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2010年5月13日 (木)

ノルウェーの鉄道地図

Blog_norway_railmap2 スイスと並んで、山と湖が織り成す美しい車窓が乗客を魅了してやまないノルウェー。しかし残念ながら、印刷物となった同国の鉄道地図に出会ったことがない。筆者の貴重な情報源の一つである Paul Steane 氏のサイト「ヨーロッパ鉄道旅行愛好家ガイド Enthusiast's Guide to Travelling the Railways of Europe」(URLは下記)でも、「M. G. Ballのヨーロッパ鉄道地図帳を別とすれば、ノルウェーの鉄道網に関する地図で刊行されたものはない」と言い切っているので、間違いはないだろう。そのM. G. Ball地図帳の北欧諸国編(右写真。画像は公式サイトから)には、ノルウェー全路線と主要駅、それに「ベルゲン鉄道(ベルゲン線)Bergensbanen」のような路線名ももれなく記載されているから、実用上はこれで十分だ。

■参考サイト
M. G. Ballのヨーロッパ鉄道地図帳 http://www.europeanrailwayatlas.com/

★本ブログ内の関連記事
 ヨーロッパの鉄道地図 I-M.G.Ball地図帳

Blog_norway_railmap ただ、過去には鉄道地図といえるものが刊行されていたらしい。堀淳一氏の著書で、現物の写真とともに紹介されている(堀淳一「地図と風土」そしえて, 1978 年 p.236-238。右写真)。それによれば、この地図のタイトルは「Reisekart for Norge(ノルウェー旅行地図の意)」で、縮尺は1:1,000,000(100万分の1)、「時刻表と同じ発行元から発売されていて、時刻表の索引地図をも兼ねているのだが、独立した地図としても立派に通用するすぐれたものである。」

1:1,000,000という縮尺は、ノルウェー全土を1面でカバーする地図の定番だ。写真に写っているのは、西岸のロムスダール Romsdalからソグン・オ・フィヨラーネ Sogn og Fjordane にかけての地域で、旅行地図らしく、氷河(ヨステダール氷河 Jostedalsbreen)が描かれ、地名もふんだんに入っている。モノクロのため判別できないが、鉄道は黒、バス路線は赤の線で描いてあるという。脊梁山地とフィヨルドが対峙する過疎地にもかかわらず、けっこう稠密な路線網だ。右上にラウマ鉄道 Raumabanen の終端区間が認められるが、鉄道は他にありえないので、バスがかつてはこのように、谷奥の小集落にまでこまめに通っていたことがわかる。路線には時刻表番号が打たれ、索引地図としての役割を果たしている。

ウェブサイトで見られる鉄道地図はどうだろうか。ノルウェーの鉄道は、インフラ管理をノルウェー鉄道庁 Jernbaneverket が行っている。旅客輸送部門はノルウェー鉄道 Norges Statsbaner(略称 NSB)が最大の事業者で、ほかには、オスロ Oslo 近郊で空港特急を走らせているフリートーゲ Flytoget、ヨーヴィク鉄道 Gjøvikbanen を運行するNSBの子会社NSBヨーヴィク鉄道がある程度だ。

Blog_norway_railmap_hp1 まず、鉄道庁 Jernbaneverket のサイトだが、ここにはごく簡単なスキマティックマップ(位相図)しかない。下記参考サイトには英語版ページを掲げているが、ノルウェー語版もまったく同じだ。赤の太線で路線が描かれ、主要駅名が添えられているものの、JPEG形式のため拡大が効かず、文字は読みづらい。首都圏の路線網は込み入っているので、土地勘のない者にはオスロ(中央駅)の位置を探し出すのさえ難しいだろう。

おそらく、開設者のこだわりは、このページの左メニューで示される路線別の情報提供にある。路線を選択すると、その全駅名が表示され、駅に関する情報がまとめて参照できるようになっているのだ。Togtider(列車時刻)タブから、列車の行先(Avganger til)と発車時刻(Rutetid)、番線(Spor)がわかる。Service タブからは駅の設備、Maps タブからは駅周辺の Googleマップが引ける。しかし、そもそも路線名はどうやって知るのだろうか。それに、英語版ページというのに肝心の列車時刻の見出しがノルウェー語のままだ。どうやら外国からの旅行者のことはあまり念頭にないようだ。

■参考サイト
Jernbaneverket  http://www.jernbaneverket.no/
英語版トップページ > Guide for travellers > 本文の"Here you will find a map of the Norwegian railway network"
Railwaylinesのページの直接リンク
http://www.jernbaneverket.no/en/Railway/Railwaylines/

Blog_norway_railmap_hp2 その点、NSBは旅客誘致が至上命題だけあって、英語版の情報もたいへん充実している。表形式の時刻表が線区ごとにダウンロードできるし、鉄道地図もインタラクティブマップとPDFファイルの両方が用意されている(下記参考サイト)。

インタラクティブマップは、初期画面が路線網全体の表示になっているが(ナルヴィク Narvik へ行くオーフォート鉄道 Ofotbanen は対象外)、スケールバーで拡大縮小でき、倍率が上がるにつれて駅の表示が主要駅から全駅へと詳しくなる。駅周辺で体験できるアトラクションがピクトグラムで表され、マウスを置くと内容もわかる(残念ながらこれだけはノルウェー語)。さらに、図上で駅をクリックすると、右メニューに駅情報(Info about the station)へのリンクが現れ、ここから駅の窓口時間、設備の有無、駅周辺のGoogleマップなどが参照できる。このインタラクティブマップは、列車予約や時刻検索からもリンクされていて、利用者の使い勝手をよく研究したシステムといえる。

一方、PDFファイルのほうは2種類ある。NSB Network map とあるのは全国図で、黒、灰、赤の3色のみを使った地味な印象のスキマティックマップだ。駅は主要駅のみだが、旅行者が乗降しそうな駅はほぼ揃っているだろう。首都圏は拡大図がある。図枠に索引番号が振ってあるから駅名索引がどこかにあるはずだが、このファイルにはついていない。また、ここでもオーフォート鉄道は割愛されている。NSBが運行事業者でないことと、国内の路線網と直接つながっていないためだろう。

もう一つは、NSB Network Map commuter trains、すなわちオスロ近郊の通勤列車圏を描いた路線図だ。ルートが運行系統別に美しく色分けされ、駅もすべて記載されて、日本の鉄道会社のそれを思い起こさせる。なお、オスロ中央駅 Oslo S の東側で赤の400系統と黄440~緑460系統を離して描いているのは、前者が旧線、後者がロメリケトンネル Romeriksporten 経由の高速新線を走ることを示している。また、黄緑の450系統は、フリートーゲ Flytoget が運行している空港特急 Airport Express Train と紛らわしい。両者は運行ルートが重なっているものの、まったくの別物で、NSBサイトには空港特急の時刻表や路線図は一切ない。それらは、フリートーゲのサイト(下記)でのみ見ることができる。

■参考サイト
NSB  http://www.nsb.no/
表形式の時刻表:英語版トップページ > Timetables > Download timetables
インタラクティブの鉄道地図:英語版トップページ > Where does the train go?
PDFの鉄道地図:英語版トップページ > Where does the train go? > Network map

フリートーゲ Flytoget  http://www.flytoget.no/
 ドランメン~空港の1路線しかないので、路線図は時刻表に添えられている。
ヨーロッパ鉄道旅行愛好家ガイド http://www.steane.com/egtre/egtre.htm

★本ブログ内の関連記事
 ノルウェーの旅行地図
 ノルウェー最北の路線 オーフォート鉄道
 ベルゲン鉄道を地図で追う I-オスロへのアプローチ

 近隣諸国のウェブ版鉄道地図については、以下を参照。
 スウェーデンの鉄道地図 II-ウェブ版
 デンマークの鉄道地図
 フィンランドの鉄道地図
 ヨーロッパの鉄道地図 V-ウェブ版

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