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2016年6月19日 (日)

新線試乗記-仙台地下鉄東西線

緑に囲まれた国際センター駅の建物は、ガラス張りのフリースペースが広く取られ、開放感にあふれている。2階東側のテラスに出ると、ご丁寧にもお立ち台まで用意してあった。聞いていたとおり、ここからは広瀬川をまたぐ東西線が遮るものなく俯瞰できる。しばらくすると、対岸の木立の陰から側面にライトブルーの帯を通した2000系電車が現れた。真新しい橋梁の上をほとんど音もなく近づいてくる。そして前面を飾る三日月のラインを一瞬光らせた後、滑るように足もとの駅構内へ消えていった。

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広瀬川橋梁を渡ってくる2000系電車(国際センター駅2階テラスから)

仙台市営地下鉄東西線は、八木山動物公園~荒井間の13.9kmで、2015年12月6日に開業した。名前が示すように、仙台市内を東西に貫く路線だ。訪れたのは今年(2016年)6月、開業時のフィーバーはとうに治まって、ふだんどおりの日曜の午後だった。券売機で地下鉄の一日乗車券を買ったら、土・日・祝日は620円の特別価格になっている。これだけで何度も乗り降りするのはなんだか恐縮だ。起点は西側の八木山動物公園駅だが、今回は東側の荒井駅から、途中下車もしながら、八木山動物公園のほうへ向かうことにしよう。

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(左)開業を知らせるパンフレット (右)路線図、ライトブルーが東西線

荒井駅の周りはまだ開発中だ。駅正面(南側)にはバスターミナルがあり、住宅やマンションも建つが、北側には農地が広がっている。地図で見ると仙台東部道路がすぐ東を走っていて、市街地の東端にいることがわかる。ホームは地下にあり、線路はその後地上に出て、車両基地に続いている。駅舎は新幹線の駅さえ思わせる立派な2階建てだ。大震災とその復興の記録を展示した3.11メモリアル交流館が開いていたので、しばらく見学させてもらった。

スタジオ風のしゃれた天井のコンコースを降りて、上り電車に乗る。土休日の日中も南北線と同じ7分30秒間隔の設定で、15分もあれば中心部に着けるのだから便利だ。しかし4両編成の電車に、客は数えるほどしか乗っていない。

■参考サイト
荒井駅付近の最新1:25,000地形図
http://maps.gsi.go.jp/#15/38.244900/140.948400

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荒井駅 (左)駅舎 (右)1階コンコース
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荒井駅 (左)駅の周りは開発途中。左奥に車両基地がある
(右)せんだい3.11メモリアル交流館の展示室

2000系車両は全長16.5m(中間車)、全幅2.5m、都営大江戸線などとほぼ同じ小断面、リニアモーター方式の車両だ。南北線を走る1000系は全長20m(同)、全幅2.9mあり、そちらから乗換えると確かに狭く感じる。ところが、おもしろいことに床下の線路幅は東西線の方が広い。南北線の軌間がJRと同じ1067mmであるのに対して、東西線は標準軌の1435mmを使っている。

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2000系電車
(左)側面はホームドアに隠れない位置にアクセントを施す (右)車内はやや狭い

3つ目の薬師堂駅で降りてみた。駅名に合せたのか、地上出入口が和風のデザインだ。ここも屋根付きのバス乗り場が接していて、公共交通の接続改善が図られている。東北貨物線をくぐったところにある陸奥国分寺跡の薬師堂を見ようと思ったのだが、広い境内にひと気はなく、物寂しい雰囲気だった。

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薬師堂駅の和風出入り口とバス乗り場
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(左)薬師堂仁王門 (右)ひと気のない薬師堂境内

次の連坊(れんぼう)駅は寺町らしい地名で、仙台一高前でもある。ライバル校の仙台二高は国際センター駅から歩いて数分だから、図らずも東西線で簡単に往来できるようになったわけだ。エスカレーターがやたらと長いのは、一部で民地の下を通ることもあって、線路の位置が深いのだろう。

ルート図を見ると、ここから青葉通一番町までは直角カーブを繰り返し、まるであみだ籤をたどるようだ。中に半径105mという最急曲線も何か所か含まれている。宮城野通りの下を貫くJR仙石線との競合を避けたのかもしれないが、せめて新寺通りを直進すれば、楽天スタジアムへの足にもなったのにと残念に思う市民もいることだろう。とはいえ、線形が悪い割には、乗り心地がいい。急カーブにありがちな車輪がレールと摺れる不快音がほとんど聞こえてこない(下注)。

*注 異音が少ないのは、急曲線対策として国内のリニア地下鉄初となるボギー角連動リンク式操舵台車を用いているからだという。(「仙台市営地下鉄東西線が開業」鉄道ジャーナル2016年4月号p.128)

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連坊駅 (左)一高前のエレベーター出入口 (右)駅名の由来を記す特設案内板

仙台駅で車内の客が一斉に入れ替わった。やはりJRと地下鉄とバスが集中する公共交通の一大結節点だ。静かな時が流れていたこれまでの駅構内とうってかわり、コンコースを歩く人の流れも速くて激しい。急に都会に放り出されたような気がして、ちょっと面食らう。

ここでは、地下化されたJR仙石線の下を地下鉄南北線がくぐり、その南北線の下を東西線が交差している。東西線の線路の深さは推して知るべしだ。JR仙台駅から来ると地下鉄の東改札を入ることになるが、手前に東西線のホームへ降りる長いエスカレーターがあった。南北線のエスカレーターはその奥になる。慣れれば何でもない話だが、南北線に乗ろうとしてうっかり東西線に行ってしまいそうだ。

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地下鉄仙台駅東改札
正面が東西線ホームへ降りるエスカレーター、南北線は奥へ進む

東西線が地上に顔を出す大町西公園~国際センター間は、駅を出て歩いてみた。桜の名所でもある西公園は、整備工事で閉鎖中だった。ならばと広瀬川を渡る大橋の上に立ち止まり、北側に見えるスマートな鉄道橋を渡ってくる2000系を待つ。運転間隔が短いから、チャンスはすぐにやってくる。

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地下鉄広瀬川橋梁を大橋から望む

大橋の西のたもとから国際センター駅へは、川沿いに桜の小径(こみち)という名の気持ちのいい散歩道が延びている。鉄道に乗りに来ていることをつい忘れてしまいそうだ。冒頭でこの駅の2階にあるお立ち台のことを書いたが、線路の直上にあるため、架線を支える太いビームがいささか目障りだった。視点は少し下がるものの、むしろこの小径からの方が車両をきれいに捉えることができる。

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国際センター駅 (左)ガラス張りの駅舎 (右)改札の中にも緑が見える
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桜の小径から見た広瀬川橋梁

次の川内(かわうち)と青葉山は、東北大学のために造ったような駅だ。これまで仙台駅からバスで優に20分はかかった山の上のキャンパスまで、電車は10分足らずで駆け上がってしまう。そのために、この間には57‰(水平距離1000mで57m上がる)という急勾配があるのだが、乗っていてもモーターの唸りが特別高まることもなく、坂の気配はほとんど感じなかった。

青葉山駅のホームもかなり深くて、キャンパスのど真ん中にある地上出入り口までエスカレーターを何度も乗り継がなければならない。昼夜を問わず学生の姿がある理系学部の敷地とはいえ、さすがに日曜日は閑散としている。ホームまで降りるのに階段の段数を数えたら、205段あった。親切にも途中に休憩用のベンチが用意されている。

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青葉山駅 (左)土壁を模した階段の壁面 (右)地上出入り口はキャンパスの中に

上り電車は終点に着く直前に、竜の口渓谷をまたぐ。青葉山と八木山を分けている深い谷だ。本来ならここに架かる竜の口橋梁は沿線随一の眺めになるはずだが、残念ながら期待に応えてはくれない。その理由は、橋がダブルデッキトラスと言って、線路の上に道路が被さる二重構造のトラス橋だからだ。さらに、現場は森に阻まれて外からの眺望が利かず、接続道路も開通の見通しが立っていない。車窓からは谷の斜面のうっそうとした森が垣間見えるが、それだけだ。トラスが視界をよぎり、あっという間にまた闇に閉ざされる。

到着した八木山動物公園駅では、ホームのエレベーター乗場に、さっそくお目当ての表示を見つけた。「136.4m(軌条面)、日本一標高の高い地下鉄駅」と、動物公園の最寄駅らしくキリンやライオンやペンギンたちのイラストとともに記されている。改札階の床にも動物の足跡が描かれ、雰囲気を盛り上げる。

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八木山動物公園駅 (左)ホームにある「標高日本一」のイラスト (右)コンコース

地上1階はバスターミナルだが、特にバスに用事のない人は、エレベーターで一気に5階まで上がることをお奨めしたい。そこは大規模な駐車場の屋上で、動物公園の西口に平面で接続している。反対側は展望テラスになっていて、八木山の斜面全体に広がる住宅街とかなたの仙台平野が一望になる。透明フェンスにホームと同じイラストがあった。ホームで見たときはまるで実感が伴わなかったが、ここに立って初めて「日本一」の意味するところが腑に落ちた。

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屋上テラスは仙台平野を見晴らす展望台

■参考サイト
仙台市交通局-地下鉄 http://www.kotsu.city.sendai.jp/subway/
八木山動物公園駅付近の最新1:25,000地形図
http://maps.gsi.go.jp/#15/38.243000/140.843400

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