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2010年9月16日 (木)

フィンランドの道路地図

カルッタ・ケスクス Karttakeskus のショッピングサイト(下記 参考サイト)には、官製地形図などとともに自社ブランドの地図や旅行書もたくさん並んでいる。かつて一時的に Genimap と名乗っていたので、まだその名称を扉に残す出版物もあるが、現在はフィンランド語で地図センターの意味をもつカルッタ・ケスクスに統一されているようだ。今回はその中から道路地図をいくつか紹介しよう。

Blog_finland_roadmap1600k道路地図 tiekartta は、1枚もの(折図)と地図帳に大別される。1枚ものは全国1面の縮尺1:1,600,000(160万分の1)と1:800,000、それに区分図になっている1:250,000シリーズがある。

1:1,600,000は最もコンパクトな全国図だ(右写真。画像はカルッタ・ケスクスのサイトより)。横60cm×縦84cmの用紙に片面刷りされている。表紙にYTと大きく書かれているのは、Yleis tiekartta の略で、道路概観図といった意味を表す。表示されているのは主要道路と鉄道網、地勢表現は段彩のみと、たいへんシンプルだが、東西はサンクトペテルブルク Sankt-Peterburg(フィンランド語でピエタリ Pietari)からストックホルム、北端はノルウェーのノールカップ Nordkapp まで包含するワイドな図郭で、フィンランドのおおまかな土地勘を養うにはちょうどいい。

Blog_finland_roadmap800k 1:800,000は Autoilijan tiekartta(ドライバーの道路地図の意)を略して AT と呼んでいる(右写真。画像はカルッタ・ケスクスのサイトより)。横100cm×縦70 cmの用紙を使って、国土の南半と北半を表裏に印刷している。道路網は1:1 600,000よりだいぶ詳しくなる。まず、緑色の自動車専用道と、バーミリオンの主要道を太く目立たせる。以下、オレンジ、ピンク、黄色(未舗装)まで全部で5種類に区分し、道路番号を付し、車線、幅員の分類もしている。区間距離は都市間と、より短区間を分けて細かく示す。鉄道網も黒の実線で比較的明瞭だ。地勢表現はやはり段彩による。

Blog_finland_roadmap250k 上記2種類に対して、1:250,000は複数面に分割されている。略称の謂れは不明だが、上記のYT、ATに対してGTの名称が定着している。シリーズは2通りあって、両面刷り、東西南北4面で揃う広域版と、片面刷り、全17面を要する地域版だ(右写真は地域版。左側は旧1:200,000、右は新1:250,000)。遠出に携行するなら前者、日帰り旅なら後者というところだろうか。価格も前者17.90ユーロ、後者12.50ユーロと差をつけてある。

地図自体は、道路地図にしては詳細すぎる印象があるが、それは2つの理由による。1つは、ベースマップが多目的な利用を前提に編集されたものだからだ。以前の地形図体系は、縮尺1:400,000の次が1:100,000まで飛んでいた。隙間を埋める1:200,000は、一般には道路情報を強調して(道路地図として)頒布されるかたわら、さまざまな機関が作成する主題図にも広く使われていたという(『世界地図情報事典』原書房, 350pによる)。そのため、20m間隔の等高線、農地や湿地のような土地利用景(下注)、自然地名などが入った地形図仕様になっているのだ。

*注 1:50,000地形図などと同じく、森林は明示されない。フィンランドの地図では、色の塗っていないエリアは森林という理解であることに留意。

2つ目の理由は、1:200,000の縮尺で編集されたベースマップを、1:250,000に縮小したことにある。縮尺が変わったのは最近のことで、それに合わせて図郭も微調整され、旧来の全18面が17面に再編成された。しかし、これは改悪というべきだろう。画面表示のような拡大縮小が効かない紙地図は、文字や表現のサイズの決定に細心の配慮が望まれる。極端な「でか字」は要しないが、一般的な読者が見るのにストレスを感じるようではいけない。一律80%に縮小したために、主要道路網はまだしも、もともと詳しい地形図データがかなり読みづらくなってしまった。

Blog_finland_roadatlas650k 地図帳タイプは、縮尺の小さいものと大きいものの2種類が出ている。小さいほうは「ドライバーの道路地図帳 Autoilijan tiekartasto / Road Atlas Finland」で、64ページのスリム版だ(右写真。画像はカルッタ・ケスクスのサイトより)。メインの地図の縮尺は南部1:650,000、北部1:800,000で、後者は道路密度が低いため、縮尺を変えてある。図版はいうまでもなく1枚もののAT図と同じものだ。そのほか、ヘルシンキ周辺の1:100,000拡大図、主要都市の1:40,000市街図、約7000件の地名索引と区間距離表がついている。

Blog_finland_roadatlas200k 大きいほうは、「GT道路地図帳 GT Tiekartasto Suomi Finland / GT Road Atlas」といい、スパイラル綴じで340ページもある分厚い地図帳だ(右写真は2003年版。現行版はデザインが異なる)。メインの地図の縮尺は1枚もののGT図と違って、旧来の1:200,000のまま(北部は1:250,000)なのだが、惜しむらくは等高線が省かれて、地形図の性格を失っている。また拡大図として、ヘルシンキ Helsinki とその周辺、トゥルク Turku、タンペレ Tampere とオウル Oulu の1:100,000、それに40都市以上の1:40,000市街図、地名索引と区間距離表がついていて、情報量は申し分ない。価格は39ユーロと少し高いが、1枚もので全国を揃えることを思えばお得だ。フィンランドの道路地図は、縮尺、種類が適切に揃っているので、ユーザとしても用途や活動範囲などに応じて賢く選ぶようにしたい。

■参考サイト
カルッタ・ケスクス http://www.karttakeskus.fi/
 同 オンラインショップ http://www.karttakauppa.fi/ 
 各地図の紹介ページにサンプル画像がある。

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