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2009年7月23日 (木)

オランダの鉄道地図 II

鉄道による貨物輸送を促進するために設立されたオランダ・鉄道貨物情報財団 Rail Cargo Information Netherlands Foundation は、貨物輸送に関する鉄道地図をウェブサイトで公開している。

■参考サイト
鉄道貨物情報財団 http://www.railcargo.nl/
トップページ > Railinfrastructuur > Spoorkaarten > Nieuwe spoorkaart van Nederland > posterrailcargo.pdf

Blog_netherlands_railmap_hp3 「オランダの新鉄道地図 Nieuwe spoorkaart van Nederland」と称するこの地図は、道路と水部で構成した単色のベースマップの上に、赤や緑の実線で鉄道路線を描いている。タイトルを見る限り何の変哲もなさそうだが、凡例(蘭・英併記)に目を通せばユニークな地図であることは明らかだ。

赤い線は旅客線ではなく、オープンアクセス鉄道網 Open access rail network と説明されている。オープンアクセスとは、列車運行事業者が使用料を支払って線路使用権を得ることができるシステムで、EC指令で示された目標に沿って、加盟各国が上下分離と併せて鉄道事業に適用した政策だ。ほとんどの路線が旅客列車の運行に供されているのだが、貨物事業者にも門戸が開かれている。それに対して、緑色は貨物鉄道専用線 Dedicated freight railway line を表している。このほか、設定された記号を操車場、コンテナターミナル、トラックとの積替駅、私有側線と追っていくと、おのずと鉄道にもう一つの重要な役割があることを再確認させられる。

もう一つ目を引くのは、国土の中央を東西に貫くベテュヴェルート Betuweroute が描かれていることだ。これは2007年6月に開通した延長160kmの貨物専用線で、ドイツ国境に近いゼフェナール Zevenaar とヨーロッパ最大の貿易港であるロッテルダム港を最短距離で結んでいる。旅客列車の運行頻度が高いオランダ国内では、鉄道の機能向上に貨物輸送の分離が求められ、特に需要の大きいドイツルートをバイパスする新線が計画された。

環境に配慮した設計変更などで工費が見込みの2倍に膨れ上がったことや、電化方式も信号方式も新しいEU標準を採用したため、在来線仕様の機関車は通行できなくなるなど、難産を伝えられながらの開業だった。しかし、この地図上ではあたかも主役のように遇されていて、実際もレイン(ライン)=ヴァール川 Rijn-Waal の水運を補完する物流の動脈に成長していくのだろう。

なお、上記ページからリンクしている「オランダの詳細鉄道地図 Detailspoorkaarten van Nederland」には、この地図の都市部の拡大図が多数用意されている。

オランダの鉄道施設管理は、2003年に設立されたプロレール社 ProRail が行っているが、そのHPに、ファイルサイズが5MBもある鉄道地図が用意されている。

■参考サイト
プロレール社 http://www.prorail.nl/
トップページの Publiek > Spoorkaart  またはトップページの直接リンク direct naar から

Blog_netherlands_railmap_hp4 縮尺は1:300,000で、ベースマップには同国の測量局 Topografische Dienst Kadaster が編集した1:250,000道路地図を縮小使用している。道路地図といっても日本で言えば1:200,000地勢図に相当する公式地図で、道路、集落、水部、植生、行政界などが詳細に書き込まれたものだ。地図の見栄えで他と一線を画しているだけでなく、オランダの鉄道インフラの大要が概観できるという意味で注目に値する資料だ。どのような内容が盛り込まれているかは、凡例にある地図記号を見ていくのが手っ取り早い。表記がすべてオランダ語なので、参考のために、鉄道に関する地図記号の意味を日本語で付しておこう(厳密な訳ではないのでご了承を)。

Spoorwegen 鉄道の部
- geëlektrificeerd (enkel- / dubbel- / meersporig) 電化(単線/複線/多複線)
- niet geëlektrificeerd (.... 非電化(同上)
- uitsluitend goederenvervoer (.... 貨物専用線(同上)
- museumspoorweg 保存鉄道
- niet in exploitatie 休止中
- lightrail 軌道

Station 旅客駅の部
- station zonder inhaal- of kruisingsmogelijkheld ook wel halte genoemd 交換不可能(行き違いできない)で、合図により停車する駅(リクエストストップ?)
- station / groot station mét inhaal-... 交換可能な駅/主要駅
- evenementenhalte (facultatieve halte) 臨時設置の乗降場(仮乗降場)
Functionaliteit spoor 運行機能の部
- Inhaalspoor op de vrije baan. bijv. ... (本線上の、あるいは駅機能のない)待避線、その例
- overloopwissel. bijv. ... 渡り線、その例
- aansluiting (splitsingspunt op vrije baan) 接続点(本線上の分岐点)

voorzieningen 施設の部
- emplacement (rangeerstation / opstelterrein) 操車場/貨車組成施設
- laad- en losplaats voor goederenvervoer (openbaar) 貨物積み降し施設(非専有)
- containeroverslagmogelijkheld コンテナ積み降し施設
- revisiebedrijf 修理工場
- onderhoudsbedrijf 分解修理(全般検査)工場
- servicelocatie サービスステーション(?)
- tankplaats 給油施設

これまで紹介した鉄道地図と重複する情報も含まれているが、動力方式、線路数、駅の機能など鉄道施設の基本的なデータを包括的に表示しているところが得がたい。それに、位置情報だけだが保存鉄道やライトレールまでカバーしているので、およそ郊外路線と呼ばれるものは網羅していると考えられる。前回紹介した Treinreiziger.nl の列車系統図と併用すれば、旅行用としても十分に役立ちそうだ。印刷版の配布が案内されていないのがまことに惜しい。

最後に、私的サイトで過去の時刻表添付地図とおぼしきファイルを発見した。日付は2004年9月になっている。印刷物のスキャニングではなく、印刷用のデータファイルから直接PDF化したものなので、拡大しても鮮明な画像が得られる。トップページからのリンクで紹介すべきだが、リンクが見つからないので、やむをえずPDF(131KB)の直接リンクを記すことにする(リンク切れご容赦)。

■参考サイト
http://www.astro.rug.nl/~islands/spoorkaart.pdf

★本ブログ内の関連記事
 オランダの鉄道地図 I

 近隣諸国のウェブ版鉄道地図については、以下を参照。
 ドイツの鉄道地図 IV-ウェブ版
 ベルギーの鉄道地図
 ヨーロッパの鉄道地図 V-ウェブ版

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