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2011年9月25日 (日)

ニュージーランドの鉄道地図

ニュージーランドの鉄道はわが国のJR在来線などと同じ1067mmの狭軌で、北島、南島合わせて4128kmの路線網がある(下注1)。最盛期の1953年には総延長が5656kmだった(下注2)というから、すでに3割ほど縮小したことになる。今もノース・オークランド線 North Auckland Line をはじめ、いくつかの路線が存廃の岐路に立たされているので、数年先にはこの数値がさらに何百kmの単位で減ってしまうかもしれない。

*注1 CIA - The World Factbookによる(データは2010年現在)
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/nz.html
*注2 キーウィレール KiwiRail 公式サイトの "History of Rail" による
http://www.kiwirail.co.nz/

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印刷物となった同国の鉄道地図では、当時のニュージーランド国鉄 New Zealand Railways Corporation (NZRC) が刊行した1枚ものの路線図がある。北島と南島の2面に分かれていて、各々上部に、1980年代に使用された国鉄のロゴが大きく掲げられている。地図は、国の測量機関である土地測量局 Department of Lands and Survey(当時)の手になるいわゆる官製図だ。手元に1983年第3版がある。

縮尺は約120万分の1で、5色刷り。水部のみ描かれたベースマップの上に、現役の鉄道が赤の太線、廃止・休止線が緑の太線、主要道路がオレンジの細線で記されている。表示された駅の数もけっこう多いが、古い地形図と照合すると必ずしも全駅ではなさそうだ。あるいは編集当時の営業駅だけを示しているのかもしれない。主要都市については余白に挿図があり、ウェリントン Wellington やオークランド Auckland 市内の小駅も読み取れる。図郭の下には駅名索引が完備されている。

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インヴァーカーギル周辺

廃止・休止線を完全に描くというのは、公式地図ではあまり例を知らない。南島インヴァーカーギル Invercargill 周辺には、内陸の炭鉱と海港を結ぶために中小路線のネットワークが発達していたことがよくわかるし、この縮尺では小さくなって目立たないが、改良事業により別線に切替えられた区間(下注)の旧線さえ律儀に図示されている。

*注 北島ウェリントン郊外のタワフラット短絡線 Tawa Flat deviation(1937年)、同じくフェル式勾配線を置換えたリムタカトンネル Rimutaka Tunnel(8.8km、1955年)、北東部プレンティ湾 Bay of Plenty へ直通するカイマイトンネル Kaimai Tunnel(8.9km、1978年)など。

しかし、電化や複線といった鉄道施設に関する基本データは示されず、せっかくの大判図が単純な路線網一覧にとどまっているところが惜しまれる。その後、ニュージーランド国鉄は改組を経て1993年に完全民営化されたため、この鉄道地図もいつしか絶版になってしまった。

【追記 2017.9.18】

下記サイトで、ニュージーランド国鉄路線図のJPEG、TIFFファイルが公開されている。
https://gdh.auckland.ac.nz/maps/LINZ/LS/LS_159/
ファイル名のNIは北島編、SIは南島編を示す。ただし、廃止・休止線は描かれておらず、印刷図とは別のバージョンのようだ。

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イギリスの専門出版社であるクエールマップ社 Quail Map Companyからは、以前「ニュージーランド鉄道・軌道地図帳 New Zealand Railway and Tramway Atlas」というA5判のミニ地図帳が刊行されていた。同社は、路線網を詳細に描いた専門家や愛好家向けの鉄道地図を各種製作しており、これもその一つだ。

廃線を含む全線を描く方針は先述の図と同じだが、こちらは、範囲を市内軌道から地方の貨物用軌道いわゆるブッシュトラムウェー Bush tramway や鉱山軌道 Mineral tramway にまで拡大した、徹底さが売りものだ。単線・複線、電化(直流1500Vと交流25000V)の別、橋梁やトンネルの諸元、駅の種別(旅客・貨物扱い)とキロ程、標高、それに区間ごとの開通年月日などインフラに関するデータが実に詳しく記載されている。各都市のトラムについても別途、ルートの街路名や開通・廃止年月日が盛り込まれた地図がある。駅と列車交換所の名称索引が完備された48ページの貴重な基礎資料なのだが、残念ながら1993年12月に第4版が刊行されたきり改訂がなく、すでに版元切れとなっている。

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地図帳の凡例

ウェブサイトで見られる鉄道地図には、以下のものがある。
Blog_nz_railmap_hp1 全国版としては、「オーストラリア鉄道地図 Australian Rail Maps」の Other Countries のくくりに、ニュージーランド編がある。

■参考サイト
Australian Rail Maps  http://www.railmaps.com.au/
トップページ左メニューの "Other Countries" > "New Zealand"

本国版と同じデザインを用いて北島と南島の列車系統図がそれぞれ描かれ、主要都市オークランド、ウェリントン、クライストチャーチ Christchurch については拡大図がある。地図の特徴や記号の意味はオーストラリア編と変わらないので、詳細については「オーストラリアの鉄道地図 III-ウェブ版」の紹介記事を参考にしていただきたい。

ニュージーランドでは、2000年代初め(2001、02年)に思い切った長距離旅客列車の削減が図られた。北島ではプレンティ湾のタウランガ Tauranga、観光地ロトルア Rotorua、東岸ネーピア Napier、南島ではダニーディン Dunedin、インヴァーカーギル Invercargill といった主要都市でさえ、列車で行くことが不可能になった。その結果、このような列車系統図を描くと空白エリアが目立ち、見るからにさびしい図面になってしまう。公共交通が国内で最も充実しているウェリントンの拡大図だけが唯一カラフルな色の帯を連ねていて、救われる思いだ。

なお、現在(2011年9月)、「オーストラリア鉄道地図 Australian Rail Maps」の当該ページは、理由不明ながら閲覧不可になっている。幸いにもMapperyのサイトで各画像のコピーを見つけたので、そちらで地図の内容を確認していただきたい。

■参考サイト
北島 http://mappery.com/North-Island-Rail-Map
南島 http://mappery.com/South-Island-Rail-Map
ウェリントン http://mappery.com/Wellington-Rail-Map
オークランド http://mappery.com/Auckland-Rail-Map
クライストチャーチ http://mappery.com/Christchurch-Rail-Map

Blog_nz_railmap_hp2 列車のルートをスキマティックマップ(位相図)で描いた上記の地図に対して、ウィキペディアに上がっている鉄道地図は、路線網をいわゆる正縮尺で表示したものだ。これも北島、南島の2面に分かれている。路線は、線の太さで幹線と支線を区分し、線の色で closed(廃止)、mothballed(休止)、vintage(保存鉄道)、freight only(貨物専用)、in use(使用中=旅客輸送している)、proposed(予定線)といった内容を表している。

興味深いのは、最後に挙げた予定線の破線表示だ。特に南島北部の内陸を数多く横切っているが、これはクライストチャーチから北岸へ通じるルートが数十年もの間確定せず、何通りかの案が併存したことを反映している。他の予定線も同様に、構想自体がとうに過去帳入りしているものばかりだが、鉄道の歴史を遡ろうとする者には大変参考になる。

■参考サイト
ウィキペディア画像(直接リンク)
北島 http://en.wikipedia.org/wiki/File:NorthIsland_rrMap_v02.svg
南島 http://en.wikipedia.org/wiki/File:SouthIsland_rrMap_v02.svg

ニュージーランド国鉄の民営化は、度重なる運営会社の経営不振により失速した。最終的に国が買収することになり、2008年に国有企業キーウィレール KiwiRail として再スタートを切った。キーウィレールは現在、インフラ管理のほか、キーウィレール・フレート KiwiRail Freight として貨物輸送を、トランツシーニック Tranz Scenic として長距離旅客輸送を、それに子会社トランツメトロ Tranz Metro によってウェリントン都市圏の通勤輸送を担うなど、同国の鉄道運営の大半を受け持つ。唯一、オークランドの通勤輸送だけが、国際交通企業ヴェオリア Veolia の手で行われている。

Blog_nz_railmap_hp3 キウィレール関係のサイト群をざっと見たが、残念ながらめぼしい鉄道地図は発見できなかった。関連して、ウェリントンの公共交通網のブランドであるメトリンク Metlink が、同都市圏全体の詳細な交通路線図を提供していたので、こちらを挙げておこう。この中に、上記トランツメトロの郊外路線や名物のケーブルカーも含まれている。

■参考サイト
メトリンク(ウェリントン都市圏公共交通網)
  http://www.metlink.org.nz/network-map/
 インタラクティブマップとは別に路線網図のPDFがあるが、3面に分割されている。
  http://www.metlink.org.nz/publications/
 もとの1枚ものが、このページの "Metlink network map" にある。ただし、凡例はついていない。

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 オーストラリアの鉄道地図 III-ウェブ版

2011年9月18日 (日)

オーストラリアの鉄道地図 IV-ウェブ版

前回はウェブサイトで見られる全国版の鉄道地図を紹介したが、各交通事業者はどんな地図を提供しているだろうか。州ごとに見ていこう。

クイーンズランド州

本土北東部クイーンズランド州 Queensland の鉄道網を運営するのは、クイーンズランド鉄道 Queensland Rail (QR) だ。2010年に貨物部門を分離して、現在は鉄道施設(インフラ)整備と旅客部門を事業としている。提供されている地図も、インフラに関するもの、長距離列車に関するもの、それに州都ブリスベン(ブリズベン)Brisbane の近郊列車に関するものに分類できる。

Blog_australia_railmap_hp3 インフラ関連では、14ページ分の路線図がPDFで提供されている。デザインは野暮ったいが、貨物専用線となっている区間を含め、州内の全線全駅を図示した立派な資料だ。表紙の州全図に続いて、システム System(路線体系)ごとの区分図がある。線路数(単線・複線...)が線幅や色で区分され、電化区間は「危険 Danger」と大書されているのですぐわかる。駅には起点からの距離が、km単位で小数点以下3桁まで記されている。

■参考サイト
クイーンズランド鉄道 http://www.queenslandrail.com.au/
路線図は、トップページの上メニューの "Network" > Downloads and Rail System Maps > Freight > South Western Systemなど > Network System Information Map
または直接リンク
http://www.queenslandrail.com.au/NetworkServices/Documents/Network System Information Map.pdf

Blog_australia_railmap_hp4 長距離列車関連では、時刻表冊子の中に各列車の簡単なルート図がある。ルートが列車別に色分けされ、接続バスや空港も図示されている。下記URLからPDFファイルがダウンロードできる。

■参考サイト
長距離列車時刻表は、上記メニューの "Rail Services" > Travel Network (Long Distance) > Queensland Rail Travel timetables

Blog_australia_railmap_hp5 ブリスベン近郊の運行系統図はトランスリンク(後述)との共同製作で、PDFファイルで提供されている。QRが運行する鉄道路線のほか、市内に専用道を確保したバスウェー Busway、閑散区間の列車を代行するレールバス Railbus の区間と停留所も記載されている。運賃ゾーンや車椅子利用の可否も添えられた親切な地図だ。

■参考サイト
ブリスベン近郊の運行系統図は、上記メニューの "Stations" > City Network Maps > Train and busway network map

Blog_australia_railmap_hp6 なお、ブリスベン市内については、この地域の公共交通を調整・統括する組織であるトランスリンク交通公社 TransLink Transit Authority (TRANSLink) のサイトのほうがより包括的だ。QRと同じソースの運行系統図(ただしJPG画像)のほかにも、ナイトリンク NightLink(夜間バス)系統図と停留所案内図、運賃ゾーン図、ブリスベン川を行く市内フェリー路線図と、各種揃っていて、市内交通のあらましがわかる。

■参考サイト
TRANSLinkの地図ページ  http://translink.com.au/travel-information/maps

ニューサウスウェールズ州

本土南東部ニューサウスウェールズ州 New South Wales (NSW) の鉄道網については、インフラ管理は連邦政府出資のオーストラリア・レールトラック社 Australian Rail Track Corporation (ARTC) が担い、列車運行は州政府機関であるレールコープ RailCorp が担っている。レールコープは2種のブランドを使い分けていて、シドニー Sydney の近郊列車はシティレール CityRail、遠距離列車はカントリーリンク CountryLink の名で運行されている。

Blog_australia_railmap_hp7 まずARTCだが、同社はNSW州以外に、インターステート(州間)標準軌線のインフラ管理も行っている(下注)ので、管轄エリアは広範囲に及ぶ。インフラに関する情報公開の姿勢もまた徹底していて、公式サイトの「ルート規格 Route Standards」のページに、全線区の配線図をはじめ、線路等級、トンネル位置、制限勾配、保安システムといった線路に関する膨大な専門データが含まれている。ただし、一般的な路線図はなさそうだ。

*注 大陸縦断ルートのタークーラ Tarcoola~ダーウィン Darwin間、大陸横断ルートのカルグーリー Kalgoorlie 以西を除く。

■参考サイト
ARTC  http://www.artc.com.au/
上記データは、トップページの上メニュー "Route Standards" からリンクしている。

Blog_australia_railmap_hp8 レールコープのサイトにもインフラ関係のページがあり、管内各線の曲線、勾配、制限速度を図示した線路縦断面図(PDFファイル)が576ページにわたって綴られている。

■参考サイト
レールコープ-ネットワークアクセス Network Access
http://www.railcorp.info/commercial/network_access
線路縦断面図は、4. Curve and gradient diagramsだが、ZIP形式で27.5MBある(解凍後のPDFは28.9MB)ので、ダウンロードの際は注意のこと。

Blog_australia_railmap_hp9 次に、シドニー近郊の旅客列車を運行するシティレール CityRail のサイトを見てみよう。ネットワーク地図 Network Map は、系統ごとに色分けし、乗換駅は楕円で、その他の駅は爪を立てて表現している。郊外列車を表すグレーの線と関連色の爪の組合せは、気の利いたデザインだ。シドニー港のトラムや、代行バスのルートも描かれている。地図はインタラクティブ形式で、駅にカーソルを当てると、駅の情報が表示される仕掛けだ。PDFファイルも提供されているが、解像度がやや低い。

■参考サイト
シティレールhttp://www.cityrail.info/
路線図は、トップページ上メニューの "Stations and maps" > Network map
または直接リンク
http://www.cityrail.info/stations/pdf/CityRail_network_map.pdf

Blog_australia_railmap_hp10 一方、遠距離列車を運行するカントリーリンク CountryLink にも、似たデザインのネットワーク地図があるが、内容はシティレールとだいぶ様相が異なる。列車が走るのは幹線ルートに限られ、しかも1日2~3便しかないため、支線沿線や幹線上でも小駅へは、ことごとくバス(コーチ Coach)連絡になっているからだ。地図では、バス代行ルートを幹線の色と同じにして、どの駅から連絡しているのかを明確にしている。PDFファイルも提供されている。

■参考サイト
カントリーリンク  http://www.countrylink.info/
路線図は、トップページの左メニュー Quick linksにあるNetwork map

ヴィクトリア州

Blog_australia_railmap_hp11 州内の鉄道網のインフラ管理(州間連絡の標準軌線を除く)と旅客列車運行は、州政府出資のVライン V/Line が担っている。貨物線を含む州全体の路線図では「Vライン・鉄道アクセスネットワーク地図 V/Line rail access network map」が提供されている。この地図では線の色や形状によって旅客・貨物線、貨物線、広軌(1600mm)、標準軌などを区別するが、それを通じて、インフラ管理者が誰なのか明確にわかるところが興味深い。

■参考サイト
Vライン  http://www.vline.com.au/
路線図は、トップページの上メニューの"About V/Line" > Network Access > V/Line rail access network map (pdf)
または、直接リンク
http://www.vline.com.au/pdf/networkmaps/rnamap.pdf

Blog_australia_railmap_hp12 旅客列車の路線図は、何種類か用意されている。スキマティック形式で停車駅とバス連絡のある駅を図示したもの、旅客路線とバスルートを示したもの2種類(単純化版、正縮尺版)、それにGoogleマップを利用したインタラクティブマップだ。最後者では住所や窓口時間といった駅の情報と運賃が表示され、時刻表へもリンクしている。また、ページの終わりの方に、地域別の地図へのリンクも見つかる。

■参考サイト
V/Line 鉄道地図のページ
http://www.vline.com.au/maps-stations-stops/

Blog_australia_railmap_hp13 メルボルン Melbourne 市内交通については、事業者の統合ブランドであるメトリンク MetLink のサイトに地図を集めたページがある。都市圏列車路線図 Metropolitan train network map は、運賃ゾーンで路線を色分けし、系統が明示されていないのが珍しい。都市圏トラム路線図 Metropolitan tram network map は、同国随一の規模を誇るトラム路線を系統別に色分けする。中心街CBDを縦横に走る路線の太い帯が印象的だ。ほかに、ナイトライダー NightRider(夜間バス)路線図や、市街図に加刷した総合路線図など、ブリスベン同様、盛りだくさんだ。

■参考サイト
メトリンク鉄道地図のページ
http://www.metlinkmelbourne.com.au/maps-stations-stops/metropolitan-maps/

南オーストラリア州

Blog_australia_railmap_hp14 州都アデレード Adelaide 周辺の旅客列車は州政府の組織が運行しているが、ブランド名としては、バスや1系統だけ残っているトラム(グレネルグ・トラム Glenelg Tram)とともに、アデレード・メトロ Adelaide Metro を名乗っている。バスが主たる交通機関のため、アデレード・メトロが提供するのはほとんどバス路線図で、鉄道が描かれていても目立たない。鉄道のみの路線図はなく、あるとすれば時刻表とともに提供されているルートごとの図だ。

■参考サイト
アデレード・メトロ-メトロガイド
http://www.adelaidemetro.com.au/routes/metroguide
同 列車とトラムTrain and Tram
http://www.adelaidemetro.com.au/trains-trams
'Train and Tram Timetables' のリンクから路線別の案内に入る。その中の Map and Printable Timetable に時刻表と路線図がある。

西オーストラリア州

州都パース Perth を中心とした旅客列車は、バスとともに州政府が所管する公共交通公社 Public Transport Authority (PTA) が運行している。パースの郊外鉄道とバス路線網はトランスパース Transperth、地方の旅客列車・バスはトランスWA(ダブリューエー)Transwa のブランド名による。

Blog_australia_railmap_hp15 トランスパースの公式サイトには地図へのリンクを集めたページがある。列車系統図 Transperth train network map は系統別に色分けしたスキマティックマップだが、6系統のみの小さな路線網とあって、ごくシンプルなものだ。一方、運賃ゾーン地図 Transperth Zone Map はいわゆる正縮尺図で、路線網の地理的広がりがわかる。

一方、トランスWAには、満足な路線図がなかった。必要であれば、前回紹介した「オーストラリア鉄道地図」のサイトを参照するのがよい。

■参考サイト
トランスパース 地図のページ
http://www.transperth.wa.gov.au/TimetablesMaps/Maps.aspx

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 オーストラリアの鉄道地図 III-ウェブ版

 ニュージーランドの鉄道地図

2011年9月12日 (月)

オーストラリアの鉄道地図 III-ウェブ版

Blog_australia_railmap_hp1 ウェブサイトで見られるオーストラリアの鉄道地図には、決定版と呼ぶべきものがある。「オーストラリア鉄道地図 Australian Rail Maps」と題されたサイトで、普通鉄道、トラム、長距離バス、フェリーなど全土の公共交通路線網を20面もの地図でカバーする、まさにウェブ上の鉄道地図帳だ。路線の密度に応じて大小さまざまな範囲の地図が用意され、それによって全系統全停車駅の表示を可能にしている。

■参考サイト
オーストラリア鉄道地図 Australian Rail Maps  http://www.railmaps.com.au/

その特徴を筆者なりに挙げるとすると、一つ目は、情報リンクの徹底ぶりだ。地図中に張られたリンクからより詳細な図へ、あるいは隣接する図へと自在に移動できるだけではない。各路線をクリックすると当該路線の時刻表が現れる。時刻表の駅名をクリックすると、その駅へ通じている公共交通の路線名や運行頻度、路線の利便度のランク付けまで見ることができる。ウェブならではの痒いところに手が届くシステムだ。

二つ目は、デザイン性に優れていることだ。すべての地図で、路線を平面上の地理的位置によらず、縦横斜め45度の単純な形状に整理する、いわゆるスキマティックマップ(位相図)の表現法が用いられている。そのため、錯綜する都市圏の路線網や運行系統も、苦労せずに追うことができる。さらに、太めの線幅、目を引く配色、拠点駅の強調など、的確に見せるための工夫が各所に施されている。

三つ目は、地図とともに、当該地域を走る列車や鉄道の現状を紹介した記事が添えられていることだ。鉄道網を理解し、旅行計画のヒントを得るのに、こうした文字情報が参考になる。

地図はどのような内容をもっているのか。いくつか見てみよう。トップページは中・長距離列車やフェリーのルートが表示されたオーストラリア全図だ。表示はPNG画像だが、印刷用のPDFファイルもある。

試しに、東海岸のシドニー Sydney の上にカーソルを置いてクリックすると、「NSW南部とヴィクトリア東部 Southern NSW & Eastern Victoria」の地域図に切り替わる(NSWはニューサウスウェールズ New South Wales の略)。この図は、シドニー~メルボルン Melbourne 間、首都キャンベラ Canberra といった同国の中心的エリアを描いたものだ。列車のルートが系統別に色分けされ、主要駅は赤いボール状、その他の駅は短線を立てて表示されている。駅の横に白抜き文字で6:00などと記されているのは起点からの所要時間、2, 2, 2などとあるのは左から平日、土曜、日曜の1日当りの列車本数だ。週数便しかない路線では、これが数字ではなく曜日の頭文字になる。また、観光用の保存鉄道が白抜きの線で、貨物専用線や休止線が薄めた色で描かれている。

シドニー周辺は矩形の枠で囲まれ、拡大図があることがわかる。そこをクリックすると、「イラワラ、NSW南海岸および南部高地 Illawara, NSW South Coast & Southern Highlands」、すなわちシドニーから見て南西方向の地域図に切り替わる。この地域には、メルボルン周辺などとともに中距離列車の充実したネットワークが築かれているので、地図もそれに合わせて念入りに作られているのだ。

シドニー都市圏 Metropolitan Sydney はさらに拡大図「シドニー鉄道・フェリー地図 Sydney rail & ferry map」がある。これが地図の中では最も詳しく、普通鉄道ばかりかライトレールやモノレール、そして湾内の足であるフェリーの系統も特定できる。凡例に、これは公共交通の公式地図ではないと断り書きがしてあるが、それはなかば謙遜のようなもので、自社線中心になりがちな事業者提供の地図に比べて、格段に使い勝手がいいのは間違いない。

Blog_australia_railmap_hp2 ところで、このサイトには、同国鉄道地図の集大成のような作品が隠されている。トップページ左メニューの2番目、「National Bus & Rail Map」と書かれたところが入口だ。クリックで現れる「NATIONAL PUBLIC TRANSPORT MAP(全国公共交通地図)」は、3MB以上ある特大画像だが、これは単に地域図を貼り合せたものではない。貨物線や休止線といった使えないルートを省略する代わりに、長距離バス、現地で言うコーチ Coach のルートを加えている。つまり、今ある公共交通で到達可能なすべての土地とそこへの行き方が示されているのだ。

鉄道は太線、バスは細線で、それぞれに運行事業者名が入り、鉄道と連絡しているバス路線には同じ色が充てられている。アリススプリングズ Alice Springs からエアーズロック Ayers Rock(ウルル Uluru)やカタジュタ Kata Tjuta へ、パース Perth からシャーク湾 Shark Bay のモンキーミア Monkey Mia へといった、有名だが交通の便が悪い観光地へのバス路線もすべて表示されている。ローカル路線の場合、中小業者によるワゴン車運行が多いため現地での確認が必須だが、記載された走行経路は必ず参考になるはずだ。

ここまで鉄道地図を中心に紹介してきたが、実際、一般旅行者にとって便利なのは、移動の出発地と到着地を入力して、利用可能な交通機関と所要時間や発着時刻を表示させる機能だろう。このサービスも、左メニューにある「Journey Planner(乗換案内)」から提供されている。列車、バスもしくはその組合せで何通りかのルートが提示され、時刻表にももちろんリンクしている。こうしてサイトを使いこなすうちに、オーストラリアの公共交通機関をすべて手中にした気分になったとしても不思議ではない。

各交通機関の鉄道地図については次回。

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 ニュージーランドの鉄道地図

2011年9月 9日 (金)

オーストラリアの鉄道地図 II

出版物としてのオーストラリア鉄道地図をさらにいくつか紹介しよう。

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一つは、前回のヘーマ Hema 社製と同じく、アデレード~ダーウィン間の大陸縦断鉄道全通を記念して刊行された全国鉄道地図だ。タイトルは「NATMAPオーストラリアの鉄道 NATMAP Railways of Australia」、連邦の測量局であるジオサイエンス・オーストラリア Geoscience Australia が2004年2月に刊行した。横112cm×縦78cmサイズの片面刷を折図にしてある。

NATMAPというのは、各州が独自に製作する地図と区別するために、連邦、すなわちジオサイエンスの地図群につけられた愛称だ(本ブログ「オーストラリアの地形図-連邦1:100,000」参照)。地形図の刊行元が作ったということから想像できるとおり、国勢地図帳の1ページになっても違和感がないような取り澄ましたスタイルが特徴だ。ヘーマ社製と対比しながらディテールを見てみよう。

ベースマップは、縮尺こそ1:5,000,000(500万分の1)で大差がないが、地図表現はかなり対照的だ。ジオサイエンスには地勢を表すオレンジ系のぼかし(陰影)が入って、大陸東岸の山がちな地形などが直感できる一方、ヘーマ社にはある道路網などは一切省かれ、地名の数も少なめだ。

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ビクトリア州の部分
© Commonwealth of Australia (Geoscience Australia), 2004. License: CC-BY 4.0

鉄道路線の表示は、色で軌間を区分し、広軌(1600mm)が緑、標準軌(1435mm)は赤、狭軌(1067mm)は青を当てている(広軌と狭軌の配色がヘーマ社と逆)。そして旅客輸送も行う線区は太く、さらに列車頻度の高い都市圏は線の中心を白抜きして区別する。貨物のみの線区は細線だ。注目の長距離列車のルートは、州境をまたぐものに限って太い縁取りで目立たせている。また、都市圏については、拡大図が余白に挿図されている。ただ、縮尺が1:750,000のため、描けるのは近郊の路線網がせいぜいで、トラムが行き交う市内中心部などはとうてい不可能だ。

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凡例

とはいえ、ベースをすっきりさせ、鉄道の記号を強調した効果で、図全体はヘーマ社よりずっと明解だ。全国路線図として見るなら役に立つし、たとえば教室の壁面に貼って、路線密度の地域間格差とか内陸部への拡張といったテーマで学習させるのには最適だろう。その代わり、旅の友にするには物足りない。心躍る長距離列車の紹介記事もなければ、市内観光に役立つ情報も皆無だからだ。保存鉄道の名称リストはあるものの、有名サイト31か所に絞られ、情報源へのアクセス方法も記されていないので、新たな発見は期待薄だ。

【追記 2017.8.2】

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2014年にジオサイエンスから、この鉄道地図の改訂版が刊行されている。

タイトルからNATMAPの冠が取れて、「オーストラリアの鉄道 Railways of Australia」になったが、体裁は2004年版とほぼ同じだ。軌間や貨客の扱いなど描かれる鉄道路線の区分基準も変化はない。ただし、見本図のとおり、描画色は全面的に見直されている。鉄道情報は2013年12月現在のものに更新されているので、旧版と比較すると、支線における貨物輸送の撤退や都市近郊旅客輸送の新たな展開など、この10年間の動向を読み取ることができる。

印刷図は他の刊行図と同様、ジオサイエンスのセールスセンター Geoscience Australia Sales Centre から入手できる。また、下記公式サイトでPDFファイルが無償ダウンロードできる。

■参考サイト
Geoscience - Data and Publication Search https://ecat.ga.gov.au/geonetwork/srv/eng/search
で、"Railways Map of Australia 2014" を検索する。表示されたメタデータの中に、File downloadのリンクがある。

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2014年版の同じビクトリア州の部分
© Commonwealth of Australia (Geoscience Australia), 2017. License: CC-BY 4.0

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次に、州別の鉄道地図を2点取り上げよう。一つはニューサウスウェールズ州 New South Wales(以下、NSWと略す)で、オーストラリア鉄道歴史協会NSW支部 Australian Railway Historical Society NSW Division が2000年に刊行した「ニューサウスウェールズ鉄道地図 Rail Map New South Wales」だ。横87cm×縦69cmのサイズで両面刷りを折図にしてある。ベースとなる地図は白地図に近いもので、州界と水部、それに道路網(らしき細線)だけが記されている。

メインは州全図だ。鉄道と連絡バス road coach、隣接州の接続路線、それに保存鉄道が色で分けられている。実線に直交する短線を付したものは電化区間、細かい破線は工事線か予定線、粗い破線は休止線だ。裏面は都市近郊の拡大図で、シドニー Sydney、ニューカッスル New Castle、ウロンゴン Wollongong 中心部はさらに詳細図がある。列車の運行系統が示されておらず、デザイン的にもまことに味気ないものだが、ライトレールやモノレールも含めて州内の鉄道の全線全駅が記載されている点に、資料価値が見出せるだろう。

なお、表紙にある「レールウェーダイジェスト Railway Digest」の赤いロゴは、同支部が刊行する月刊の鉄道趣味誌の名称だ。鉄道地図もその関連で出されたものと思われるが、サイトにはそれに関する記述は見当たらなかった。すでに絶版になったものと見え、筆者が購入したイギリス、イアン・アラン Ian Allan 社のサイトからも消えている。

■参考サイト
オーストラリア鉄道歴史協会NSW支部  http://www.arhsnsw.com.au/

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もう一つはタスマニア州 Tasmania の鉄道地図帳だ。この部門の専門出版社であるイギリスのクエールマップ社 Quail Map Company が企画した「オーストラリア鉄道地図帳 Australian Railway Atlas」の第1巻として、2004年に刊行された。巻頭言によれば、州ごとに性格が異なるので、トラムやトロリーバスの地図も載せる余地を残せるよう、それぞれ別冊にしたという。まずは、比較的小さくまとまっているタスマニアから手がけたものと推測されるが、残念ながらその後、続刊はない。

このタスマニア編はA4判、34ページ(最終頁は空白)のカラー印刷で、地図15ページ、路線別データ(表題は Route Sections)12ページ、索引6ページなどから成る。地図は同社の一連の作品と同様、鉄道設備すなわちインフラをテーマに描いたものだ。軌間ごとに色分けしたうえ、濃い色を運行中 open の路線、薄い色を撤去済 lifted の路線に当てている。駅は旅客・貨物を扱うもの、いずれかを扱うもの、および休止駅が記号で区別され、駅名とキロ程が付されている。

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凡例の一部

州の主たる部分はいうまでもなくタスマニア島で、北海道の8割ほどの面積があるが、平地が少なく、総人口も50万人という規模だ。鉄道についても、一般旅客営業は1978年に州立鉄道が国鉄に統合されたときに廃止され、貨物輸送だけになっている。幹線は今も維持されているが、州政府の補助を得て運営されている状態だという。

しかし地図を見ると、その幹線からおびただしい産業用支線が分岐していて、かつて鉄道が木材や鉱石といった島の資源を盛んに港へ送り出していたようすが想像できる。州都ホバート Hobart と次に大きい都市ロンセストン Launceston には、トラムとその後継であるトロリーバスの路線網があったが(1960年代後半までに全廃)、これにも3ページが割かれ、市民の足として活躍していた時代をしのばせる。このように、地図帳には、工事用の臨時線路や特定の工場などへの引込線を除いて、およそタスマニアに存在したすべての鉄路の位置とデータが記録されている。過去に遡って全島の鉄道網の発達状況を一冊にまとめた意義は大きく、第1巻で途絶えてしまうのはあまりに惜しい。

価格は14.50英ポンド(1ポンド130円として1885円)。トラックマップス Trackmaps 社のサイトに、サンプル図があり、購入もできる。

■参考サイト
トラックマップス社 http://www.trackmaps.co.uk/
クエールマップ社  http://www.quailmapcompany.free-online.co.uk/

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2011年9月 6日 (火)

オーストラリアの鉄道地図 I

オーストラリア南岸のアデレード Adelaide と北岸のダーウィン Darwin の間2979kmを連絡する長距離列車「ザ・ガン The Ghan」が走り始めたのは、2004年2月4日だった。列車の名称は、鉄道が整備されるまで内陸部の輸送手段であったラクダを追うアフガン人 Afghan cameleer にちなんでいる。大陸縦断列車の運行が可能になったのは、それまで内陸のアリススプリングズ Alice Springs 止まりだった鉄道が、2003年9月にダーウィンまで延長されたからだ。同国本土のすべての州都が初めて鉄路で結ばれるとあって、新線の完成は国を挙げての慶事とされた。今回と次回に紹介する2種類の全国鉄道地図も、沸きあがったブームのさ中に製作されたものだ。

Blog_au_railmap1
表紙 (左)2004年初版 (右)2007年第2版

そのうち内容の充実度がより高いのは、「オーストラリアの鉄道旅行 Rail Journeys of Australia」というタイトルが付けられたヘーマ Hema 社の地図だ。ヘーマ社は同国の大手地図出版社で、道路地図、市街図、旅行地図など膨大な種類を刊行しているが、鉄道を主題にしたものは珍しい。サイズ横70cm×縦100cmで両面刷という限られた紙幅にもかかわらず、ここにはオーストラリア鉄道網の情報が満載だ。

Blog_au_railmap1_detail
2007年版のアデレード周辺
© South Pacific Maps, Hema Maps, 2011

メインは縮尺1:5,500,000(550万分の1)の全国図で、ベースに使われたのはおそらく同社の汎用図だろう。地勢表現は省略されているが、そもそも鉄道地図の要件ではない。その代わりに地名や道路網はかなり詳しく、区間距離や舗装の有無が示され、余白に小さな字で地名索引まで備えている。

鉄道路線の表示は黒の細線が基本で、それに広軌(1600mm)は青、標準軌(1435mm)は赤、狭軌(1067mm)は緑という軌間別の色を重ねている。色帯は、旅客も扱う線区を太く、貨物のみを細くしているので、旅客列車が走る範囲が一目瞭然だ。中距離列車が設定されている路線がほぼニューサウスウェールズ州とヴィクトリア州に限られているのもこれでわかる。

Blog_au_railmap1_legend
全国図の凡例

一方、基本の細線の色が黄に変えられているのは、観光用鉄道(保存鉄道)Tourist Railways を表している。重ねられた配色の基準は一般路線と同じ青、赤、緑なので、軌間もすぐに判断できる。しかし、驚くべきことに情報はこのレベルにとどまっていない。該当路線のすべてに番号が振られ、その番号に対応して、余白に鉄道名、所在地名、動力・形態(蒸気、ディーゼル、トラムなど)、距離、軌間、連絡先電話、ウェブサイトを明記したリストが添えられているのだ。掲載対象は、運行している保存鉄道だけでなく、鉄道博物館やミニチュア鉄道 Miniature Railways も網羅している。その数は保存鉄道93か所、鉄道博物館70か所、ミニチュア鉄道47か所(現行版による)に及び、イギリスの伝統を受け継ぐ同国の鉄道趣味の浸透ぶりを実感する。

さらに図郭の外には、「大いなる列車旅行 Great Train Journeys」と題した特別記事がある。ザ・ガンをはじめインディアンパシフィック(シドニー Sydney ~パース Perth)、ジ・オーヴァーランド The Overland(メルボルン Melbourne ~アデレード)のような有名な長距離列車が写真つきで紹介され、通過ルートは、先ほどの地図上に示された太い縁取りで容易にたどることができる。長く単調な旅の車中では、今どの辺を走っているのかと知りたいときがある。いわゆる正縮尺で描かれ、平原の中間駅まで載っているこの地図なら、乗客のふとした問いにも確実に答えてくれるに違いない。

このように全国図は、丁寧な編集によって愛好家をも唸らせるのだが、縮尺の制約上、大都市近郊の路線網や運行経路を描ききることは不可能だ。そのニーズに対しては、裏面に配置された区分図が役に立つ。こちらには地域ごとに分けた16面の路線図を集めてあり、いずれも路線網を水平、垂直および斜め45度の直線に単純化した、いわゆるスキマティックマップ(位相図)で表現されている。これらはすべて「オーストラリア鉄道地図 Australian Rail Maps」というウェブサイト(「オーストラリアの鉄道地図 III-ウェブ版」で詳述)で公開されているものなので、最新情報を知るためにそちらと併用するのがいいだろう。

大陸縦断鉄道の全通をきっかけに誕生したヘーマ社の鉄道地図は、愛好家のみならず、長距離の旅行者から通勤通学者や市内観光を楽しむ人まで、あらゆる鉄道利用者に恩恵をもたらす。盛りだくさんなその内容からして、オーストラリアの鉄道百科と形容してもあながち大げさではない。それを裏付けるように地図は、国際地図小売業協会 International Map Trade Association (IMTA) の2004年大会で、その年世界で最も優れた地図に与えられる金メダルを受賞している。

現在、流通しているのは2007年3月の第2版で、価格は12.95豪ドル(1ドル80円として1,036円)だ。欧米の主な地図商で扱っているが、日本のアマゾン経由でも買えるようだ。もう一つの全国鉄道地図については次回

(2006年8月31日付「オーストラリア大陸縦断列車と鉄道地図」を全面改稿)

■参考サイト
ヘーマ社  http://www.hemamaps.com.au/
オーストラリア鉄道地図  http://www.railmaps.com.au/
グレートサザン鉄道Great Southern Railway  http://www.gsr.com.au/
 ザ・ガンをはじめとする長距離列車の運行会社。日本語サイトあり

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