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2009年1月29日 (木)

新潮社の日本鉄道旅行地図帳

Blog_japan_railatlas このブログではヨーロッパの鉄道地図を各種取り上げてきたが、日本でも目下、画期的なシリーズが刊行中だ。昨年(2008年)5月の発刊から9ヶ月、ついに筆者の住む関西編まで揃ったので、ここで少し感想を記しておこう。

地図の電子化が進む一方で、アイディアを競うように実用本位の地図帳が書店の棚を賑わせている。このシリーズも、地図出版の傾向と鉄道趣味のブーム化とを追い風に企画されたに違いない。刊行予告の時点では、手を変え品を変えてよく作るものだ、となかば呆れて眺めていたが、第1号を手にとって少なからず驚いた。盛りだくさんの内容とこだわり抜いた編集、まさに日本の鉄道を徹底的に楽しむために作られた、他に類を見ない地図帳だったからだ。

新潮社刊「日本鉄道旅行地図帳」は、エリア別に北から12分冊とし、旧領土・植民地の別巻も予定されている。メインテーマとなる鉄道地図は、現状報告にとどまらず過去と未来にも目を向けているのが新鮮だ。

今を描く「鉄道旅行地図」は、現存鉄道の全線全駅を、数値地図の標高データを用いて地勢を精密に描き出したベースマップ上に図化したものだ。縮尺は各号の中では統一されているが、北海道、東北などは1:800 000、南関東、東海、関西などは1:500 000と、鉄道網の疎密度によって変えている。都市圏は拡大図がある。路線表示についてはJRと私鉄の単線・複線に分類し、信号場や貨物駅、スイッチバックや急勾配区間を注記している。別ページで写真と解説をつけた名駅舎・鉄道保存施設、一口コメントを添えた車窓絶景など、鉄道関連の見どころ紹介も楽しい。

題名に「旅行」と銘打っているとおり、地図には百名山、さくら名所、名城、名湯、その他名所旧跡の記号がプロットされ、地名の傍らに土地の名産品がさりげなく記されている。地図帳が鉄道ファンに限らず、旅好きな層全般に支持されているのも頷ける。

山岳地帯は鉄道にとって建設・運行の難所である一方、旅行者にとっては車窓の変化が列車に乗る楽しみを誘う。地図帳ではそういう地域を選んで、三次元の鳥瞰図で紹介している。これまでの9号から拾うと、狩勝峠、板谷峠、清水トンネル、碓氷峠、箱根富士、立山黒部、大井川と指折りの名所ばかりで、峡谷や山腹を縫う鉄路のかぼそげな様子が臨場感をもって伝わってくる。関西編では、これが奈良飛鳥と京都近傍の国宝所在地を示す図になっている。発想は大変ユニークだが、遠方になるほど面積がひずむため、一部の注記が集中して錯雑感を招いてしまった。垂直視点にしたほうが分かり易かっただろう。東京の地下鉄立体透視地図も同様で、固定の視点で立体的に見せるには限界があり、表紙にあるような標高地形図に重ねれば十分ではなかったか。

過去を記録するのは「廃線鉄道地図」で、過去帳入りした路線やルート変更の跡を駅名入りで、かつ現役線との接続状況も含めて明らかにしている。幾度も変遷を重ねている路線は、時代別の分図が用意されているし、スイッチバックは消滅したものを含めて解説つきの配線図がある。全国津々浦々の路面電車、森林鉄道、簡易軌道まで洗いざらい調べ上げ、丹念に書き込んだ執念にはまったく脱帽する。筆者も旧版地形図を渉猟したことがあり、昔どこに鉄道が延びていたかはたいてい知っているつもりだったが、この地図を読めば、こんなところにも、という小鉄道がまだまだ現れる。これまで廃線跡探訪記などで個別の路線図は目にしても、全国規模の一覧図にまとめたものはなく、将来にわたって交通発達史の貴重な資料となるに違いない。

未来予想図としては、東京近郊の構想線・夢想線が特集されている。事情通にとってはこの項の監修者である川島令三氏の著書で既知の情報とはいえ、一般の読者は興味津々で眺めることだろう。同じように未来形だったはずが、図らずも過去完了になってしまった国鉄予定線・未成線の一覧図もあり、鉄道に託された見果てぬ夢に思いを馳せることができる。

各号には地域特集として、特徴的なテーマを取り上げたコーナーがある。上述の鳥瞰図や構想線一覧もその一つだが、ほかにも、昭和初期の蛇腹折り鉄道地図を紹介したり(東北編)、蒸機のメッカ、梅小路蒸気機関車館をレポートする(関西編2)など、どこまでも読者を飽きさせない。さらに車両基地一覧、軟券博物館、そして後半には路線と駅の詳細なデータ集等々があり、たかだか50ページ前後の冊子としては、信じられないほどの密度を有する。

諸外国の鉄道地図帳が、おおむね路線あるいは列車データの図化に特化した、いわば専門店であるのに対して、こちらは痒いところに手が届くコンビニのような店づくりになっている。筆者は紹介記事を書こうとして一度ならず読み返したが、そのたびに新たな発見があり、遅々として筆が進まなかった。大仰ではなく、日本の鉄道140年の歴史を地図上に焼き付けた記念碑的労作と言うべきだろう。

ところで、従来、鉄道地図というと、時刻表の索引地図のように、弧状に連なる日本列島を矩形の図郭に収めるため、距離や方位を歪めるのが通例だった。それに対して、この地図帳は正縮尺(1つの図の中で縮尺が一定)を標榜している。識者の書評で、日本初の正縮尺鉄道地図を謳うのは編集者の不勉強で、1966年に鉄道図書刊行会から「日本鉄道線路図」が出ていると指摘されていた(「鉄道ジャーナル」2008.11 p.142)。興味を覚えていたところ、さっそく刊行元の鉄道誌(「鉄道ピクトリアル」2009.1)に復刻版が掲載された。確かに全国同一縮尺、全線全駅の先駆的な著作だが、白地図に路線を記入しただけの至ってシンプルなものだ。初のタイトルは譲っても、情報量や多様性の点で、今回のシリーズとは比較にならないことを言い添えておきたい。

■参考サイト
新潮社「日本鉄道旅行地図帳」 http://www.shinchosha.co.jp/railmap/

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2009年1月22日 (木)

フランスの1:100 000地形図

フランスの国土の面積は54万平方キロと日本の1.45倍、いうまでもなく西ヨーロッパ最大で、ヨーロッパ全体で見てもロシア、ウクライナに次ぐ広さだ。カバーする地形図の面数も当然多く、1:25 000は日本の地形図4~5面分もある大判の集成図へ図郭が拡張されつつあるとはいえ、なお1800面近くを数える。4倍の面積を表現できる1:50 000でも、旧来の経緯度区切りのため、1100面を超える。

Blog_france100k そこで、フランス全土を手軽に図上旅行しようと思えば、次に大きい縮尺である1:100 000に行き着く。フランスの北部から西部にかけては広大な平野となだらかな丘陵地帯が卓越するので、ある程度広いエリアを見渡せる中縮尺図が使いやすい。しかも、これより小さい1:250 000では等高線が表示されなくなるから、最小縮尺の地形図としての役割も担っている。それゆえに(?)、横120cm×縦89cmの大判用紙にもかかわらず、価格は1:50 000の2/3に抑えられている。面数も74面に減って、個人で買い揃えようと決意しても、なんとか手の届く範囲だ。

1:100 000地形図は、1997年までSérie verte(セリ・ヴェルト、すなわちグリーンシリーズ)と呼ばれ、緑色の表紙が目印だった。1998年から順次、Carte topographique au 1:100 000(10万分の1地形図)から取ったTOP100という名称に変わった後、現在の表紙にはCarte de promenade(散策地図)と、参考用途が示されている。フランス語のプロムナードは、徒歩に限らず自転車やクルマで行くときにも使うので、広い意味での散策用というメッセージだろう。縮尺から言っても、歩きよりは交通用具で移動する旅に適している。
(上の写真では左がグリーンシリーズ、右がTOP100。下の写真はTOP100の裏表紙に載っている索引図で、グリーンシリーズの時代から全く変化はない)。

Blog_france100k_index 実用性の強調は、地図記号に反映されている。一般的な地形図に比べて、道路に紅、オレンジ、黄と目立つ色が配され、地点間距離も書き添えられて、道路地図を思わせる。しかし、これは経緯度区切りの旧図時代からの伝統だ(当時の色は赤、黄の2色)。鉄道の駅はグリーンシリーズ以降、旅客営業するものを紅色で塗って、列車で行ける駅を判別できるようにしている。TOP100になって付加されたのは旅行情報を表すピクトグラムで、教会、博物館、歴史的建造物、案内所、スポーツリゾート、温泉、古城その他28個の記号が設定されている。図上では往々にして、この記号が集落や道路の表示の一部を隠してしまうほどだ。主要なハイキングルートや自転車道も、鮮やかな紅色で加えてある。

少し気になるのは、版を重ねるごとに地形描写が軽んじられる傾向が見えることだ。グリーンシリーズ以前、日本の地形図のように平図で売られていたときの1:100 000は、この国らしい明晰さを湛えた美しい印面が特徴的だった。たとえばアルプスの山々は、濃いぼかし(陰影)と精密な岩肌の表現で、彫りが深く厳然とした表情を帯び、対照的に控えめな薄青色を使った氷河は、陽光に輝いているように見えた。

近年のTOP100の山岳表現は、明らかに同じ版であるにもかかわらず、コピーを繰り返したように線が太く荒くなり、周囲と調和していない。地勢のぼかしは、グリーンシリーズ時代はまだ濃かったが、TOP100では薄めになって立体感が弱まった。カラー印刷の方式がスポットカラー(特色インクを使用)からプロセスカラー(CMYKの4色)に変わって、等高線も鮮明さを減じている。すべての図幅を調べたわけではないが、同じく転換が図られた1:25 000に比べても、1:100 000は美的水準の低下が顕著なように思われる。観賞用ではないにせよ、実用性を追求するあまり、ベースマップの吟味が疎かにならないように願いたいものだ。

フランスの官製地形図はフランス国土地理院Institut Géographique National(IGN)のオンラインショップで購入できるほか、各国の主要な地図店で扱っている。

■参考サイト
フランス国土地理院 http://www.ign.fr/
官製地図を求めて-フランス
http://homepage3.nifty.com/homipage/map/map_france.html

【追記 2009.5.17】
2009年3月から1:100 000新シリーズの刊行が始まり、本項で紹介した旧図は廃版となる。詳しくは、本ブログ「フランスの1:100 000地形図、新シリーズ登場」http://homipage.cocolog-nifty.com/map/2009/05/1100-000-c159.html にて。

フランスの1:25 000地形図
フランスの1:50 000地形図

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2009年1月15日 (木)

フランスの鉄道地図 IV-ウェブ版

前回はフランスの列車や路線網を表現した鉄道地図を紹介した。今回は路線の設備を詳述した全国鉄道地図2種とイル=ド=フランスの鉄道地図だ。

Blog_france_railmap_hp5 前者の1つめは、フランス国鉄SNCFが製作し、フランス鉄道線路公社Réseau Ferré de France (RFF) が公開している。1997年、旧フランス国鉄SNCFは列車運行とインフラ管理を別組織化する、いわゆる上下分離の対象となったが、その際、インフラ保有の受け皿として設立されたのがRFFだ。その資料サイトに、組織のミッションにふさわしい鉄道地図が収められている。「Réseau ferré national(全国鉄道ネットワーク)」というタイトルで、RFFの管理下にあるフランス全土の鉄道線(一部の地方私鉄を含む)を詳細に図示したものだ。記載項目は比較的シンプルで、線路の本数、待避線、操車場、旅客駅とそれ以外(非営業を含む)といった施設関係と、狭軌線、地方私鉄、休止線、廃止線の区別、それに行政界とSNCFの管理局界が入っている程度だ。しかし、鉄道の公式資料であり、全線全駅が待避線や連絡線の有無を含めて丹念に図示されていることで、注目に値する。

「フランスの鉄道地図 II」に記したように、この地図はかつて同国の国土地理院IGNが、上下左右4分割した印刷図にして頒布していた。現在は全1面にPDF化されて便利な反面、4.5MBという大容量のため、表示に若干時間を要する。旧図では河川や運河、隣接国内の路線網なども描かれていたが、現行版では省略され、県名も番号に置き換えられて、一般図的な要素はすっかり消し去られた。ちなみに縮尺が1:800 000と記されているが、ファイル上は約1:1 200 000(120万分の1)に縮小されている。
■参考サイト
RFFの資料サイトDocument de référence du réseau ferré national
http://rff-document-de-reference.eu/
トップページ > Principales cartes > Carte du réseau ferré national(全国鉄道ネットワーク地図)

地図への直接リンク(リンク切れご容赦)
http://rff-document-de-reference.eu/images/stories/pdf/2010/fr/fr_docref_anx_4_5.pdf
これとは別に、RFFオリジナル地図もある http://www.rff.fr/biblio_pdf/rf_inv_r_carte.pdf

Blog_france_railmap_hp6 もう1つは個人サイトで、「フランス鉄道網Le réseau ferré français」と題する線路配置図だ。上記の地図を各路線の主要駅間ごとに抽出したような体裁で、駅とキロ程を図示している。また、付属資料として開業日、勾配、トンネル、電化方式、最高速度などのデータを揃えているので、資料集として活用できる。
■参考サイト
フランス鉄道網 http://pagesperso-orange.fr/florent.brisou/Lignes.htm

Blog_france_railmap_hp7 最後は、イル=ド=フランス交通連合Syndicat des transports d'Île-de-France (STIF) のサイトにある鉄道地図だ。下記のリンクをたどると、Cartothèqueの括りにさまざまなタイプの路線図PDFが集められており、パリ都市圏の公共交通を知るうえで見逃せない資料集となっている。

サイトは5ヶ国語に対応しているが、地図が見られるのはフランス語版だけだ。簡単に内容を記すと、Les transports aujourd’hui(今日の交通)として、Le réseau de trains(近郊列車網)、Le réseau RER(RER網=パリ市内を通過する地域急行線)、Plan de métro(メトロ=パリ地下鉄)、 Plan de lignes tramways(トラム)、Le bus : lien vers l’atlas pour la cartographie complète des bus en Île-de-France(イル=ド=フランスのバス全線を示したアトラスへのリンク)、Noctilien(夜間バス)、Plan des lignes de bus Mobilien à Paris(パリへのモビリアンバス=サービス改善のための新政策による路線バス)、Plan des lignes de bus Mobilien en Petite Couronne(プティット・クロンヌ=パリ市に接する県のモビリアンバス)、Plan des lignes de bus Mobilien en Grande Couronne(グランド・クロンヌ=パリ市に接しない県のモビリアンバス)と、STIFに参加する公共交通の路線図がずらりと並んでいる。そのほか、Zones tarifaires(運賃ゾーン)、Parcs Relais(パークアンドライド)など利用者の参考情報や、Les transports demain(明日の交通)の項にまとめられた将来計画図などもある。ビジュアル化によって地域交通への親しみを深めてもらおうという組織の意思が汲み取れる。

■参考サイト
イル=ド=フランス交通連合 http://www.stif-idf.fr/
トップページのInformation et Communication > Système d’Informations Géographique > Cartothèque
地図集ページの直接リンク
http://www.stif.info/information-communication/systeme-informations-geographique/84.html

なお、印刷された鉄道地図については、以下参照
本ブログ「フランスの鉄道地図 I」
http://homipage.cocolog-nifty.com/map/2006/11/_i_12fe.html

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2009年1月 8日 (木)

フランスの鉄道地図 III-ウェブ版

ウェブサイトで公開されているフランスの鉄道地図は、なかなか充実したラインナップだ。テーマとしては、列車や路線のネットワークを表現したものと路線の設備を詳述するものの2種類に大別できるだろう。量が多いので、2回に分けて紹介したい。

前者の鉄道地図は以下の4つのサイトで見ることができる。
Blog_france_railmap_hp1 まず、フランス国鉄SNCFのサイトには、フランス全国版とイル=ド=フランスÎle-de-France(首都パリを中心とする地域、首都圏)の詳細版がある。全国版は路線網と主要駅を表示しているが、TGVやユーロスターが走る高速鉄道線以外は、すべて細線で区別なく表した単調な地図だ。イル=ド=フランス版はパリと郊外を結ぶRERとTransilienの路線を描いているが、3.5MBもあるPDFファイルにもかかわらず、解像度が低く、実用に耐えない。
■参考サイト
フランス国鉄SNCF http://www.sncf.com/
初期画面でしばらく待つと、詳しいメニューが表示される。
Vie pratique(実用)> Où aller en train?(列車でどこへ?) >
Carte ferroviaire nationale(全国鉄道地図)またはRéseau ferré d'Île-de-France(イル=ド=フランス鉄道網)を選択する。

フランス路線図への直接リンク(リンク切れご容赦)
http://medias.sncf.com/resources/fr_FR/medias/MD0006_20070801/file_pdf.pdf

Blog_france_railmap_hp2 次は、個人サイトの力作だ。フランスとカナダ(およびブラジル、リオデジャネイロ)の有用な鉄道地図が提供されている。列車が走るルートを列車種別や系統ごとに描き分け、同時に主な駅間の所要時間や運行頻度を表示したものだが、スマートな配色と明解なデザイン、それにデータ更新が頻繁に実施されていることにも感心する。

フランス編は全国を18面に分割する。地図はJPEG画像だが、小さい文字も問題なく読めるし、地図の縁にある矢印で隣接図にジャンプできるのも親切だ。地図表現はというと、列車種別や系統によって配色を変えて、同じ路線をTGV、幹線列車(コライユColaille)、ローカル列車(TER)が併走している様子を表現する。また、高速専用線(Ligne à grande vitesse = LGV)は鎖線で区別する。
所要時間は1h30のように表記し、運行頻度(ただし、地方線における平日の列車本数)は列車種別と同じ色の数字で示す。地勢表現はないものの、NASAが提供する衛星写真を下敷きにしているので、山地と平野が、そして拡大図では森林がうっすらと見えている。
主要都市については拡大図があって、地下鉄やLRTの路線と全駅が示され、さらに欄外に幹線時刻表や、各鉄道事業者サイトへのリンク集もある。フランス語版と英語版があるが、地図画像が別々に用意されるなど、たいへん充実した内容を備えている。
■参考サイト
Cartes ferroviaires (Railway Maps)  http://membres.lycos.fr/cartesferro/
フランス鉄道地図の英語版は以下のリンクから
http://membres.lycos.fr/cartesferro/france/france_en.html

Blog_france_railmap_hp3 3番目は「フランスの鉄道地図 II」で紹介したイティネレール・エ・テリトワール社Itinéraires & Territoiresが運営するサイトitransports.comにある、インタラクティブマップだ。メインページはフランス語だが、英語版も用意されているので、そちらで説明しよう。
初期画面では小さなフランス全国路線図が表示されているが、縮尺を上げていくと、道路や水系(川、池など)が描かれたベースマップ上に鉄道路線と駅が浮かぶようになる。駅をクリックすると駅名と停車する列車種別、市内路線では系統番号などが示される。スケールバーを最大にしてみたところ、パリ市内では駅舎の外観を立体的に描いた図が現れた。青い太線はSNCFなどの鉄道線、ピンクはメトロ(地下鉄)、ライトグリーンはバス路線を表している。

インタラクティブマップを使いこなすために、左の入力欄、あるいは上部のメニュータブをいくつか試してみた。
"Journey planner(旅程作成)"では、出発地と到着地、出発日を入力すると、列車時刻とともに地図上のルートを表示してくれる。駅を調べる場合はStationを選択してから、駅名か都市名を入力する。市内に複数の駅があるときは選択肢が表示される。フランスの場合、地方都市間の往来は、距離的に遠回りでもパリ市内を経由したほうが便利なこともしばしばなので、市内の拠点駅間を連絡するRERにも対応している。地図には列車の走るルートが紫で表示されており、道路地図に見られるルートプランナー機能を、鉄道旅行に応用したものと考えればよい。
"Cities"を入力すると、市内交通路線の案内や市内主要駅周辺の市街図などにアクセスでき、鉄道やバスの系統をクリックすると図上にルートが表示される。"Maps"では、地名や駅名を入力して目的地の拡大図を表示する。このように、紙の地図では不可能な個別問合せを実現してくれる、インターネットならではのサービスだ。
■参考サイト
itransports.com 英語版 http://itransports.fr/en

Blog_france_railmap_hp4 最後も個人サイトで、「公共交通アトラスAtlas des transports publics」と題し、鉄道線はもとよりバス路線を克明に描いた正縮尺地図をPDFで提供している。使用言語はフランス語のみ。
冒頭の説明文を引用すると、「このサイトの目的は、もっと網羅的かつ正確にフランスの公共交通を表示することのできる地図を提供することだ。(中略)この作業はインターネットで収集できた交通事業者や運行機関による旅行情報をベースにしている。参考にした資料は地域ごとのページに記してある。サイトには100面を越える地図があり、国土の1/2が表現されているが、個人による無報酬の企画だ。残念ながら情報の完璧さ、正確さは保証できないので、どうか事業者の公式サイトか素材情報を参照されたい。」

地図は大判のPDFファイルで、1:250 000と縮尺が明示されている。凡例Légende des cartesによれば、鉄道線は赤い梯子状の記号で表され、駅の位置には停車する列車の種別、系統番号が記されている。メトロ、トラム、ケーブルカーなどの都市交通はピンクやオレンジ色だ。バスの表示は細分化され、都市間バス路線は緑色で、かつ実線は毎日運行、破線は週・月1回、細かい破線は臨時を表す。近郊バスは黄色、トロリーバスなどはベージュ色だ。地図には運輸連合の範囲も表示している。
山間部のバス路線まで忠実にトレースした努力には脱帽するが、イル=ド=フランスはあまりに路線が多く複雑なためか、リストから欠けている。ぜひ完成を待ちたい。
■参考サイト
公共交通アトラス http://atlastransportpublic.free.fr/
地図はCartesのリンクまたは、Aller directement aux cartes(直接地図に行く)のプルダウンリストから。

フランスの鉄道地図 IV

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2009年1月 1日 (木)

ヨーロッパの鉄道地図-M.G.Ball地図帳

Blog_europeanrailatlas1鉄道利用の旅行者によく知られているトーマス・クックのヨーロッパ鉄道地図の紹介は後回しにして、今回はM. G. Ball氏の編纂するヨーロッパ鉄道地図帳European Railway Atlasを取り上げたい。というのも、ヨーロッパ全域をカバーする鉄道地図の中で鉄道愛好家向けのものとしては唯一であり、久しぶりに復刊されたからだ。氏の労作は1990年代に5分冊で刊行されていたが、長らく廃刊のままだった。
■参考サイト
イギリスとアイルランドの鉄道地図 III
http://homipage.cocolog-nifty.com/map/2007/10/iii_4389.html

昨年あたりから国・地域別の分割版が提供され始め、全域の完成が待たれていたが、2008年12月、ついに完全版の出来が発表された。180ページ、地図は122面ある。1ページ1面で割り付けられており、残りのページは索引と後述する資料集だ。先行してPDFファイルがCD収録の形で有償配布され、印刷本は追って刊行されるようだ。公式の紹介ページ(下記)に、各国版1ページずつのサンプル図が掲載されている。筆者はまだ完全版を実見していないが、手元にあるフランス編とハンガリー編を参考にして内容を見てみよう。
■参考サイト
M. G. Ballのヨーロッパ鉄道地図帳 http://www.europeanrailwayatlas.com/

地図の縮尺は国・地域ごとに異なっている。数値を明示していないのでスケールバーから測ると、フランス編は本土1:1 800 000(180万分の1)、ハンガリー編は1:1 200 000(120万分の1)程度だ。残念ながらこの縮尺では全駅表示は不可能で、路線網の表現にとどまる。ただし、フランス編では、パリParis、リールLille、リヨンLyon周辺について拡大図が用意されているので、RERのような近郊路線も省かれてはいない。また、コルシカ島Corseの図はサルデーニャ島Sardegnaを含んでおり、本来はイタリア編に属するものだ。国別とはいえ、隣国の路線も簡略化されつつ描かれているので、国際路線を追跡するのに不自由はない。

凡例はフランス編が英、仏、独語、ハンガリー編にはハンガリー語が加わり、全域版ではEUの公用語数に匹敵するほどの言語が並んでいるのだろう。地図記号も多彩だ。線の形状で区別するものでは、標準軌でICが走る幹線、支線、貨物線(いずれも複線、単線の別あり)、休止線、それに狭軌の複線、単線、休止線などがある。フルカラーを生かした色による区別は、主に電化方式の違いを示していて、結果的に国ごとに支配的な配色が変わるので効果的だ。建設予定線と保存鉄道も色で判別できる。

しかし、労作に水を差すようだが、記号の設定のしかたには少々疑問がある。直線が複線を表し、直線の上にドットを並べて(だんごの串刺しに似た形状)単線を表すというのは、必ずしもわかりやすいとはいえない。そのつど凡例を参照しなくて済むように、たとえば複線は二重線、単線は一重線というような簡明な表現にすべきだろう。ついでに国境の記号も、色は赤ながら同じような直線にドットの串刺しで表現されていて、まぎらわしい。

それはさておき、この地図帳のコンテンツは鉄道地図だけにとどまらない。「ヨーロッパの鉄道への総合案内A Comprehensive Guide to Europe's Railways」を標榜するのも故なるかな、地図帳につきものの地名索引のほかに、保存鉄道の一覧、鉄道と列車予約の取扱サイト、愛好家向けサイトなどが紹介されていて、調べものには重宝する。

全域版が上梓された後も、国・地域別版は並行して提供されるようだ。オーストリア、ベネルクス三国、イギリスとアイルランド、東欧諸国、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、北欧諸国、ポーランド、スロバキアとチェコ、南東欧諸国とトルコ、スペインとポルトガル、スイスの14分冊があり、上記公式サイトで発注すると、オンデマンドプリント、簡易製本で送られてくる。国によってはこれより詳細な鉄道地図が存在する場合もあるが、ヨーロッパ全域を統一された基準で網羅した意義は大きく、調査研究の基礎資料として利用価値は高い。

ヨーロッパの鉄道地図-トーマス・クック社

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