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2018年1月25日 (木)

地形図を見るサイト-フランス

フランスの国土地理院であるIGN(イ・ジ・エヌ、Institut Géographique National)も、地形図を含む幅広いジャンルの地理情報をウェブサイトで公開している。

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「ジェオポルタイユ」で見る1:25,000地形図
遠浅の湾内に浮かぶモン・サン・ミシェル。中心が修道院 Abbaye 、東~南斜面に門前町

フランスは面積では西ヨーロッパ最大で、551,500平方km(海外領土・属領を含まず)と、スイスやドイツ・バイエルン州の約13倍もある。そのため、さすがに旧版地形図がすべて見られるわけではないが、18世紀のカッシーニ図、19世紀前半の参謀本部地図、20世紀中盤の1:50,000(IGN旧版)、そして現行図と、世紀単位で国土の発展を追うことができる(下注)。

*注 パリ首都圏については、さらに1818~24年の参謀本部地図と1900年図式地形図も提供されている。

サイトのもう一つの特徴は、フランス国内だけでなく、国外についても協力会社の地図でカバーしている点だ。そのために Esri や OpenStreetMap の世界地図が使われており、それに加えて、スイスとルクセンブルクの官製図もレイヤーとして選択できる。グーグルマップの浸透で、国境を越えて地図・空中写真を閲覧できるのは当たり前のように思われがちだが、国家測量機関のサイトではあまり例がない。IGNは以前から、紙地図でも民間地図会社と提携して、他国の旅行地図をIGNブランドで販売してきた。それと同じことをウェブサイトの世界でも実現しているわけだ。

それでは、IGNの地図閲覧サイト Géoportail(ジェオポルタイユ、地理ポータルの意)の内容を見ていこう。表記はフランス語のみのため、スクリーンショットには適宜日本語訳を付している。
(記述は2018年1月現在の仕様に基づく)

ジェオポルタイユ Géoportail
https://www.geoportail.gouv.fr/

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初期画面

初期画面(上の画像)が地図ではなく、説明文が並んでいるだけなので戸惑うが、検索窓を除いて、どの文字列をクリックしても、次に出てくる画面は同じだ。

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次画面(2回目以降は省略も)

次画面(上の画像)には簡単な操作説明がある。FAQを見るのでなければ、画面上のどこかでクリックする。これでようやく黒のマスクが取れて、フランス全土の空中写真が現れる。

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操作初期画面

各アイコンの機能は上の画像に書き加えたとおりだが、空中写真を拡大しても、土地鑑がない限りそれがどこなのか見当もつかない。それで空中写真を地図に取り換えることにしよう。

別の地図などにするには、左上隅のCARTES(地図)のアイコンをクリックして、メニューを表示させる(このときアイコンが90度回転する)。なお、メニューを消去するには、再度CARTESアイコンをクリックする。

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ベースマップメニュー。「すべてのベースマップを見る」をクリックすると右の画面に

FOND DE CARTE(ベースマップ)をすべて表示するには、Voir tous les fonds de carte(すべてのベースマップを見る)をクリックする。上の右画面のような一覧が表示されるので、任意のサムネールを選択する。

なお、選択したベースマップはレイヤーとして、削除の操作(方法は後述)をしない限り積み重なっていく。つまり、一度選択したものは、画面で見えなくても背後には残っているのだ。それで、重ね順を変更したり、透明度を調節すること(方法は後述)によって、再び表示させることができる。また、レイヤーのサムネールをダブルクリックしても、重ね順が一番手前に来る。

選択できるベースマップは以下の通り。

・Carte IGN:IGN地図、すなわち全土のベクトルマップ
・Parcelles cadastrales:地籍図。背景が透明のため、他の地図に重ねて表示が可能。
・Plan IGN:IGN地図(作業用)。家屋の輪郭や影を消し、作業に使いやすいようにしている。
・Carte topographique IGN: IGN地形図、市販されている1:25,000地形図と同じもの。
・Cartes IGN classiques:IGN地図旧図式
・Carte IGN (niveaux de gris):IGN地図グレースケール版。さまざまなデータをオーバーレイするときに用いるとよい。
・Carte France Raster:ラスターマップ
・Carte du relief:レリーフ地図
・Cartes 1950:1950年代の地形図、縮尺1:50,000。
・Photographies aériennes 1950-1965:1950~1965年撮影の空中写真
・Carte de Cassini:カッシーニ図。18世紀に作成された三角測量に基づく世界最初の地図。原図の縮尺は1:86,400
・Carte de l'état-major (1820-1866):参謀本部地図。19世紀の軍用地形図で、縮尺1:80,000
・Cartes géologiques:地質図
・Esri World Topographic Map
・Esri World Street Map
・OpenStreetMap monde

メニューを畳むには、tous les fonds de carte の見出しの左の "<" をクリックする。

用意されている地図データはこれだけではない。Données thématiques(テーマのデータ)の見出しの下に、Agriculture(農業)から Territoires et transports(国土と交通)まで並ぶ項目の中にも、多数の選択肢がある。

例えば Culture et patrimoine(文化と遺産)には、Guyane française(フランス領ギアナ図、1780年、下注)、Carte de l’état-major – environs de Paris(最初の参謀本部地図-パリ周辺、1818~24年)、Cartes topographique type 1900 – Paris et ses environs(1900年図式地形図-パリとその周辺)など、上のベースマップ一覧にはない古地図が挙がっている。

*注 フランス領ギアナは南米大陸の北東岸にあり、ベースマップをその位置にしないと表示されない、

International et Europe(世界とヨーロッパ)では、Suisse(スイス)や Luxembourg(ルクセンブルク)の地形図が見られ(下注)、Territoires et transports(国土と交通)> Transportsには、Routes(道路)、Réseau ferroviaire(鉄道網)のオーバーレイやCarte OACI-VFR(ICAO航空図)もある。

*注 ルクセンブルクの地形図作成は、戦後一貫してフランスIGNが協力しているので、ここに登場するのは不思議なことではない。本ブログ「ルクセンブルクの地形図」参照。

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レイヤー操作メニュー

次に削除や重ね順の変更など、レイヤーの操作方法は以下のとおり。

まず、右上にあるレイヤーアイコン(上図の左画面参照)をクリックして、選択中のレイヤーを一覧表示する。歯車アイコン(同 中画面)をクリックすると、図のようなマネージャが現れる(同 右画面)。上がレイヤーの透明度を変えるスライドバーで、下のアイコンは左から、レイヤーの非表示/表示、モノクロ/カラー、情報の表示、削除(=選択をやめる)といった機能だ。

また、レイヤーの重ね順を変更するには、レイヤーのサムネールを上下にドラッグドロップする。

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印刷画面

次は表示した地図の操作について。

特定の地域を表示するには、検索窓で任意の地名(例:Paris)、郵便番号(例:75004)、経緯度(例:48°51'10.8" 2°20'59.4")、同 座標値(例:48.853084 2.349864)などを指定する。

地図を拡大縮小するには、+-ボタンを使うほか、ダブルクリックでも行える。図上でダブルクリックすると、1段階ずつ拡大する。Shiftキー+ダブルクリックで1段階ずつ縮小する。また、マウスホイールを使うと、連続的に拡大縮小できる。

地図をプリントするときは、画面右上の印刷アイコンをクリックする。印刷する地図にタイトルやコメントを入力する画面が出るが、必要なければ空白のままで、Imprimer(印刷する)ボタンをクリックする。拡大縮小や印刷範囲の微調整といった機能は見当たらない。

その他詳しい使い方は、画面右上のヘルプアイコンからリンクしている。

スイスで提供されているような「地形図による時間旅行」ができるサイトは、「ルモンテ・ル・タン Remonter le temps(時を遡るの意)」の名称で別に作られている。2種類の地図・空中写真を並べて比較したり、ダウンロードしたりする機能が実装されているが、表示できるのは、IGN地図、1950年代の縮尺1:50,000地形図、1820~66年の参謀本部地図、18世紀のカッシーニ図、現行の空中写真、1950~65年の空中写真の6種類にとどまる。いずれもジェオポルタイユで見ることができるものばかりで、わざわざ別サイトにする意味は薄いように思う。

ルモンテ・ル・タン Remonter le temps
https://remonterletemps.ign.fr/

Blog_france_map_hp7
「ルモンテ・ル・タン」2種の地図比較画面

なお、ジェオポルタイユのデータの使用については、利用規約に次のとおり記されている。
http://www.geoportail.gouv.fr/mentions-legales より抜粋、和訳)

「10.スクリーンショットと印刷

IGNのコンテンツのみがスクリーンショットまたは印刷物に含まれる場合、各データレイヤーの情報に反対記述がない限り、IGNは次のとおり再使用を許可する。

・A4サイズおよび解像度150dpi(約1230×1750ピクセル)に限定した、直接または間接的に経済的利益を与えない用途での印刷

・最大サイズ1000×1000ピクセルかそれと同等または約100万ピクセルの1個または複数個の画像に限定した、サイト、ブログ、共有プラットフォームその他、インターネットユーザーが登録なしで参照可能なウェブアプリケーションへの挿入。あらゆる公表物には、GéoportailのロゴとIGNのロゴまたは「© IGN」と年次の記述を添えなければならない。ただしこの記述では、公表サイトとジェオポルタイユの間で混同が生じないように、スクリーンショットの出処を示すべきである。

それ以外のIGNデータの使用はすべて、IGN代理店網から入手できるライセンスの対象となる。」

使用した地形図の著作権表示 © IGN, 2018

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