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2009年8月27日 (木)

ベルギーの地形図地図帳

ベルギーの官製地形図は、図郭で区切った1枚もの(区分図)だけでなく地図帳としてもまとめられていて、全土をあまねく眺めようと思うときに重宝する。2009年現在、1:50,000と1:100,000の2種類があり、いずれもラノー出版社 Lannoo Editions が出版元になっている。

Blog_belgiumatlas1 このうち前者は、1:50,000地形図がデジタルデータベースから編集する新版にすべて置き換えられたのを記念して、2001年に出された(右写真)。タイトルは、「ベルギー地形図地図帳 Topografische Atlas België / Atlas Topographique Belgique」で、ベルギー国土地理院IGNのサイトによると、10万部を売り上げ、初めての試みとしては成功だった。どの国でも地図帳といえばふつう学習地図か道路地図であり、1:50,000のような大きな縮尺で、国じゅうの地勢や土地利用景が参照できる資料は目新しかったのだろう。

判型はA4より一回り大きい縦32cm×横25cm、358ページの上製本で、約300ページの地形図本編と33ページの地名索引が収められている。冒頭には8ページのイントロダクションが設けられ、地形図データベースの紹介、1:10,000図からの編集方法、新図式の特徴などが、オランダ語とフランス語で簡潔に説明されている。索引図は、地図帳の該当ページを示すものとは別に、区分図の図郭を表示したものも用意されていて、経年変化などの調査で旧図を参照するときに便利だ。

カラフルで詳細な描写が特徴の新図式については、以前にも少し紹介した(本ブログ「ベルギーの地形図」)が、地図帳に収載された地図と市販の区分図とでは、少し印象が異なる。というのは後者の等高線は無骨なほど太いのだ。等高線の間隔が5m(ただし平地は2.5m、山地は10m)で、起伏が比較的大きい南部では表示の密度が高いため、地物や地名表示と重なって見た目にうるさく感じられた。このような仕様にした理由は知らないが、地勢を強調する意図があるのなら、ぼかし(陰影)で表現した方がはるかに分かりやすいだろう。

この地図帳の第2版が、2008年12月に登場している。表紙は初版とは変わっていて、後述する1:100,000地図帳と共通性を持たせたようだ。地図は2002~07年に収集したデータから編集されたもので、問題の等高線は、サンプル図を見る限り、区分図と同じスリムなものになった。

また、DVD版の1:50,000ラスタデータも、北部(フランデレン地域)+首都 Vlaanderen en Brussel と、南部(ワロン地域)+首都 Wallonie et Bruxelles の2本に分けて、同じ出版社から発売されている。

Blog_belgiumatlas2 後者の1:100,000地図帳には、前身が存在する。これがいわばベルギー官製地図帳の元祖で、同じラノー出版社から1992年に刊行されたものだ(右写真)。判型は縦30.5cm×横24.5cm、地図本編102ページ、地名索引18ページで、既製の1:100,000地形図を使用しているが、残念なことに等高線だけは省いてあった。これを topographique(トポグラフィーク、地形表現のある)と称したのでは不当表示と指摘されかねないが、先行する隣国オランダのように、官製地図をベースにした精度のよさを主張したかったのだろう。

Blog_belgiumatlas3 その後、1:50,000版が出たことで、縮尺のより小さい1:100,000は役割を終えたかに思われたが、2008年にコンパクトな判型(縦22.5cm×横17.5cm)で再登場した(右写真)。タイトルも「Topografische Wegenatlas / Atlas Routier Topographique」に変わっていて、うまく訳せないが、地形図を使った、あるいは地形が分かる道路地図帳ということだ。用途を絞ることで、1:50 000との差別化を図ろうとしているらしい。同社からは2001年にも似た仕様の1:100,000道路地図帳が出ていたので、その後継ともいえるが、当時は topographique とは名乗らず、IGNとの連携もうたっていなかった。

今回の地図でもやはり等高線が省略されているが、代わりに地勢を表すぼかし(陰影)がつけられている。その点で topographique の看板には背いていないのだが、標高データがほとんどないので、土地の高度を知ることはできない。集落はくくり(縁取り)のないアプリコット色の面塗りで範囲を示す方式で、ベルギー官製としては新しい表現だ。先述の1:50,000地図帳(初版)で紹介されている1:100,000デジタル図化の試作品では、従来どおり黒抹家屋の記号も併用されていたのだが、それに比べると簡略化が徹底された。

一方で道路網はさすがに詳しく、地方の主要道まで道路番号が振られているし、鉄道との交差が平面(踏切)か立体かも分かる。しかし、最近の道路地図なら当然ついている旅行情報や市街の拡大図は皆無で、ドライバーの立場からは魅力的とは言いがたい。ミシュラン Michelin やブレー・フォルデクス Blay Foldex を袖にしてまで乗り換えるユーザーは少ないのではないか。この地図帳の意義は、区分図の更新が止まったままの1:100,000がデジタルフォーマットで復活したことをアピールする点にあるので、実用面での期待は、手軽さを含めて別のところに見出すべきだろう。

これらの地図帳は、IGNのサイトで購入できる(下記「官製地図を求めて」参照)。

■参考サイト
ラノー出版社(ラノーグループのサイト) http://www.lannoo.com/
 仏書の刊行はグループ内のラシーヌ出版社が行っている。
IGNによる1:100,000地形図地図帳の紹介(仏語版)
http://www.ngi.be/FR/FR1-17.shtm
「官製地図を求めて-各国地図事情 ベルギー」
http://homepage3.nifty.com/homipage/map/map_belgium.html

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