辺に注目すると、1:200,000に記された Hochkreut、Suderlfeld などの集落名、Seeberg、Maroldschneid などの山名や標高値が、1:250,000ではことごとく無くなっている。配置するスペースが縮小する分、割愛が生じるのはやむを得ないとはいえ、地名は場所を特定する手がかりだから、残念なことだ。

また、道路網や集落の表現も簡略化された。ベルリン図に見られるとおり、1:200,000では市街地の塗りに2色が使われ、中心街は濃いピンク、それ以外は薄いピンクと区別されていた。ところが1:250,000ではそうした配慮はなく、一様にピンクで塗られている。また、郊外では1:200,000で、胡麻粒のような黒抹家屋の記号を使って、集落の広がりや密度を表現していたものが、1:250,000では単に円で集落の中心を示すだけになった。道路網の省略もその延長線で、円と円の接続関係がわかれば十分という考えだろう。

注記文字は、サンセリフ(先端に飾りのない)タイプに変わった。日本語書体の明朝とゴシックの関係に似て、サンセリフは線幅がほぼ同じで視認性が良いことから、採用される傾向にある。1:200,000では注記文字は、水部の青を除いて一様に黒色が使われていたが、1:250,000では居住地名は黒、水部は青、自然地名は茶色、公園域は緑、軍用地はピンクと、細かく変えている。これにより、居住地名がまず目に飛び込んでくるようになった。反面、山の名などは埋もれてしまい、目を凝らして探さなければならないが…。

一方、等高線とぼかしを併用する地勢表現は踏襲された。等高線間隔は、旧1:200,000が平野部25m、山地50mだった。1:250,000も平地と低山地ではそれぞれ25m、50mだが、高山地では100m、急峻な山地では200mに拡げられている。そのため、バイエルンアルプスでも等高線は粗く引かれ、等高線の密度から地勢を想像することは難しい。また、写実的な崖記号が無粋なドットパターンに置き換えられ、砂地と間違えかねない。

ぼかし(陰影)は、メッシュ標高データから精細な画像が自動生成されているので、等高線の情報不足を補って余りある。ただ惜しいことに、配色にピンク系のグレーを充てたために、眠たげな印象を与え、等高線との区別もつきにくくなった。

新作というのに否定的な感想が多くて恐縮だが、それというのも、ドイツでは地形図のデジタル化に際して、アナログ時代に磨かれた地図デザインのセンスが十分尊重されなかったように思うからだ。作成プロセスの合理化を追求するなかで、伝統的な長所を生かす努力がやや疎かになっている。1:250,000もそれだけ見れば決して悪くはないのだが、前身の1:200,000と見比べると、多くのものを犠牲にしていることに改めて気づく。

この1:250,000の登場の陰で、従来の1:200,000地勢図は、2014年に南ドイツの10面が更新されたのが最後の刊行となった。かろうじて現在は、同じく2014年に刊行された地方図 Regionalkarte シリーズ 計13面(下注)のみがカタログに掲載されている。これは主要都市とその周辺を1:200,000図で概観するもので、裏面にはより広域を収める1:1,000,000(100万分の1)図が印刷された徳用版だ。果たして継続的に更新されるのか不明だが、このシリーズが残る限り、1:200,000図を手にする機会が消滅したわけではない。

*注 ハンブルク Hamburg、ブレーメン Bremen、ベルリン Berlin、ハノーファー Hannover、ライン=ルール Rhein-Ruhr(ドルトムント中心)、ケルン=デュッセルドルフ Köln-Düsseldorf、ハレ=ライプツィヒ Halle-Leipzig、ドレスデン Dresden、ライン=マイン Rhein-Main(フランクフルト中心)、ライン=ネッカー Rhein-Neckar(マンハイム中心)、ニュルンベルク=フュルト Nürnberg-Fürth、シュトゥットガルト Stuttgart、ミュンヘン München の13面(図郭は下図参照)

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1:200,000地方図
(左)ベルリン地方 Region Berlin  (右)ライン=マイン地方 Region Rhein-Main いずれも2014年版
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1:200,000地方図索引図
カラーの図郭が地方図、グレーの図郭は従来の1:200,000地勢図

1:250,000地形図と1:200,000地方図は、日本のアマゾンや紀伊國屋などのショッピングサイトでも扱っている。"Umgebungskarte 1:250.000"、"Regionalkarte" などで検索するとよい。

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 オーストリアの新しい1:250,000地形図

2018年2月13日 (火)

お知らせ

2018年2月13日 「インド ニルギリ山岳鉄道」の記事を更新し、写真を追加しました。

2018年2月12日 (月)

地形図を見るサイト-ルクセンブルク

ベネルクス三国の一角を成すルクセンブルクでも、充実した公式地図サイトが構築されている。国の測量機関である地籍・地形局 Administration du Cadastre et de la Topographie (ACT) が、最新のデジタル地形図はもとより、旧来の1:5,000~1:250,000地形図、20世紀初頭からの旧版地形図、18世紀の測量原図、そして新旧の空中写真や地質図、それらにオーバーレイできる地図データなど、多様なコンテンツを自ら運営するサイトで提供しているのだ。加えて、ウェブデザインのスマートさと多言語に対応(下注)している点も注目に値する。

*注 公用語であるフランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語に加えて、英語表記もある。

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18世紀のフェラーリ図に描かれたルクセンブルク市街
深い渓谷と堅固な堡塁が街を護る

では、その地図サイト Geoportal(以下、英語読みでジオポータルと表記)の概要を見ていこう。
(記述は2018年2月現在の仕様に基づく)

Geoportal(ジオポータル)
http://map.geoportail.lu/

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初期画面

上の画像が初期画面だが、以下の説明は英語版で行うので、初めに言語選択をしておきたい。右上の地球を象ったアイコンをクリックして、EN(英語)を選択する。

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言語と背景レイヤーの選択

デフォルトでは、表示される Background Layer(背景レイヤー)は Road map(道路地図)になっている。背景レイヤーを入れ替えるには、画面左上のリストで、Topographic map B/W(地形図モノクロ版)、Topographic map(地形図カラー版)、Aerial imagery(空中写真)、Hybrid map(ハイブリッド地図)、White background(無地の背景)から選択する。

このうち、ハイブリッド地図というのは、空中写真(オルソフォト)に地名や主要道路網などを加えたものだ。上記以外の地図については、別途レイヤーとして選択して重ね表示できる(詳細後述)。

特定の地域の地図を表示するには、地名、住所、地番(Parcel numberという)で指定するほか、マウスで直接矩形を描いて選択する方法がある。

縮尺を変更するには、拡大縮小(+-)ボタンを使うほか、ダブルクリックでも行える。図上でダブルクリックすると、1段階ずつ拡大する。Shiftキー+ダブルクリックで1段階ずつ縮小する。また、マウスホイールを使うと、連続的に拡大縮小できる。

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テーマとレイヤーの選択

背景レイヤーの上に重ねる地図レイヤーを表示するには、まず地図のテーマを選択する必要がある。デフォルトは「THEME: MAIN」になっている。その右の CHANGE をクリックすると、選択肢(MAIN、TOURISM、ENVIRONMENTなど)が表示される。任意のテーマを選択すると、下位項目が順に表示されていく。

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レイヤーリストの操作

レイヤーは複数選択でき、そのリストは MY LAYERS タブをクリックして見ることができる。MY LAYERS タブには、レイヤーの重ね順の変更、レイヤーの透明度の調節、レイヤーの追加/削除などの機能がある。

ここではベースマップにもなりうる地図・空中写真に絞って紹介しておこう。

地形図は、MAIN テーマ > GEOGRAPHICAL LOCATION(地理的位置)> Topographical mapsに格納されている。

同様に、空中写真は MAIN テーマ > LAND SURFACE(地表)> Orthophoto-images、
地質図は、MAIN テーマ > ENVIRONMENT, BIOLOGY AND GEOLOGY(環境、生物、地質) > Geology、
土壌図は、MAIN テーマ > ENVIRONMENT, BIOLOGY AND GEOLOGY(環境、生物、地質) > Soil mapsに、それぞれ分類されている。

地形図だけでも縮尺別に9種類のレイヤーがあるが、Automatical Topographical Map(自動地形図)を選ぶと、表示縮尺に応じて自動的にグラフィック(縮尺図)が変化していくので便利だ。そうではなく、グラフィックを固定して拡大縮小したいときは、その下に列挙されている Topographic map 1:250000~1:5000 から見たいものを選択する。

「Regional tourist map 1:20000 R(1:20,000地域別旅行地図)」は、かつて印刷版で刊行されていた旅行情報を付加した地形図で、末尾の R(régionale の頭字)は通常版と区別するための符号だった。Regional Mapsheets(地域図図郭)は、その図郭を表示する機能のことだ。

さらに興味深いのはその下にある Historical Topographical Maps(旧版地形図)という項目で、これを展開すると16種の古地図や旧版地形図のリストが現れる。

最も古い「Ferraris Map 1:20k 1778(1:20,000フェラーリ図、1778年)」は、18世紀後半に作成されたオーストリア領ネーデルラントの美麗な手彩色原図(冒頭画像はそのルクセンブルク旧市街、下注)だ。原図の縮尺は1:11,520だが、2013年の復刻本出版に際して作成された1:20,000の縮小画像が用いられている。

*注 現在のベルギー領部分は、ベルギーのサイト「カルテージウス Cartesius」などで公開されている。「地形図を見るサイト-ベルギー」参照。

次は20世紀に入り、1907年と1927年のJ・ハンゼン Hansen による1:50,000図がある。前者は粗いモノクロ複写だが、後者はカラーで原図の鮮やかさが再現されている。

次の「German War map 1:25k 1939(ドイツ戦時地形図、1939年)」は、第二次世界大戦中にルクセンブルクを占領したドイツが既存図から編集した1:25,000図だ。

そして、戦後の地図の空白期を埋めるために、キュマリー・ウント・フライ社 Kümmerly & Frey による1950年の1:150,000学習用地図が挿入されている。

本格的な地形図の復活は、フランス IGN の協力で作成された1954年の1:20,000で、1966年からは1:50,000も登場し、2000年までおよそ10年間隔で、その時点の最新図が収められている。

一方、空中写真は、戦後1951年撮影のものから利用できる。1994年まではシームレス化されていないので、各カットの撮影範囲を示す矩形が右の地図上に表示される。図上で見たい地点をクリックすると、左に写真のサムネールが現れ、それをクリックすることで実寸の画像ファイルが表示される仕組みだ。

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一般操作

ジオポータルで使える機能は他にもたくさんある。上の画像で、各アイコンの機能に日本語を添え書きしておいた。詳しくは画面右下にある HELP をご覧いただきたい。

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情報表示と印刷

たとえば、情報アイコンでは、表示縮尺や座標系を変更したり、カーソルを置いた地点の座標値や標高値の表示ができる。

また、印刷アイコンでは、PNG形式(画像ファイル)またはPDFファイルで地図のダウンロードができる。用紙の向きでは、"landscape" が横長、"portrait" が縦長の形式になる。また、印刷の縮尺では、たとえば1:50,000地形図が印刷対象であるとき、ここで1:50,000を選択すると等倍、1:25,000を選択すると2倍拡大したものが出力される。

なお、ジオポータル内のデータの利用について、利用規約(下注)には、利用者がインターネットを通じて行えることを列挙してあり、その中に「(ルクセンブルク大公国の公的機関を出処とする)地理製品、地理データおよび地理サービスを公開すること publier des géoproduits, géodonnées et géoservices (en provenance des instances officielles qui existent au Grand-Duché de Luxembourg)」も含まれている。

*注 利用規約(フランス語版) https://www.geoportail.lu/fr/propos/mentions-legales/ 引用した文言は 15.1 Généralités にある。

使用した地形図の著作権表示 © 2018 Administration du Cadastre et de la Topographie

★本ブログ内の関連記事
 ルクセンブルクの地形図

 地形図を見るサイト-ベルギー
 地形図を見るサイト-フランス

2018年2月 4日 (日)

地形図を見るサイト-ベルギー

北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏、それに東部にはわずかながらドイツ語圏も存在するベルギーでは、政府組織のウェブサイトも、まず言語を選んでから入るようになっている。測量機関 NGI / IGN(下注)も例外ではない。

*注 オランダ語で Nationaal Geografisch Instituut (NGI)、フランス語で Institut Géographique National (IGN)、直訳すれば国立地理学研究所。

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Topomap Viewer で見るブルッヘ(ブルージュ)市街

NGI / IGN の作成している地図データは、Topomap Viewer(トポマップ・ビューワー)というサイトで公開されている。ここではデジタル地図や空中写真とともに、旧来の地形図(といっても1990年代に図式は一新されているが)を縮尺別に見ることができ、画像も鮮明だ。
(記述は2018年2月現在の仕様に基づく)

Topomap Viewer(トポマップ・ビューワー)
http://www.ngi.be/topomapviewer/

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初期画面で言語を選択

初期画面(上の画像)は言語の選択だ。英語版がないので、以下はフランス語版で説明するが、使用言語を宣言する際に利用規約の承諾まで要求されるのは、一般的な閲覧サイトにしてはものものしい。しかもその下には、規約を厳守せよ、特に複写は禁止、違反者には起訴も辞さない、と強い調子の警告文が続く。善良な市民をまるで犯罪予備軍のようにみなす態度には言葉を失う。

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利用規約の一部

とはいえ、異国から訴えられても困るので、コピーの扱いがどうなっているか、利用規約 Conditions d'utilisation にも目を通しておこう(上の画像)。知的財産権の項を見ると、利用者は参照、印刷、保存(下注)、リンクの第三者配布(=共有)の権利を有すると書かれている。複写には言及がないから、権利が認められていないことは確かだ。

*注 保存に関する原文は、"sauvegarder dans le marque-pages les données de Topomapviewer"(Topomapviewer のデータをブックマークにバックアップする)。しかし、本サイトには地図データのダウンロード機能はない。

一方、禁止条項では、「過度な方法で de manière excessive」複写し、複製することはできないとあって、一切不可という表現にはなっていない。厳密な法解釈はともかく、複写・複製については権利は主張できないものの、「過度でなければ」違反行為とまではいえない、ということかと思う。本稿でも画面のスクリーンショットを使っているので、権利関係は一応押さえておきたいところだ。

さて、この関所を通過すると、ようやくベルギー全図のデフォルト画面が現れる。国土の中央で横一文字に引かれたやや太い薄紫の線が言語境界線になる。

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ベルギー全図を表示したデフォルト画面

この画面で見えているのは CARTOWEB と称するデジタル地図で、拡大していくと、最終的に住宅が一軒ずつ判別できるまでになる。凡例(地図記号)を知りたければ、左メニュー上方のLEGENDEをクリックする。

左メニューには、表示可能な地図データの一覧がある。最上段の À superposer(オーバーレイ)は背景が透過処理されており、他の地図に重ねて用いるものだ。次の Photographies aériennes(空中写真)は、現在2013~15年撮影の最新オルソフォトのみ提供されている。

3番目の Carte de référence(参考地図)の中の Cartes classiques(直訳すると伝統的な地図)が、印刷版に使われている地形図になる。TOP10MAP(1:10,000)から TOP250MAP(1:250,000)まで4種類用意されている。名称の TOP は Topo(地形の)、10は縮尺1:10,000を意味している。印刷版ではこれ以外に1:20,000がある(下注)が、これは1:10,000図を単純に50%縮小したものなので、メニューにはない。

*注 1:20,000地形図は2016年から、独自のグラフィックを用いた1:25,000に順次置き換えられている。

使われる地図レイヤーは、表示縮尺に応じて自動的に切り替わるが、リストの上部にある"Mode automatique: l'échelle détermine la couche affichée(自動モード:縮尺により表示レイヤーが決まる)"のチェックをはずすと、レイヤーが固定化され、そのレイヤーの拡大縮小ができるようになる。ただし、複数の地形図レイヤーを同時に選択することはできないようだ。

レイヤーの選択を解除したいときは、そのサムネールの上でクリックする。

地図の拡大縮小は、地図画面左上のスケールバーを上下させる方法や、マウスホイールを使う方法がある。また、範囲を指定して拡大縮小するときは、上のメニューにある専用のボタンをクリックして行うほか、Shiftキーを押しながらマウスで矩形を描くのも可能だ。

また、上のメニューには「<」(前の画面、すなわち「元に戻す」)、「>」(後の画面)というボタンがある。閲覧サイトでは珍しい機能だが、前の画像をもう一度見たいと思うときはあるもので、覚えておくと重宝する。

これまで見てきたフランスやオランダのサイトとは違って、IGNのサイトはあくまで最新図が対象であって、旧版図の画像は用意されていない。どこかにないものかと探したところ、次のサイトが見つかった。

Cartesius(カルテージウス)
http://www.cartesius.be/CartesiusPortal/

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「カルテージウス」初期画面

これはベルギーと(ベルギーの植民地があった)中央アフリカの古地図、旧版地図、空中写真の膨大なコレクションを一挙公開するという意欲的なサイトで、NGI / IGN、王立図書館 Bibliothèque royale、国立古文書館 Archives de l’Etat、王立中央アフリカ博物館 Musée royal de l’Afrique centrale が共同で開設したものだ。近代測量以前の古地図はもとより、1770年代のフェラーリ図 Cartes de Ferraris(下注)から最近の地形図に至るまで、各時代の地図資料が見られる。

*注 フェラーリ伯により1770~78年に作成されたオーストリア領ネーデルラントの彩色地図。手描きの原図は縮尺1:11,520で275面あるが、それをカッシーニ図に合わせて1:86,400、25面に編集した銅版刷りの普及版も作られた。このサイトで表示されるのは、ベルギー王立図書館所蔵の1:11,520原図を1:20,000に縮小した画像。フェラーリ図の索引図は http://www.ngi.be/FerrarisKBR/ にある。

以下、英語版で説明するが、初期画面(上の画面)には Search と MyCartesuis の2つの入り口がある。前者では、膨大なコレクションから目的のコンテンツを地図上、あるいはキーワードで検索する。後者は、検索で見つけたコンテンツを利用者がいつでも呼び出せるように保存し、メモをつけたり、グループ化したり、公開したりできる(ユーザー登録が必要)。

操作マニュアルは40ページ以上もあって、本稿ではとうていフォローできないが、まずはSearch(検索)機能を使って、旧版地図を探し出すところまでを説明しよう。

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検索画面

Search をクリックして中に入ると、左に地図、右にキーワードを入力する画面が現れる。キーワードだけで検索するとヒット件数が多すぎる場合は、地図でエリア範囲を絞り込める。スケールバーで拡大縮小してもいいが、Shiftキーを押しながらマウスで範囲選択するほうが早い。

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検索範囲や語句、属性を入力

このとき、Intersection(左の地図に部分的にでも含まれる地図を検索)か、Overlapping(同 完全に含まれる地図を検索)か、Everywhere(全範囲を検索)かを選択できる。

例として、キーワードを"Carte topographique(仏語で地形図の意)" にし、縮尺で"Part of province, City and surrounding area(州、都市と周辺の一部)" を選んだ。これで縮尺が1:10,000~1:75,000の範囲になる。地図を Brussel / Bruxelles(ブリュッセル)周辺まで拡大しておき、検索ボタンをクリックした。

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検索結果

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サムネールの展開

結果は201件がヒットした。これで希望のものが見つかればよし、そうでなく検索結果を消去して条件設定をやり直すときは Filter Empty、検索条件を追加してさらに絞り込む場合は Extended filterをクリックする。

右下に表示されている検索結果のサムネールにカーソルを当てると、その範囲が左の地図に黄色で表示される。サムネールのテキストをクリックすると、解説が表示される。その "See map" を選択するか、サムネールの画像部分をクリックすると、MyCartesuis の画面に移って、高精度の地図画像が表示される。

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地図画像の表示

なお、英語版で上記の手順を実行したところ、いっこうに地図画像が現れなかったのだが、フランス語版で再試行すると短時間で表示された。もし英語版でサイトの反応が鈍いようなら、他の言語で試していただきたい。

使用した地形図の著作権表示 © 2018 IGN Topomapviewer

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