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2008年6月19日 (木)

バルト三国の地図-ラトビアの地方図・市街図

ラトビアの首都リーガ Rīga は、ドイツ騎士団によって築かれた町だ。騎士団の保護のもとに宣教師や商人が集まり、ハンザ同盟にも加わって内陸部との交易の中心となった。

旧市街は、ベラルーシから流れてきたダウガヴァ川 Daugava に面し、反対側は川の水を引く堀(都市運河 Pilsētas kanāls)で守られた城塞だ。ドイツ・ゴシックの街並みで世界遺産に登録されている旧市街の一角に、古い煉瓦の城壁が保存されていて、アーチの入口をくぐると、中世の面影を残す石畳の小ぢんまりした広場がある。すぐそばの聖ヨハネ教会にちなみ、ヤーニャ・セータ Jāņa Sēta(聖ヨハネの中庭)と呼ばれる。

表紙を黄色と紺色に塗り分けた地図で知られる出版社の名は、これを戴いたものだ。ラトビアとリトアニアの詳しい旅行地図を求めようとすると、必ずこの名に行き当たるほど、出版社はこの地域を代表する存在に成長している。リーガ市内では同じ名称の地図店も有名で、バルト諸国の地図や旅行書を揃えるなら、見過ごすわけにはいかない。

Blog_latvia_rigasrajons ヤーニャ・セータ地図出版社 Karšu izdevniecība Jāņa Sēta が刊行する一般利用者向けの主力商品は、地方図 Reģionālās kartes だろう。縮尺1:200,000の6面でラトビア全土をカバーしているし、リトアニアも1:200,000~1:250,000で全土が揃う。さらに詳しい1:100,000は州別のシリーズ Rajona Karte / Map of Region で、ラトビア26州を網羅しているわけではないが、官製図に欠けている縮尺のバラエティを補う役割を果たしているのは事実だ。

その一つ、「リーガ州 Rīgas Rajons」を見よう。両面刷りのおもて面は、縮尺1:100,000の州全体図で、見栄えは調和感がある一方、メリハリもついていて悪くない。その理由は、画面全体を支配しているアップルグリーンの樹林域に対して、オレンジと黄の道路網が画面をうまく引き締めているからだ。蚕食が進んではいるが樹林はまだ比較的豊富で、この国の主要産業の一つが木材加工であることが思い起こされる。

国土がおおむね平坦という事情もあるのだろうが、同社のすべての地図を通して、等高線やぼかし(陰影)などの地勢表現は一切入っていない。しかし、土地は東に向かって緩やかに高まって、図の東端にある町シグルダ Sigulda ですでに標高100mほどある。すぐ西を流れるガウヤ川 Gauja が平原を侵食して、深さ70~80m、幅1kmほどの谷を造っている。地図の上でもここだけは崖の記号が連続して、変化の大きい地形であることを示している。ちなみに、町から川の対岸にあるクリムルダ Krimulda の城跡まで、谷の上を横断するロープウェイで空中散歩を楽しんだあと、古城と洞窟のある森の中を散策できる。

Blog_latvia_riga 州全体図の周囲と裏面には、主な町の拡大図が所狭しと並び、地名索引、観光地ガイド(ラトビア語のみ)と、1枚ものの地図としては情報が盛りだくさんだ。しかし、この地図には残念ながら首都の拡大図は載っていない。それは、リーガ市が政府直轄の独立した行政区域になっているからだ。

ヤーニャ・セータ社はラトビアとリトアニアの市街図も多数刊行していて、リーガ市に関するものが何種類もカタログに載っている。筆者の手元にあるのは、市域の大部分を1:20,000、中心部を1:7,000で描いた「リーガ市街図 Rīga pilsētas plāns」で、厚紙カバーと地名索引が付された片面刷りの折図だ。

この図は、先述の地域図に比較すると、薄めの色を多用している。主要街路は赤の縁取りに黄色の塗りがあるのでまだしも、路地は市街地のベタ塗りにほとんど埋没してしまっている。書き込みをするにはいいが、実際に移動しながらでは読み取りにくそうだ。バスやトロリーバス、路面電車の市内交通網も表現するために、塗りのインパクトを抑えようとしたのかもしれないが、全体としては眠たげな印象の地図になった。

Blog_latvia_riga_panorama 一方、リトアニアのブリェディス社 Briedis が作る旅行地図の一つに、「日帰りリーガ One day in Rīga」というのがある。旧市街 Vecrīga を俯瞰するイラストマップで、表紙にも中身の一部が抜粋されているから、これで全体を想像していただこう。

絵図の中央に他を圧する大きさで鎮座するのは聖ペテロ教会、その左下に隣接する茶色の屋根が、冒頭で触れた聖ヨハネ教会だ。タイトルでもわかるように、これは完全英語版(地名はラトビア語併記)なので、裏面に載っている観光案内も理解できるし、添えられた1:10,000市街図もヤーニャ・セータ版より色遣いが明快で、使いよい。リーガ観光にはこれが最適かもしれない。

これらの地図は、ヤーニャ・セータ地図店のオンラインショップで購入できる。

■参考サイト
ヤーニャ・セータ地図出版社 http://www.kartes.lv/
ヤーニャ・セータ地図店(英語版) http://www.karsuveikals.lv/en/
ヤーニャセータ社が提供するラトビア地図サイト uzkartes
http://www.uzkartes.lv/

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