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2009年1月15日 (木)

フランスの鉄道地図 IV-ウェブ版

前回紹介した列車や路線のネットワークを表す鉄道地図に対して、今回は、路線の設備や整備状況を地図で詳述したフランスのウェブサイトを見てみよう。
(記載したURL等は、本稿を全面改稿した2014年5月現在のものである)

Blog_france_railmap_hp11その1つは、フランス鉄道線路事業公社 Réseau Ferré de France, RFF(下注)が公開している。1997年、旧フランス国鉄SNCFは列車運行とインフラ管理を別組織化する、いわゆる上下分離の対象とされたが、その際、インフラ保有の受け皿として設立されたのがRFFだ。公式サイトには路線ネットワーク図のリンク集があり、組織のミッションにふさわしい図面が数々収められている。

*注 Réseau Ferré de France(レゾー・フェレ・ド・フランス)は直訳すると「フランス鉄道網」だが、ここではウィキペディアの訳に従う。

■参考サイト
フランス鉄道線路事業公社 RFF  http://www.rff.fr/
トップページ上部メニューのle réseau > les cartes

RFF 鉄道地図のページ(直接リンク)
http://www.rff.fr/fr/le-reseau/les-cartes/

大項目は、「インタラクティブマップ(対話型地図)Les cartes interactives」「全国図 Les cartes nationales」「ヨーロッパ図 Les cartes européennes」「地域図 Les cartes régionales」と4つ挙げられている。

まず、インタラクティブマップだが、「ネットワーク図 La carte du réseau」というのは、OpenStreetMap が提供する基図に路線のルートを重ねたものだ。凡例は、地図の右上隅に並ぶ5つのボタンの右端にある。それによると、青線はLGV(高速専用線)、紫は旅客・貨物共用の在来線、緑は貨物線で、さらに二重線は複線以上、側面に突起があるのは電化線を表す。また、グレーの破線は休止線だ。各路線の用途はこれでわかるのだが、取得可能な情報はそれだけだ。OpenStreetMap にもとから含まれているはずの駅名データすら非表示にされているのは、有用性の点で疑問符がつく。

それに対して、全国図の項には興味をそそる地図が揃っている。たとえば、1つ目の「全国鉄道ネットワーク地図 la carte du réseau ferré national」。ファイルサイズが14.5MBもある大きな地図だが、RFFの管理下にあるフランス全土の鉄道全線全駅(一部の地方私鉄を含む)が丹念に図示されている。

実はこの仕様は、1940年代からSNCFとIGN(フランス国土地理院)が共同製作していた印刷版鉄道地図の流れを汲むもので、その意味で長い歴史をもつ公式資料だ。上述のインタラクティブマップに比べると、駅名はもとより操車場や待避設備なども細かく記載されて、本格的な鉄道インフラ地図になっている。この地図は2013年に印刷物としても復活を果たした(「フランスの鉄道地図 V-テリトワール社新刊」で詳述)。

Blog_france_railmap7
全国鉄道ネットワーク地図

2つ目の「ネットワーク展開大プロジェクト地図 la carte des grands projets de développement du réseau」は、建設中あるいは計画中の新線や連絡ルートを描いた、いわばフランス鉄道の未来予想図だ。LGV(高速新線)は開通時期別に色分けしてあり、赤が工事中、青は計画中で2030年までに開通、緑は同じく2030~50年に開通、橙は優先順位外すなわち別途計画が進行している路線を表す。また、星の記号は整備対象となるエトワール・フェロヴィエール Étoile ferroviaire(結節点としての鉄道網、下注)を示している。

*注 エトワール・フェロヴィエールは直訳すると「鉄道の星」で、都市から周辺部へ放射状に拡がる鉄道網を星に見立てたもの。パリの凱旋門広場を、放射状の道路網の中心にあることからエトワール広場というのと同じ発想。

「主要な改良個所地図 la carte des principaux chantiers」は、線路、信号、土木、駅、新線計画(上記の展開プロジェクト関連路線)、技術開発、電化その他、全国の主要な改良個所を地図にプロットする。また、「集中する列車運行 les trafics agrégés」は、1日当りの列車本数を線幅で表現した地図だ。

次の項目、ヨーロッパ図にはただ1点、「ヨーロッパの高速鉄道ネットワーク Le réseau grande vitesse européen」と題する地図がある。これは、自国はもとよりドイツ、イタリア、スペインなど周辺各国で着々と進行している高速鉄道網の整備状況を表したものだ。赤い線は時速250km以上、黄は時速200~250km運転の路線、また実線は営業中、破線は工事中を表していて、とりわけスペイン国内の発達ぶりが目を引く。

最後の項目「地域図 Les cartes régionales」には、各地域の路線ネットワークや改良個所を示した地図が相当数収録されている。全国図と併用することで、フランスの鉄道路線ネットワークの現在と近未来を概観することができる。

Blog_france_railmap_hp12次に紹介するのは、鉄道地図サイトというより、鉄道のデータ集に地図が使われている例だ。RAIL21 と称する個人サイトで、その中に「フランス鉄道ネットワーク Le réseau ferré français」というページがある。データは線区ごとにまとめられているのだが、その検索方法が二通りある。

一つは駅名を手掛かりにするもので、左メニューの青色で示されたアルファベットのリンクをたどって任意の駅名を選択する。もう一つは茶色で示された "Réseau Est"(東部ネットワーク)などからリンクしている路線図上で選択する。この路線図は、東部 Est、北部 Nord、西部 Ouest、南西部 Sud-Ouest、南東部 Sud-Est の5面あり、別途、高速線 Lignes à Grande Vitesse の専用図も用意されている。

任意の線区を選択すると、次の画面で3つのボタンが現れる。左の「Caractéristiques(線区の特徴)」は、開業日、複線化開業日をはじめ、最急勾配、最高地点の標高、最小曲線半径、電化方式、電化開業日、信号方式、トンネル・橋梁の名称・長さ、最高速度などの項目が表形式で記載されている。中央の「Plan de ligne(線路平面図)」は、駅の旅客扱いの有無、電化方式、単線・複線、貨物線などの区分を平面図上で記号化したものだ。右の「Profil en long(線路縦断面図)」では、距離と勾配、トンネル・鉄橋の長さが縦断面図に表されている。

RFFのサイトではここまで詳しいデータは公開されておらず、その点でこれは、鉄道網の基礎データが得られる貴重なサイトといえるだろう。

■参考サイト
フランス鉄道ネットワーク
http://pagesperso-orange.fr/florent.brisou/Lignes.htm

(2014年5月29日改稿)

★本ブログ内の関連記事
 フランスの鉄道地図 I-IGN刊行図
 フランスの鉄道地図 II-テリトワール社
 フランスの鉄道地図 III-ウェブ版
 フランスの鉄道地図 V-テリトワール社新刊
 フランスの鉄道地図 VI-シュヴェーアス+ヴァル社

 近隣諸国のウェブ版鉄道地図については、以下を参照。
 イギリスの鉄道地図 V-ウェブ版
 ベルギーの鉄道地図
 ドイツの鉄道地図 IV-ウェブ版
 スイスの鉄道地図 IV-ウェブ版
 イタリアの鉄道地図 III-ウェブ版
 ヨーロッパの鉄道地図 V-ウェブ版

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