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2008年11月20日 (木)

新線試乗記-東京メトロ副都心線

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路線図

「副都心縦断」、「よく行くところがつながる感じ」 開業が近づくにつれ、遠来の者にもキャッチコピーを目にする機会が増えた。「オフィス街を通らない初めての路線」、「急行が走る。所要時間は埼京線並み」、そしてついに「東京メトロ最初で最後の新線!」と、レアイメージで期待感を盛り上げる作戦は、決定的な段階にさしかかった。

東京メトロ副都心線は、今年(2008年)6月14日に池袋と渋谷の間8.9kmが開業し、和光市~渋谷20.2km全線が完成した。有楽町線と共用する和光市~小竹向原間8.3kmと、1994年から運行していた小竹向原~池袋間、通称 有楽町線新線の3.0kmという既開業区間に対して、今回は山手線の内側を並行する注目のルートだから、広報に力が入るのも当然だ。

東武東上線と西武池袋・有楽町線から列車が乗り入れ、4年後には東急東横線とも連結されて、横浜から埼玉南西部にかけてのネットワークの要となる。ふつう開業フィーバーが収まるまでは腰を上げない筆者が、1週間も経たない6月20日に早くも初乗りに出かけたのも、単に日程が空いたというより、前宣伝の刷り込みが効いたからに違いない。

新幹線品川駅から山手線で渋谷へ。地下へ降り、副都心線エリアに足を踏み入れると、曲面主体の未来的なデザインがお客を迎えてくれた。中央部に円く大きな吹抜けが設けられ、見下ろせばちらりと階下の線路がのぞく。これが全長80m、幅24mという安藤忠雄設計の巨大な「地宙船」であることは予習してきた。

エスカレーターでホームへ降り立つと、上下線はかなり離れていて、その間に使われていない2線がある。東横線がつながったときの備えだそうだ。現在はこの上に仮設の橋を渡して、上下ホーム間を行き来できるようにしている。しばし観察すると、路線図をしげしげと眺める人、構内にカメラを構える人、「俺、もう渋谷にいるんだよ」とケータイで話す若者と、開通に沸いた数日前の余韻が漂っている。ちょうど停まっていたのは、急行川越市行きだった。渋谷でステンレスに赤帯の東上線電車の姿に出会うのは目にも新鮮で、未知のルートが通じたことを実感する。

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渋谷駅 (左)改札を入って地宙船へ (右)未使用の中2線

ところで、東京メトロの公式サイトに、池袋~渋谷間の前面展望が楽しめるヴァーチャルトリップが用意されているのをご存知だろう。乗車レポートに関しては他に譲って、ここでは地理的な視点で眺めてみたい。

■参考サイト
東京メトロ副都心線 http://www.tokyometro.jp/fukutoshin/
上記トップページ > もっと知ろう副都心線 > 副都心線に乗って

動画を観察すると、ルートの前半と後半で対照的な特徴があることに気づく。話の順序で渋谷側から記すが、渋谷~新宿は勾配がなだらか(緩い上り坂)な代わり、くねくねとよく曲がっている。新宿~池袋間は逆に、カーブが少なく見通しがきくが、アップダウンの大きさが際立っているのだ。

■参考サイト
渋谷付近の1:25,000地形図
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.659000/139.702600
渋谷付近のGoogleマップ
http://maps.google.com/maps?hl=ja&ie=UTF8&ll=35.6590,139.7026&z=17

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(左)新型10000系 (右)開業を祝うポスター

副都心線は、JR渋谷駅前から新宿三丁目、伊勢丹前の交差点を経て、目白通りの千登世橋をくぐる地点まで、明治通りの地下を走る。渋谷~新宿間でくねくねと曲がっているのは、もちろん地上の道路のせいだ。明治通りは昭和初期に整備された。当時でもこの区間は市街地化が進んでいたため、既存の道路を拡幅したり(宇田川ガード~竹下通りや千駄ヶ谷五丁目付近)、お屋敷を避けたり(神宮前一丁目付近。旧 池田邸、現在は東郷神社ほか)と、ルートの設定に苦心した結果が、頻出するカーブに表れているのだ。地形的には渋谷川とその支流の谷を遡る形なので、勾配は一方的な上りになる。

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北参道駅 (左)改札内の壁画 (右)ホーム壁は和のデザイン

一方、新宿付近では洪積台地の上に出る。古い地図で見ると、東西方向の街道に直交する形で里道が延びている。そのため、計画道路も地割に沿って、南北方向の直線状に設定できたのだ。

新宿三丁目では、丸ノ内線、都営新宿線と三つ巴で交差しあう。ヴァーチャルトリップでも立体的に図解されているように、縦方向で約6mしかない両線の隙間をかいくぐる離れ業を見せている。新参の路線はふつう一番下に造られるものだ。わざわざ土かぶりを浅くしたのは、商業施設が集中して利用客の最大の目的地になるので、せめて垂直移動の距離を減らそうという意図と見た。

台地はこの先、西早稲田と雑司が谷の間で、神田川が刻んだ深い谷によって分断されている。地上に用地の余裕があったなら、渋谷駅前の銀座線のように高架で渡したいところだが、現実は、谷の地下を走る東西線のさらに下へ潜らなければならず、かくして新宿三丁目のサミットから、途中40‰勾配を含む長い下り坂と再び上る勾配を強いられている。

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雑司ヶ谷駅 (左)千登世橋下出入口 (右)鬼子母神参道

地上からはうかがい知れないルート設計に思いを馳せながら、渋谷から急行に揺られた。池袋まで11分は速いといっていいのだろう。懸命に飛ばそうとして、叶わないじれったさを感じるルート前半に対して、後半は憂いを払拭するように走り、各停が退避する東新宿は気づかないまま通過してしまった。

きょうは1日券を買ってあるので、このまま和光市まで記念乗車してから、引き返して主だった駅に降りてみるつもりだ。新しい駅は、それまで縁遠かった風景を身近に引き寄せてくれる。雑司が谷の鬼子母神へ向かう風情ある並木道、いつもと違って北参道から巡る明治神宮の深い森...。華やかな役割が強調される副都心線だが、筆者には静かな散策の足という隠れた側面も見逃せない。

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コメント

おじゃまします。
先日タモリクラブで、都内の川(石神井川)を、探索しているのを、見ました。
むかしの風景が、いまだに、都内で、見られるところに、感動です。
タモサン~わたしも、知らなかったことを、恥じります。
もっともっと、都内埼玉の、川を、歩き知りたいです。

コメントありがとうございました。
タモリさんはご存知のように地図好き、鉄道好きですので、NHKのブラタモリという番組でも、明治神宮から流れ出る川の行方を裏原宿で探しておられました。
春の小川に歌われた渋谷川を、東京オリンピックの都市整備の過程で下水路に代用したと言う話には正直驚きました。

今晩は
http://tanken.life.coocan.jp/setagaya/udagawa.html
東京渋谷付近の水路の探索は↑のページも優れてますよ。

HPの情報ありがとうございます。
台地の末端に築かれた東京の市街地は、小さな谷がいたるところに隠されていて、廃線ならぬ廃川探訪には絶好の土地だと思います。

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