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2009年2月26日 (木)

ギリシャの旅行地図-アナーヴァシ社

民間会社の地図は、官製地図よりはるかに親近感がある。旅行やドライブに役立つ情報が強調され、更新もまめに行われ、書店で手軽に買えるからだ。その反面、地勢表現は二の次で、精度が低かったり、全く省略されることもあるので、もっぱら鑑賞派の筆者はあまり食指が動かなかった。わざわざ諸外国の官製図の動向を調べ始めたのも、そこに物足りなさを覚えていたからだ。

しかし近年、先進国では、国の測量局が地形情報を画像や数値データで提供するのが当たり前のようになってきた。民間会社は競ってこれを利用し、官製図と同等の、ときにはそれを超える美しい地勢表現の地図を発表している。ギリシャの民間図のレベルもまた、この趨勢に沿って進化の途上にある。双璧というべき地元のアナーヴァシとロードの2社が、品揃え、質、販売、どの面をとっても互角の勝負をしているようだ。

Blog_anavasi1 アナーヴァシ社Ανάβαση / Anavasiの地図刊行の歴史は新しく、1997年に始まる。アナーヴァシは、ギリシャ語で上ることを意味するそうだが、その名に違わずわずか10年で、道路地図や山岳地図、ガイドブックなど立派なレパートリーを備えるまでに成長した。1枚もの地形図はトポTopo(地形)シリーズと称している。測量局提供の等高線にぼかし(陰影)と段彩を加え、地形図としても通用するクオリティを誇る。凡例だけでなく、地図上の地名にもギリシャ語と英訳の併記が徹底されて、読み取りに不自由を感じさせない。用紙は厚手の耐水紙を使い、野外持ち出しにも適した仕様だ(写真左はTopo 25「オリンポス山」、右はTopo 100「フォキス、東エトリア」)。

縮尺別に見ていくと、まずTopo 250シリーズは縮尺1:250 000で、島嶼部を除くギリシャ本土を7面でカバーする(現在は改版中らしく、カタログにあがっているのは、ペロポネソス半島Πελοπόννησος / Peloponneseのみ)。これは道路地図といっていいだろう。筆者は実見していないが、冊子形式の1:250 000道路地図帳(全国版、地域版)も刊行されているようだ。

これより大きい縮尺の地図は、登山者の多い山岳地域を対象としたものになる。オレンジ色の表紙のTopo 100(縮尺1:100 000)は等高線が100m間隔で、湾をはさむギリシャ中央部とクレタ島Κρήτη / Creteの図幅がある。緑のTopo 50は等高線20m間隔で、ギリシャの背骨と言われるピンドス山脈Πίνδος / Pindusからパルナッソス山Παρνασσός / Parnassus、オリンポス山Όλυμπος / Olympus、ペロポネソス半島南端のタイゲトス山地Ταΰγετος / Taygetusなど、トレッキング適地を広域的に網羅している。黄緑のTopo 25は等高線10m間隔で、図郭を有名な山とその周辺にターゲットを絞ったものだ。

Blog_anavasi2 このほか、エーゲ海Αιγαίο Πέλαγος / Aegean Seaに点在する島嶼群を対象にしたTopo Islandsシリーズ(縮尺は1:20 000~1:60 000)が、現在19面出ている。(右写真はTopo Islands「ナクソス島」、下はTopo Islandsシリーズの索引図、2006年現在。なお、Topoシリーズ全体の索引図は同社のウェブサイトにある。下記参考サイト参照。)

地図記号はどのシリーズも大差ないが、特徴的なのは、文化財の記号が充実していることだ。縮尺にもよるが10以上の種類があり、イオニア式の柱頭をかたどった古代寺院ancient templeや、ドームの空間をイメージしたビザンティン建築Byzantine monumentなどは、ご当地ならではの項目といえる。他にも、アーチ形を写した石橋stone bridge、そして石灰焼き窯limeklin、脱穀場threshing floorとユニークな記号が並んでいる。

Blog_anavasi_index 旅行地図の刊行とともに、アナーヴァシ社はディジタル分野にも力を注いでいて、GPS装置用などの電子地図作成が社業のもう一つの柱だ。ギリシャの地図を必要とするときは、まず当たるべき地図出版社といえるだろう。同社の地図は、欧米の主要地図商でも扱っているが、自社ショッピングサイト(英語版あり)で発注すれば、国外へも送ってくれる。また、現地に行く予定なら、アテネ市内にある直営店舗を訪ねるとよい。ライバルであるロード社については、次回紹介する。

■参考サイト
アナーヴァシ http://www.mountains.gr/  英語版あり
索引図ダウンロード http://www.anavasi.gr/en/downloads.php
 ハイキングマップ hike_map_frame.jpg、道路地図 road_map_frames.jpg

ギリシャの旅行地図-ロード社

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2009年2月19日 (木)

ギリシャの地形図

1980年代における世界の地図事情をレポートした「世界地図情報事典」(正井泰夫監訳 原書房, 1990年)によると、ギリシャの地形図のうち1:25 000~1:100 000について、「現在の法規では、これらのシリーズはギリシアの国外では入手できない」としている。当時知られていたのは、ギリシャ国立統計局Εθνική Στατιστική Υπηρεσία της Ελλάδος / National Statistical Service of Greece (NSSG) の1:200 000県別地図だが、200m間隔の等高線に段彩をつけた程度の大味なものだった。

筆者が、官製図の版元であるギリシャ軍地理局Γεωγραφικη Υπηρεσια Στρατου / Hellenic Military Geographical Service (HMGS) に初めてコンタクトを取ったのは、アテネオリンピックが開催された2004年のことだ。さすがに国外への販売は解禁になっていたが、発注書を書くために、ギリシャ語表記の難解な索引図を苦労して解読したのを思い出す。

Blog_greece_surveyoffice_hp 今回、久しぶりに地理局のHPを訪問したら、垢抜けたデザインに差し替えられ、英語版もギリシャ語と同じボリュームが用意されていた。しかも、地形図のオンライン発注サイトまであるではないか。試験段階と断っているとおり、地図索引図と連動していないし、残念なことに代金決済システムが採用されておらず、支払いは従来の銀行送金か小切手で行うしかない。しかし、リクエストが来れば対応するというような受身の姿勢からは、転換が図られつつあるようだ。

ギリシャの地形図作成は1889年、オーストリアから招聘された軍事使節団の手で開始された。彼らに学んだ自国の技術者たちを核にして、軍の測量部が組織され、1926年には現在のHMGSが誕生した。資料や設備が灰燼に帰した第二次大戦を経て、1962年には測量成果を民需にも転用する方針が出された。しかし、その後軍事政権が確立し、隣国トルコとの対立など国際情勢の影響もあって、測量成果の利用は長らく国内だけに留められていた。

HPによれば、最近のHMGSはギリシャ軍の支援に必要なすべての地図作成を行うとともに、公共の需要にも応えている。地形図はアナログ(紙地図)のほかにラスタデータ(地図画像)でも供給し、1:50 000地形図から編集したベクトルデータ(数値地図)も販売している。次回紹介する民製図もこれらを使用できるようになって、地勢表現が格段に進歩した。

さて、ギリシャの地形図体系はどうなっているのだろうか。縮尺としては、1:1 000 000(100万分の1)、1:500 000、1:250 000、1:100 000、1:50 000、1:25 000の6種類があるが、全土をカバーする最大縮尺は1:50 000のようだ。図式は明示されていないものの、1:1 000 000と1:500 000はIMW(100万分の1国際図)、1:250 000はJOG(Joint Operations Graphic、直訳すると共同作戦図)の図式が基準になっていると読み取れる。JOGはアメリカ(および同盟国軍)の標準軍用地形図だが、ギリシャは1952年にNATOに加盟しているので、米軍の支援を受けて整備したものと思われる。

横長の図郭であるJOGに対して、1:100 000は緯度経度とも30分、1:50 000は15分に区分した縦長の図郭を用いている。この特徴的な形はオーストリアと同一で、紛れもなく初期の技術指導に由来するものだ。図式はオーストリア風とはいえず、1:50 000では等高線間隔20m、道路を赤、植生をアップルグリーンで塗るなど、ごく通常の仕様になっている。地図上の表記はギリシャ語だけだが、凡例には英語が加刷されているので、読解には支障がない。

どの地図も「ΓΕΝΙΚΗΣ ΧΡΗΣΕΩΣ(一般用の意)」と加刷されているのは、軍用と区別するためだ。空港や港湾施設が軍事施設として図から抹消されているのは当然だが、1:50 000の海の部分に詳細に書かれた水深値は、秘匿情報には当たらないようだ。海図ではないので、クルージングなどにそのまま利用することはできない。

透かし入りの厚手の用紙を用い、地名以外の文字情報もほとんど加えておらず、いかにも官製という堅苦しさを感じさせる地形図だが、見方によっては原初の純粋さを残しているともいえる。島嶼や国境付近など一部の図幅に購入制限がかかっているが、次回紹介する旅行地図がカバーしない地域では唯一の地理情報源だ。他の南欧諸国のように、今後も普及の努力が続けられることを望みたい。

■参考サイト
ギリシャ軍地理局 http://www.gys.gr/

ギリシャの地図に関する情報は、「官製地図を求めて-各国地図事情 ギリシャ」にまとめている。
http://homepage3.nifty.com/homipage/map/map_greece.html

ギリシャの旅行地図-アナーヴァシ社

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2009年2月12日 (木)

イタリアの旅行地図-タバッコ出版社

奇怪な山容のドロミティ(ドロミテ)山地Dolomitiに代表されるイタリアアルプス。第1次大戦まではオーストリア帝国の領土だったことから、最も北にある上アディジェ/南チロルAlto Adige/Südtirolではドイツ語を母語とする住民が今も7割を占める。近くて言葉が通じる南の国は、ドイツ語圏の旅行者の関心も高い。

Blog_tabacco そのような事情が背景にあるのだろう。この地域は、ドイツ語系の旅行地図が幅を利かせている。オーストリアの項で紹介したフライターク&ベルント社Freytag & Berndt (F&B) とコンパス社Kompassの勢力圏であり、ドイツ・アルペン協会もわずか2面だが、山岳地図を手がけている。それに対し、地元から参入して気を吐いているのが、タバッコ出版社Casa Editrice Tabaccoだ。本拠はイタリアの東端、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州Friuli-Venezia GiuliaのウーディネUdine郊外にある。イタリア語風にタバッコと表記したが、意味はもちろん煙草のことだ。妙な社名だが、公式HPにも社史や名前の謂れについては言及されていない。

F&B社の旅行地図は質、量ともに見劣りするので差し置き、ここでコンパスとタバッコを比較してみたい。筆者の見立てでは、両者は互いに譲らぬ好敵手だ。コンパスは1:50 000と1:25 000の2種類の縮尺が揃い、この地域だけで全部で約50点出している。タバッコも同じように1:25 000が52点、1:50 000が10点、自然公園図(1:25 000)が9点ある(右上写真の、左は1:25 000、右が1:50 000)。1面の図郭面積はタバッコが約108×96cmで、コンパスより一回り大きい。価格はタバッコが7ユーロ(イタリアでの売価)、コンパスも7~8ユーロでほとんど差はない。ちなみに官製図は、図郭が拡大された1:50 000でもタバッコの1/4の面積しかないのに、価格は10ユーロもするから、民製図のほうがはるかにお徳だ。

Blog_tabacco_index カバーするエリアは、欧州随一を自認するコンパスが圧倒的なのは仕方がない。しかし、イタリア北東部に限定すると、コンパスが作成済みのトレンティーノTrentino(トレント自治県Provincia autonoma di Trento)やガルダ湖Lago di Garda周辺へは、タバッコの手が及んでいないが、逆にフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州については、本社のあるタバッコが充実している(右写真は1:25 000の索引図、タバッコ社HPより)。

接戦の賜物と言うべきか、地図のクオリティは鑑賞にも堪える高いレベルにある。両者とも等高線とぼかし(陰影)を併用して地勢を立体的に見せ、植生を示すベタ塗りを施している。等高線の間隔は1:25 000の場合、タバッコが25m、コンパスが20m、1:50 000では同50m、40mと異なる。

タバッコの等高線は、欄外注記でも明らかなように、官製図である軍事地理研究所Istituto Geografico Militareの地形図から取っている。注目すべきは、タバッコが岩場の等高線を褐色から灰色に変えていることだ。これはスイス官製図が採用している方法で、崖地を表す絵模様と重ねることで生じる錯雑感を避ける目的がある。工数増をも厭わないのは美しさにこだわっている証拠で、コンパスも官製図もここまでは踏み込んでいない。岩場の表現自体も、官製図は写実的であっさりしているが、タバッコはそれを流用せず、やや模式的で濃厚な独自様式で描き直している。離れて眺めると立体感が強調されて、確かに見栄えがいい。

旅行情報の充実度はどうだろうか。コンパスの方針が観光資源をくまなく記号化することなのに対して、タバッコは登山道の表示に集中しているようだ。ドロミティは、侵食に耐えて屹立する岩山の周りに、緩やかな裾野が展開する。アルタ・ヴィアAlta Via(高い道の意)といわれる長距離ルートをはじめ、トレッキングに適した小道が縦横にめぐっているのだ。タバッコ地図では、登山道の分類が難度に応じて6種類もある。道標のあるラバ道mulattieraあるいは通行容易な小道sentiero、道標のある小道、道標の少ない小道、道標はあるが経験者向きの難路、道標の少ない経験者向きの踏み跡traccia、(戦時の行軍用に整備された)鉄梯子道via ferrata、局所的には岩登りの記号もつけて万全を期している。

イタリアきっての人気山岳リゾートが、このような美しい地図に恵まれているのは喜ばしい。そう思って、しばらくぶりにタバッコの最新カタログを見たら、従来の領域を越えて港町トリエステ付近の新図が追加されているではないか。今度はカルスト地形だ。どのように表現されているのか、さっそく手配しようと思う。

タバッコの地図は、イタリアの地図商はもとより、Stanfordsほか主要地図商で扱っている。

■参考サイト
タバッコ出版社 http://www.tabaccoeditrice.com/
同HPにあるサンプル図 http://www.tabaccoeditrice.com/eng/legenda.asp
Omnimapのサイトにあるサンプル図
http://www.omnimap.com/cgi/graphic.pl?images/for-hike/64-8275d.jpg

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2009年2月 5日 (木)

イタリアの旅行地図-イタリア旅行協会

悠久の歴史と文化に彩られたイタリアは、ヨーロッパそして世界中の人々を引きつけてやまない。中世の面影を保つ街巡りはいつも魅惑的だが、明るい陽光を浴びながら、緑なす田園風景を愛でる旅にも期待が膨らむ。そこではおそらくTCIの地図とガイドブックが水先案内人となってくれるはずだ。

日本語でイタリア旅行協会と訳されるTCI、すなわちツーリング・クラブ・イタリアーノTouring Club Italianoは、同国の旅行事業を専門とする独立非営利法人だ。イタリア旅行書・地図の分野では、フランスにおけるミシュラン社Michelinのような代表的存在になっている。協会の日本語版HPの紹介によれば、TCIは1894年、自転車旅行の愛好家たちによってミラノで設立された。現在45万人以上の会員を擁しており、旅行文化の普及と振興を図ることを目的に、出版、旅行代理、施設運営、調査研究などの事業を展開している。

Blog_tciatlas TCIの地図帳としては、縮尺1:200 000でイタリア全土を北部、中部、南部の3分冊にした「イタリア道路地図帳Atlante stradale d'Italia」が知られていた(写真は北部編1991年版。その後、表紙デザインは変わっている)。A4判より一回り大きい24.5cm×32cm。収載範囲は、北部編が北の国境からフィレンツェまで、中部編はボローニャからナポリの北まで(ナポリは含まず)とサルデーニャ島、南部編はローマから南、シチリア島までだ。周辺部は互いに若干の重複を持たせてある。カタログで見ると、2009年版は全土を1冊にまとめたため、575ページものボリュームになっているようだ。先にあげたミシュランにも同じ縮尺のイタリア地図帳があるが、他社には真似のできないご当地色に満ちている点で、筆者は断然TCI版を支持する。

最たる特徴は、道路地図Cartografia stradaleの地勢表現に、古典的なケバ式を採用していることだろう。ケバとは「斜面の最大傾斜の方向に向けて並べられた単線群」(「図説地図事典」武揚堂1984, p.298)、つまりブラシのような線をびっしりと描いて傾斜や立体感を示す方法だ。19世紀中期以降に等高線が普及するまでは、「地形図」の主たる表現手段だった。TCIのケバは線の足が長く、まるで指紋のようだ。それだけでも十分美しいが、よく見ると灰色のケバの下にベージュのぼかし(陰影)を重ねて、立体感をより強調している。

地図全体のトーンがイタリアの家並みを連想させるのは、この下地とともに、主要道がキャロットオレンジ、その他の道路がクロームイエローに塗られているためだ。いまどき手描きの注記というのも温かみを醸し出す源だろう。もちろん、区間距離や道路番号の表示など、道路地図としての機能は整っているし、鉄道記号もていねいに単・複線、軌道の区別がある。

■参考サイト
TCIイタリア道路地図帳サンプル(リンク切れご容赦)
http://www.touringclub.com/_images/Editoria/PDF_Atlante.pdf

もとより、1:200 000という縮尺で道路網が稠密な都市近郊を描くのは無理がある。地図帳には、別に中心都市図Pianti di attraversamentoがついている。筆者の手元にある版は古いため、各巻4~5都市が紹介されているだけだが、現行版は119都市を収載しているという。縮尺はまちまちだが、おおむね等高線が入っている。旧市街はしばしば丘の上に築かれているので、これも必要な情報だ。主要街路は太い線でくくり、目印となる文化財級の建造物は俯瞰形で描き起こされている。いずれ劣らぬ個性を放つ町ばかりだから、旧市街の狭い街路や教会、遺跡を追っての図上旅行を始めると、時の経つのを忘れる。

なお、これらの図版は1枚ものの折図にも使われており、1:200 000地方図シリーズCarte regionaliや、都市図シリーズCarte e Piante di cittàとして多数刊行されている。かつては都市図だけを収録した「イタリア都市図集La piante delle cittá d'Italia」という地図帳もあったのだが、すでにカタログから消えた。この道路地図帳に集約されてしまったのかもしれない。

Blog_tcimap 姿を消したということでは、1枚ものの旅行地図もそうだ。TCIには、戦前からイタリア各地の集成図「イタリア旅行地図Carta di zone turistiche d'Italia」の看板シリーズがあった。内容は、特に旅行情報を付加したわけでもないただの地形図なのだが、ぼかしが入り、露岩や崖地の表現も精巧で、入手しにくい官製図に対して身近な存在だった。1990年代でもまだ北部の山岳地帯やナポリ湾などの図幅が残っていたが、いつしか上記の1:200 000の図版を使用したものに置き換えられてしまった。改訂の手間を考えて整理されたのだろうが、惜しいことだ。(写真左はイタリア旅行地図シリーズの一つ「オルトレス・チェヴェダーレ山群Gruppo Ortles Cevedale」1981年版、右はそれを引き継ぐ1:200 000図版を使ったシリーズ「ガルダ湖Il lago di Garda」1996年版だが、これも今は廃版)

■参考サイト
イタリア旅行協会 http://www.touringclub.it/
同 英語版 http://www.touringclub.it/international_TCI/
同 日本語版 http://www.tci-japan.ecnet.jp/

イタリアの旅行地図-タバッコ出版社

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