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2008年6月12日 (木)

バルト三国の地図-ラトビアの地形図

世界地図ではほんの小国に見えるラトビア Latvia だが、面積は64,589平方キロとオランダやスイスの1.5倍、身近な比較では北海道の8割近くの広さがある。筆者にとっては、別項で紹介するヤーニャ・セータ社の旅行地図が手元にあったことや、官製の地図成果がウェブで公開されていたことで、バルト三国の中でも近しい存在だった。

まず、そのウェブ版官製図を見ていただこう。

■参考サイト
ラトビア観光情報サイト viss.lv  http://viss.lv/latvija.php

最初に表示されるラトビア全図 Latvijas karte で任意の場所をクリックすると、詳細図が現れる。これは家の記号で示される宿泊施設をはじめ、さまざまな観光スポットの位置を確認するためのツールだが、ここで言及したいのは地図そのものだ。一見、概略的な印象があるが、よく見ると10m間隔の等高線が入り、交通網ばかりか地物や植生もきちんと描かれ、無料閲覧用としては立派なものであることがわかる。地図に、国の測量局である「国土サービス Valsts zemes dienests / State Land Service」のコピーライトが添えてあることで、ソースが官製であることがはっきりする。

Blog_latvia_50ksatellite 実は、このデジタルマップと衛星画像を重ね合わせた、前回のエストニアと同じような地図シリーズ(右写真)が市販されているのだ。ラトビアでも全土をカバーしている地形図(印刷図)の縮尺は1:50,000だが、やはり衛星地図 satelītkarte と地形図 topogrāfiskā karte の2種類が存在する。しかも本来応急版の位置づけだったはずの前者が、今も更新され続けているというのが興味深いところだ。

衛星地図の初版は1994年に刊行が開始され、1998年に全国131面が揃っている。その年に正式版地形図(民生用)が現れたので、これが全土を覆うころには衛星地図は廃刊かと思われたが、2002年に第2版として6面が改訂されたのを皮切りに、2007年現在で71面まで切り替わったという。第2版でも図式の変更はほとんどないが、主要データであるデジタルマップは全面的にベタ塗りされているので、衛星画像がほとんど裏に沈んでしまい、生で見えるのは産業地区だけだ。市街地にはコーラルレッドが配され、ウェブ版に比べても落ちついた色調に調整されている。

Blog_latvia_50k では、完成度を高めた衛星地図に対して、地形図はどのような特徴があるのだろうか。両者は図郭、図番体系とも同じなので並べてみると、地形図のほうが情報量の点で優れていることは明らかだ。前者で写真のままだった産業地区の建物が図化されているのは当然として、居住地や耕作地の描写も詳細になり、等高線は10m間隔で変わらないが補助曲線を多用して、微細な地形を表現している。

それでもなお、写真地図の更新を維持しようとしているのは、デジタルマップとしての汎用性とともに、直感的な識別性で地形図を補う機能があると考えているのだろう。地形図を読み込むには少々慣れが要るが、衛星地図は一瞥で土地の概要がつかめるからだ。

地形図も第2版の刊行が進んでいて、2008年5月現在で北西部を中心に28面が切り替えられた。新版では市街地の配色が、グレーから写真地図と同じコーラルレッドに改められ、図全体の印象が明るくなった(右写真は第2版)。

Blog_latvia_10k さらに大きい縮尺の地形図として、2002年に1:25,000が6面試験刊行されたが、広域整備には至らなかった。それに代わるのが、2001年から順次拡大されてきた1:10,000地形図だ(右写真はリーガ旧市街)。最初は各地域の資料を使った簡易版を作ったようだが、現在では正式版が、ロシアやベラルーシとの国境地帯、首都周辺、地方都市などで完成している。地方都市の中心部は正規の図郭にこだわらず集成図とするなど、利用者本位の編集が図られている。

ラトビア共和国国土サービス Latvijas Republikas Valsts zemes dienests / State Land Service of the Republic of Latvia は、再独立後間もない1992年に設立され、その後再編を受けながら、同国の測地と地図作成を担ってきたが、2005年12月にラトビア地理空間情報局 Latvijas Ģeotelpiskās informācijas aģentūra / Latvian Geospatial Information Agency が新設されて、機能が移管された。地形図には国土のシルエットをデザインした新組織のシンボルマークがついている。

なお、ラトビアのリーガにあるヤーニャ・セータ社 Jāņa Sēta のオンラインショップで、これら民生用の官製地図を販売しており、国外からも購入できる。

■参考サイト
ラトビア地理空間情報局 http://www.lgia.gov.lv/
「官製地図を求めて」ラトビア
http://homepage3.nifty.com/homipage/map/map_latvia.html
 関連サイト等をまとめている。

★本ブログ内の関連記事
 バルト三国の地図-序章
 バルト三国の地図-ラトビアの地方図・市街図

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