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2018年1月18日 (木)

地形図を見るサイト-ドイツ・バイエルン州

通販サイトで商品の発注や代金決済が手軽に行えるようになった今でも、外国の地形図を印刷物で入手するには、ある程度の手数と時間を伴う。一方で、より手軽に地形図にアクセスできるように、ウェブサイトで閲覧やセルフ印刷のサービスを提供する測量機関も増えてきた。本ブログでも、先にスイスとニュージーランドのサイトを紹介した(本稿末尾にリンクあり)が、ほかにも同じような仕組みを整えているところがある。ドイツ・バイエルン州もその一つだ。

ドイツの地形図概説 II-連邦と州の分業」 でも紹介したように、ドイツの官製地図作成は、小縮尺(1:200,000以下)が連邦政府、中・大縮尺図(1:100,000以上)は各州政府という分業体制がとられていて、ウェブサイトもそれぞれにある。中でもバイエルン州の測量局(下注)が開いているサイト「バイエルンアトラス BayernAtlas」は、使い勝手がよく、内容的にも充実している。

*注 かつてはバイエルン州測量局 Bayerisches Landesvermessungsamt という単純明快な名称だったが、現在は任務の高度化を反映して「デジタル化・広帯域・測量局 Landesamt für Digitalisierung, Breitband und Vermessung(略称 LDBV)」と称する。

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「バイエルンアトラス」で見る現行1:25,000地形図
ワグネリアンの聖地バイロイト。南に旧市街、北に祝祭劇場 Festspielhaus が建つ丘

バイエルン Bayern(正式名:バイエルン自由州 Freistaat Bayern)は、ドイツの面積の2割に当たる広い州域(70,549平方km、北海道の面積の85%に相当)を有している。その上、オーストリアとの国境にはアルプスの山岳地帯が横たわり、地勢の面でもダイナミックさが際立つ。それだけに、見ごたえのあるサイトで、地形の詳細を余すところなくチェックできるのはうれしいことだ。

同サイトは、スイスの「連邦ジオポータル Geoportal des Bundes」で使われているシステムをベースにしているので、画面デザインや操作方法はよく似ている。ただ、英語表記の説明も選択できるスイスとは異なり、ドイツ語表記しかないのが難点だ。そこで本稿では、スイスのサイト紹介と重複するのを承知の上で、主な使い方を日本語訳を加えながら記すことにしたい。
(記述は2018年1月現在の仕様に基づく)

バイエルンアトラス BayernAtlas
https://geoportal.bayern.de/bayernatlas/

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初期画面

初期画面(上の画像)では、バイエルン州全域が「ウェブカルテ Webkarte」のカラー版で表示されている。ウェブカルテというのはベクトルマップで、右端の拡大縮小(+-)ボタンを使って、最終的に家1軒の形と家屋番号がわかるところまで拡大できる。実用的にはこれで十分だが、残念ながら等高線や植生の種類などは省かれており、そこが地形図との違いになっている。ウェブカルテは背景図として扱われており、他の地図と入れ替えたり、この上に別の地図レイヤーを重ねたりできる。

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背景図選択

背景図を入れ替えるには、画面右下の Hintergrund(背景)をクリックする。背景図は、Kein Hintergrund(背景なし=白地の画面)、Webkarte S/W(ウェブカルテのモノクロ版)、Historische Karte(古地図)、Topographische Karte(地形図)、Luftbild + Beschriftung(空中写真+注記)、Webkarte(ウェブカルテのカラー版=初期画面)の6種から選択できる。

このうち、「Historische Karte(古地図)」は、1817~1841年に作成されたバイエルン王国最初の近代測量成果である縮尺1:25,000の「測量原図 Urpositionsblätter」902面のシームレス画像が表示される。それ以外の旧版地形図は、背景図ではなくレイヤーで重ねることになる(後述)。

「Topographische Karte(地形図)」は、現行地形図のピクセルマップ(ラスタデータ)で、1:200,000以下は連邦の測量局BKG作成の図が使われている。

「Luftbild + Beschriftung(空中写真+注記)」には、画像に注記文字が埋め込まれている。注記のない空中写真はレイヤーで選択できる(後述)。

特定の地域の地図を表示するには、地名、郵便番号、経緯度、UTM座標などで指定するほか、マウスで直接矩形を描いて選択する方法がある。

・地名/郵便番号で検索
 →検索窓に、表示したい地名(例:Augsburg)または郵便番号(例:86150)を入力。候補が表示された場合はその中から選択

・経緯度で検索
 →検索窓に、経緯度(経度 緯度の順、48°22'03" 10°53'54")、同 座標値(例:48.36728 10.89829)などを入力

・マウスで直接選択
 →地図上でShiftキーを押しながらマウスで任意の範囲をドラッグする(矩形を描く)

地図を拡大縮小するには、+-ボタンを使うほか、ダブルクリックでも行える。図上でダブルクリックすると、1段階ずつ拡大する。Shiftキー+ダブルクリックで1段階ずつ縮小する。また、マウスホイールを使うと、連続的に拡大縮小できる。

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テーマの選択

背景図の上に重ねる地図レイヤーを表示するには、まず地図のテーマを選択する必要がある。レイヤーはテーマ別にまとめられているからだ。テーマは左メニューに表示されており、デフォルトは「Freizeit in Bayern(バイエルンでの休暇)」になっている。この下部項目にレイヤーが列挙されている。

地図のテーマを選択するには、初期画面で「Freizeit in Bayern」の見出しの右にある「Thema wechseln(テーマを選択)」のリンクから、選択肢(下の画像)を表示させる。

レイヤー表示の例として、ここでは「旧版地図」と「注記のない空中写真」を取り上げる。

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さまざまなテーマを選択できる

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旧版地形図を表示

・旧版地図(図郭表示→PDFダウンロード)
 テーマ「Geobasisdaten(地理基礎データ)」の従項目に「Historische Karten(旧版地図)」がある。2018年1月現在で提供されているのは1:25,000地形図 Historische Topographische Karten 1:25 000(下注)のみだ。表示される索引図の中から任意の図郭をクリックすると、その図葉の刊行年次リストとPDFファイルへのリンクが表示される(上の画像)。

*注 バイエルンの1:25,000地形図は、1902年にラインプファルツ Rheinpfalz(ライン川左岸にあったバイエルン王国の飛び地で、第2次大戦後はラインラント・プファルツ州の一部となる)で、1920年からライン川右岸のバイエルン rechtsrheinischen Bayern でも開始され、1960年に全558面が完成した。リストには2008年までに作成されたものが表示される。

・注記のない空中写真
 「Freizeit in Bayern(バイエルンでの休暇)」の従項目の「Basiskarten(基本図)」に、Luftbild(空中写真)を選択する。

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複数の地図の対比、透明度バーを使う

複数の地図や空中写真を画面上で対比させるときは、2通りの方法がある。まず、地図や空中写真を先述の手順で複数選択しておく。

・透明度バーを使う
 →左メニュー下部の Dargestellte Karten(表示する地図、上図②)で、上記テーマで選択したレイヤーの一覧が表示されるので、右の歯車マーク(上図③)をクリックし、Transparenz(透明度)バー(上図④)をスライドさせて、各層の透明度を調整する。重ね順は右側の矢印をクリックして変更できる。

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同上、左右に並べて表示

・左右に並べて表示
 →左メニューの Erweitere Werkzeuge(拡張ツール)> Vergleichen(対比)で左右に並べて表示できる。境界線はスライド(左右に移動)できる。

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地図の印刷

地図をプリントするときは、左メニューのDrucken(印刷)から必要事項を選択する。Orientierung(印刷の向き)は、Hochformat(縦長)か Querformat(横長)で、Maßstab(印刷の縮尺)の意味するところは、印刷対象となる地図本来の縮尺ではなく、紙に印刷したときの縮尺のことだ。たとえば1:50,000地形図が印刷対象のとき、ここで1:25,000を選択すると2倍に拡大したものが出力される。

選択後、Drucken(印刷する)をクリックする。生成されたPDFファイルを保存し、アドビリーダー等を使ってプリントする。

その他詳しい使い方は画面右上の Hilfe(ヘルプ)にある。

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時間旅行バーの表示

「時間旅行 Zeitreise」

スイスのサイトと同じく、各時代の旧版地形図による「時間旅行」機能も提供されている。
左メニューにある Thema wechseln(テーマ変更)のリンクから、Zeitreise(時間旅行)を選択すると、画面上部に「時間旅行バー」が表示される。バーには1850年代から現在までの目盛が振られている。ポインターに記されている数字は年次で、その時点で最も新しい改訂年次の地図が画面に表示される。

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年次の選択

表示地図の年次を変更するには

・ポインターをスライド
 →ポインターをバーの上で左右にスライドさせる。動かす都度、地図が入れ替わる。

・ポインターの年次を手入力
 →年次の個所をダブルクリックで選択して、任意の年次を手入力する。

なお、年代(特に古い年代)によって旧版図が存在しない場合は、最も近い年代の図(または別の縮尺図の拡大版など)が表示される。

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地図の縮尺や改訂年次などを知る

表示地図の縮尺や改訂年次などを知るには、図上でクリックする。Objekt-Information(主題情報)として、シリーズ名称・縮尺、Blattnummer(図番)または Blattname(図名)、Herausgabejahr(改訂年次)、Ausgabeart(版の種類、Normalausgabe=通常版、Schummerungsausgabe=ぼかし付加版、Farbausgabe=カラー版など)が表示される。

また、その下の行に "Karte als PDF" のリンクが出る場合は、当該図のPDFファイルをダウンロードすることができる。

時代順に地図を自動で切替えるには、時間旅行バーの右端にあるプレイボタンをクリックする。

異なる年次の地図を同時に表示するには、上記「複数の地図や空中写真を画面上で対比させるとき」の機能を使用する。

「バイエルンアトラス」では、ドイツ全土をカバーする既知の地形図体系とは別に、バイエルン王国(第一次世界大戦後は州)が独自に整備した19世紀前半の縮尺1:25,000「測量原図 Urpositionsblätter」や、縮尺1:50,000「バイエルン王国地形図集成 Topographischer Atlas des Königreiches Bayern」など、貴重な古地図(旧版地形図)も公開されており、興味は尽きない。1:50,000旧版など未作成のPDF化が完了した暁には、スイスのそれに匹敵するすばらしいウェブ・アーカイブになることが期待される。

使用した地形図の著作権表示 © Landesamt für Digitalisierung, Breitband und Vermessung, Bayern, 2018

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 ドイツの1:25,000地形図
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 地形図を見るサイト-スイス I
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