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2008年4月24日 (木)

ロシアの鉄道地図 I

Blog_russia_railatlas 中・東欧の地図を扱うオンラインショップを物色していたときに見つけたのが、この地図帳。地図178ページ、索引72ページ、その他含めて256ページのハードカバー本だ。多少古ぼけた印象の表紙の上部に書かれているのは、すばり「鉄道地図 Атлас железные дороги / Railway Atlas」で、その下に「ロシア、CIS諸国、バルト諸国」とあり、この1冊で旧ソビエト連邦全域の鉄道路線を概観することができる。

製作したのは「2002年、オムスク地図製作所 Омская картграфическая фабрика / Omsk Cartographic Factory」で、ロシアの地図作成機関ロスカルトグラフィア Роскартография / Roskartographia関連の政府出資会社だ。

ページ構成は以下の通り。

・1:25,000,000行政区分図(CIS、バルト諸国含む)、地勢図
 いずれも見開き2ページに全域を収めた小縮尺図だが、ロシア地理の入門に役立つ。
・索引図、主要鉄道路線図
 前者は行政区域、後者は路線を地域鉄道支社別に色分けする。同じ色をメイン地図でも使っているので、直感的に関連がわかる。なお、CIS、バルト諸国は別の索引図がある。
・主要都市間距離、標準時間帯
 後者は挿図だが、11もの標準時をもつ大国らしい主題図だ。
・凡例集
 地図帳の表記はすべてロシア語だが、凡例だけは英語版も用意されている。

・行政区分別鉄道地図
これが本編で、見開き2ページにロシア連邦各行政区の全図と、州都の拡大図を挿図で載せるスタイルで統一している。ロシアの行政区は、州(オーブラスチ область)、共和国(レスプブリカ республика)、地方(クライ край)、連邦直轄市(федеральный город、 モスクワ市とサンクトペテルブルク市)ほかがあり、区分図の数も83にのぼる。

巻頭に概要が書かれているので、主だったところを紹介すると、
「この地図帳は鉄道で旅する乗客の参考になるように編集されている。掲載は地域鉄道支社の順で、バルト諸国、CIS諸国は最後にまとめてある。鉄道のない地域は省略されている。幹線道路、連絡航路、主要な町も掲載している。駅や停留所は名称とともにすべて書き込み、都市名が駅名と異なる場合は括弧書きで併記している。主要な駅間距離をルート上に書き添えている。州都拡大図は、鉄道路線のほかに市街地、道路、空港、水系などを示している...」。

最後に、駅名索引と、都市名と駅名が異なるケースの対照表がついている。

ちなみに、ロシアでも鉄道はすでに国の直轄から政府出資の株式会社に移行した。新生ロシア鉄道 Российские железные дороги / Russian Railways には17の地域支社がある。地図帳では、北西部を受け持つ最も歴史の古い10月鉄道 Октябрьская железная дорога / October Railways に始まって、バルト海に面した飛び地にあるカリーニングラード鉄道、首都とその周辺のモスクワ鉄道、ヤロスラヴリを拠点とする北部鉄道 Северная железная дорога / Northern Railways という順で、最後は、極東のサハリン鉄道が締めくくる。

地域支社の管轄区域が、おおむね行政区のかたまりごとに分割されているのも、地図帳から読み取れる。ただし、モスクワ市のページを見ると、モスクワ鉄道のローズ色が支配する中心部へ、バイオレット色の10月鉄道が北西から直線的に入ってきて目立つ。サンクトペテルブルクとを結ぶこの路線は、10月鉄道が一括管理しているらしい。

鉄道地図はすべて縮尺が明示されている。州別図の場合、最も面積の狭い州で1:750,000、広いものでは1:3,000,000(300万分の1)だ。州都の拡大図も1:200,000~1:500,000と、分類的には小縮尺に入る。そこに路線が、多くても数本引かれているだけだから、現実のスケールは想像をはるかに超えている。ロシアの大地は、長らく鉄のカーテンの向こう側にあったせいで、いまだに筆者にはほとんど馴染みがない。しかし、ここに描かれた鉄道路線と自然景などの手がかりと地形図を照合すれば、未知の領域に足を踏み入れる糸口がつかめるに違いない。

筆者は本書を以下のサイトで購入したが、ロシア書専門のナウカ・ジャパンのカタログにも載っている(Book No. R60847)。

■参考サイト
中・東欧の地図販売サイト Mittelosteuropa-Landkarten 
http://www.mittelosteuropa-landkarten.com/
ロシア鉄道公式サイト(英語版) http://eng.rzd.ru/

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2008年4月17日 (木)

バイカル環状鉄道

バイカル湖畔は、シベリア(横断)鉄道 Транссибирская магистраль / Trans-Siberian Railway(略称 Транссиб / Transsib)の車窓最大のハイライトだ。モスクワのヤロスラヴリ駅から東へ5153km、イルクーツク Иркутск / Irkutsk を発車すると、列車は山間を抜けてゆるゆると高台へ上って行く。ふと気がつくと、左手下方に「シベリアの青い瞳」が視界のかなたまで広がっていて、乗客たちの目はしばらく釘付けになる。

シベリア南東部にあるバイカル湖 Озеро Байкал / Lake Baikal は、周囲2100kmもあるアジア最大の淡水湖だ。地学的にも生態系の点でもユニークな特徴をもち、世界遺産に登録されている。世界一深い湖で、最深地点はなんと水面下1637m、そのため貯水量はアメリカ五大湖の合計より多く、地球上の淡水量の1/5にも及ぶという。この湖岸に鉄道が到達したのは1900年のことだった。

全体図
blog_circumbaikalrailway_map1
青が1898~1900年開通の、湖を船で連絡する初期ルート
赤はそれに代わる1901~1904年開通のバイカル環状鉄道
緑は現在のシベリア鉄道である1949年開通の山越え新線
下記拡大図の位置も図中に示してある

旧ソ連製1:1,000,000地形図 M-48 および N-48 を使用。Map images courtesy of maps.vlasenko.net、原画像を60%に縮小

最初のルートは、湖水の唯一の流出口であるアンガラ川の左岸をイルクーツクから遡るもので、延長72km。湖に臨む岬の突端に「バイカル駅」と船着場が設けられた。同年には、対岸のムィソーヴァヤ Мысовая / Mysovaya の港(後に町はバブシュキン Бабушкин / Babushkin に改名)からさらに東進する路線が開通した。この間の往来に充てるため、イギリスから砕氷能力をもつフェリーを購入して、湖上連絡が実施された。しかし、1903~04年はことのほか厳冬で、砕氷が叶わず、凍結した湖面にレールを敷いて役畜に客車を曳かせたと記されている。

その一方で、バイカル環状鉄道 Кругобайкальская железная дорога / Circum-Baikal Railway と呼ばれる陸上の連絡路を建設するために、調査が進められていた。ムィソーヴァヤから湖の西端クルトゥク Култук / Kultuk までは湖岸に沿うのが順当だが、そこから先は4つの案が比較検討された。最終的に、山越えしてイルクーツクと短絡する3つのバリエーションは斥けられ、湖岸を東に進んでバイカル駅につなぐ計画が採用された。経済効率の点で優位だったとはいうものの、このルートも平地には恵まれず、湖に落ち込む断崖がほとんど切れ目なく続いている。

建設事業は、1899年にムィソーヴァヤ側から始まった。問題の北岸区間では、岩をうがち、33本のトンネルと248個所の橋梁を築く難工事となった。陸上の運搬路がないため、現場で調達できる石材以外の資材は、夏は船、冬はそりに載せて運んだ。1904年2月の日露戦争勃発後は、兵力の安定的な輸送が喫緊の問題となり、完成が急がれた。その年9月、ついに「鉄のベルトを留める金色のバックル」が開通を果たし、翌10月からは定期運行が開始された。

シベリアを横断する大動脈の成立は、東部の開発を促進し、まもなく輸送力の増強を求められるようになる。単線では1日14往復が限度のため、複線化して最大48往復とする工事が進められ、1914年に終了した。

1940年代には軌道のさらなる改良が計画された。しかし、険しい地形を縫う路線では落石や土砂崩れなどが頻発し、安全性を抜本的に高めようとすると費用は莫大なものとなる。調査報告書は、湖岸ルートの更新を断念し、クルトゥクの手前のスリュジャンカ Слюдянка / Slyudyanka からイルクーツクへ通じる短絡線に付け替えることを提案した。こうして初期の構想から50年を経て、1949年に山越えの新線が日の目を見たのだった。

その後も旧線は使われたが、1950年に、アンガラ川を堰き止める水力発電用のダム建設が始まる。イルクーツクからバイカル駅までの区間の大部分が水没する運命となり、1956年に廃止された。残されたスリュジャンカとバイカル駅の間は行き止まりの閑散線と化し、幹線であればトンネルや橋梁に配置される監視員もすべて撤退してしまった。1962年には崖崩れの被害で、複線の片方が使用不能となり、撤去された。

ここで、旧ソ連軍参謀本部の1:100,000地形図を見ておこう (Map images courtesy of maps.vlasenko.net、原画像を80%に縮小)。

拡大図1の右端、アンガラ川の左岸に廃止線が4kmばかり水没を免れている。線路が湖岸に回りこむ位置にバイカル駅があり、かつて連絡船が発着した突堤がある。左へ続く湖岸は、比高300~400mの見るからに険しい斜面で、線路は波打ち際にへばりつくように敷かれている。随所に記された分数表示はトンネルの数値で、分子は高さ×幅、分母は長さを示す。

拡大図 1
Blog_circumbaikalrailway_map2

拡大図2は新旧路線の分岐点付近だ。現在の幹線であるイルクーツク短絡線が、反転を繰り返しながらゆっくり上っていく。複線のはずだが、スイッチバック形式の待避線が何箇所も見える。一方、図の右からやってきた旧線はここクルトゥクでようやく、わずかばかりの平地と集落を見出すことになる。

拡大図 2
blog_circumbaikalrailway_map3

地図に描かれている通り、旧線、延長89kmはその後も不遇時代を生き永らえた。やがて「バイカル環状鉄道」の名称は、もっぱらこの路線を指すようになった。鉄道の周辺にはダーチャ(自給自足のための別荘)や旅行者の宿泊所があって、買出しに出る人のために1日1本の普通列車「マターニャ」が運行されている。相当にくたびれた車両だが、リクエスト次第で駅でないところでも停ってくれるのだという。

さらに、単なる地元民の生活路線からの脱皮も始まっている。すでに1982年に工学遺産および自然保護区域として、州議会により指定の対象に挙げられたが、1996年の世界遺産登録以降、湖の眺望をほしいままにできる鉄道には、観光資源としての見直しがかけられた。

2003年から定期観光列車の運行が始まり、イルクーツク直通で夏季は週に2往復、それ以外は1往復している。これを利用するツアーの旅程によれば、イルクーツクからダム湖西側の道路をバスで走って、湖岸のリストビヤンカ村に滞在、翌日フェリーで湖上を移動してバイカル駅に上陸、そしてこの観光列車に1日たっぷり乗車して、発地に戻る(またはこの逆コース)。

鉄道の沿線人口は極小で、災害のリスクも高く、立地条件は非常に厳しい。それだけに、地域にとって近代史の語り部でもあるバイカル環状鉄道のルネサンスに注目したいものだ。

■参考サイト
Circum-Baikal railway http://kbzd.irk.ru/Eng/
バイカル環状鉄道に関するデータ集(英、露語)

The Trans-Siberian Railway (Web Encyclopedia) http://www.transsib.ru/Eng/
シベリア横断鉄道に関するデータ、写真、歴史など非常に充実した資料集(英、露、独語)

バイカル環状鉄道ツアーの一例 Tours to Baikal - Circumbaikal Railway Tour
http://www.baikalex.com/travel/circumbaikal.html

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2008年4月10日 (木)

旧ソ連軍作成の地形図 III

閲覧サイトにある旧ソ連の「参謀本部地図」を使って、ユーラシア大陸の図上旅行に出かけてみた。地形図が入手しにくい地域を広範囲にカバーするソ連図は、どこをとっても目新しく、興味の尽きることがない。(Map images courtesy of maps.vlasenko.net)

サントリーニ(ティーラ)島 Santorini (Thira)
http://download.maps.vlasenko.net/smtm200/j-35-32.jpg
紺碧の海と断崖上の白い家並みのコントラストが美しく、エーゲ海でもとりわけ人気がある島の一つだ。紀元前1600年前後に起きた火山の爆発で、生じたカルデラに海水が侵入して、現在のような形になった。エーゲ海域のソ連図は1:200,000が最大だが、等深線が記入されているので、海面下300~400mから急傾斜で立ち上がるカルデラ壁の様子がよくわかる。

■参考サイト
カルデラ壁を上るゴンドラ
http://www.santorini.com/holidays/cablecar.html

1:200,000(原画像を80%に縮小)
Blog_genshtab_map11

イスタンブル Istanbul
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/k-35-106.jpg ほか3面
かつての東ローマ帝国、そしてオスマン=トルコの首都であり、今もヨーロッパとアジア、地中海と黒海を結ぶ要衝イスタンブル。図の右側の太い水路がボスポラス海峡で、1973年に開通した海峡をまたぐ橋(第一ボスポラス橋)が描かれている。図中央、北に向かって切れ込む入江が金角湾 Golden Horn。旧市街はその南側に突き出した半島に築かれた。ソ連図ではトルコ全土の1:100,000が公開されている。

1:100,000(×100%)
Blog_genshtab_map12

ドナウデルタ Danube Delta
http://download.maps.vlasenko.net/smtm500/l-35-4.jpg
中欧を貫くドナウ川が、ドイツ南部から延々2850kmの旅の果てに黒海に注ぐところで、広大なデルタを形成する。手付かずの自然が残り、世界遺産に登録されている。この地域のソ連図は1:100,000があるが、面積が広大なので1:500,000で概観してみた。図上で、北側の分流キリア Chilia の上に引かれた赤のラインはウクライナ(北)とルーマニア(南)の国境線だ。

1:500,000(×80%)
Blog_genshtab_map13

ヤルタ Ялта/Yalta
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/l-36-129.jpg
黒海に突き出したクリミヤ半島南岸にある町の名は、第二次大戦の戦後処理について米英ソ首脳が会談した場所として知られる。町は、標高1200~1500mあるヤイラ山地の急峻な海側斜面に開ける。山が北風をさえぎるため、冬も比較的温和で、古くから保養地として名を馳せてきた。なお、山地の北にあるシンフェロポリ Simferopol' から標高752mの峠を越え、海岸沿いにこの町に至る世界最長のトロリーバス路線が今もある(延長86km、所要2時間)。

■参考サイト
Крымтроллейбус / Crimean Trolleybus(ロシア語)
http://www.crimea-troll.com/

1:100,000(×80%)
Blog_genshtab_map14

チェルノブイリ Чернобыль / Chernobyl'
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/m-36-013.jpg ほか1面
ウクライナ語でチョルノーブィリ Чорнобиль。首都キエフから北へ110km、1986年に起きた史上最悪の原発事故の現場だ。発電所は町の北8kmに建設され、近くに従業員の居住区プリピャチ Припять / Prypiat があった。図の右下がチェルノブイリの町、中央に広大な冷却池、その左上の中島に黒円で描かれている冷却塔2基が目を引く。

1:100,000(×80%)
Blog_genshtab_map15

ヴォルガ=ドン運河 Волго-Донской канал / Volga-Don Canal
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/m-38-125.jpg
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/m-38-126.jpg
http://download.maps.vlasenko.net/smtm1000/m-38.jpg
1952年、ヴォルガ川とドン川の間に造られたヴォルガ=ドン運河は、ウラル山脈の西側を黒海・地中海に連結する役割を果たしている。運河の東の入口はヴォルゴグラード Волгоград / Volgograd 南郊にあり、9個所の閘門で、ヴォルガ川水面から88mの高さまで一気に上る様子が、1:100,000地形図で確認できる。閘門はギリシャ文字のΛ(ラムダ)に似た記号で示され、イタリック体で шлюз(閘門)No.1~9の注記がある。最高地点に達した船はこのあと、閘門4箇所を経てドン川へ降りていく。

1:100,000(×100%)
Blog_genshtab_map16
広域図 1:1,000,000(×80%)
おおむね右半分がヴォルガ川 Волга 流域、左半分がドン川 Дон 流域
図中の青い枠は上図1:100,000の範囲を示す
Blog_genshtab_map17

ユーラシア大陸最北の地 Northernmost point of Eurasia
http://download.maps.vlasenko.net/smtm200/t-48-19_20_21.jpg
タイミル半島の北端、チェリュスキン岬 мыс Челюскина / Cape Chelyuskin で大陸は尽きる。北緯77度43分、ユーラシア、アメリカ両大陸を通して最も北に位置するが、海峡を隔ててセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島が横たわり、北極点までまだ1370kmある。地名は18世紀にこの地域を訪れた探検家の名にちなんでいる。最果ての地を1:200,000地形図で確認すると、岬の東南側に無線局(箱から稲妻形矢印の記号)、灯台(星形記号)、そしてチェリュスキン極地観測所 полярн. ст. (= полярная станция) Челюскин の注記がある。

1:200,000(×80%)
Blog_genshtab_map18

パミールの山々と巨大隕石孔 Great Meteor Crater in Pamir Mountains
http://download.maps.vlasenko.net/smtm1000/j-43.jpg
ここはキルギスタン、タジキスタン、中国が接するパミール高原の北部。このような秘境でも1:100,000地形図が用意されているのは驚きだが、ここでは全体を概観するために1:1,000,000を使用した。

画像の上半分はキルギスタン領で、西方のバクトリアや北方のフェルガナ盆地から中国のカシュガルへの交易路が通過する。下半分はタジキスタン領だ。右寄りにある湖はカラ・クル Kara-Kul で、標高3900mの高地にある。直径45kmのこの盆地は、およそ2500万年前に起きた巨大隕石の衝突で生じたものだ。湖から南側に溢水の古い痕跡があるが、現在は流出する川がない。

周囲には6000~7000m級の高山が連なっている。最高峰は図の左端に顔を見せる7495mのイスモイル・ソモニ峰 Ismoil Somoni Peak で、この図ではソ連時代の、コミュニズム峰 пик Коммунизма の名が記載されている。

■参考サイト
NASA Earth Observatory - Kara-Kul Structure, Tajikistan
http://www.earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=4537

1:1,000,000(×80%)
Blog_genshtab_map19

ウラジオストク Владивосток / Vladivostok
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/k-52-036.jpg
ソ連時代は軍港で閉鎖都市の一つだったが、現在は極東ロシアの玄関口として、日本との往来も盛んだ。シベリア鉄道の終着地としても知られている。日本ではかつてウラジオ(浦塩)と略したが、ロシア語のヴラディ・ヴォストークは、東方を支配する者という意味をもつ。地形図を見ると、港は、突き出た岬に守られた奥まった入江に発達している。水深もあって、天然の良港であることがわかる。

1:100,000(×80%)
Blog_genshtab_map20

カムチャツカ火山群 Volcanoes of Kamchatka
http://download.maps.vlasenko.net/smtm200/o-57-35.jpg
カムチャツカ半島には160体の火山があり、富士山のようにきれいな円錐形をした成層火山も多く見られる。中でもクリュチェフスカヤ山 Ключевская сопка / Klyuchevskaya Sopka は標高4688m(活動中のため諸説ある)と、他を圧する高さをもつ。裾野の周囲が100kmほどもあって、縮尺1:200,000でも全容が収まらない。主峰の南麓や西隣にも4000m級のピークが見られ、氷河も発達している。想像するだけでも壮観な風景だ。

■参考サイト
Global Volcanism Program - Kliuchevskoi
http://www.volcano.si.edu/world/volcano.cfm?vnum=1000-26=

1:200,000(×50%)
Blog_genshtab_map21

オンネコタン島のドーナツ湖 Doughnut Lake in Onekotan Island, Kuril
http://download.maps.vlasenko.net/smtm200/m-56-23.jpg
http://download.maps.vlasenko.net/smtm200/m-56-29.jpg
西のカルデラ、サントリーニに対して、東は、千島(クリル)列島にあるオンネコタン島(日本名 温禰古丹島、ロシア名 Онекотан / Onekotan)の南半を見てみよう。地形図を見ると、一瞬、島に穴でも開いているのではと錯覚するが、もちろんカルデラ湖だ。湖の中央西寄りに標高1324mの成層火山があり、横から見ると、洞爺湖に富士山が出現したような不思議な風景が鑑賞できる。日本領時代、湖は幽仙湖、中央の山は黒石山と呼ばれていた。島の北側にもカルデラ火山があるが、中央火口丘が成長して湖は北側に残るだけになっている。

■参考サイト
カルデラの写真 http://lkirchner.de/onekotan/onekotan/krenitsyn/krenitsyn.html

1:200,000(×50%)
Blog_genshtab_map22

(2008年5月6日改稿)

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 米軍のアジア1:250,000地形図

2008年4月 3日 (木)

旧ソ連軍作成の地形図 II

以前、ウクライナとベラルーシの地形図を閲覧するサイトを紹介したが、底なし沼とさえ形容したくなるソ連軍参謀本部地図のジャングルに筆者が足を踏み入れたのは、このサイトのリンクをたどったのがきっかけだった。

■参考サイト
ウクライナの地図 http://maps.vlasenko.net/

画面左下のリンク
Топографические карты России, Европы - несортированные (soviet military topographic maps of Russia, Europe - unsorted): 1:50,000~1:1,000,000
が各縮尺のインデクスマップへのリンクになっていて、全部で18,000 点ほどもある膨大な地形図画像にアクセスできる。しかし、実際にご覧になると実感できると思うが、広大なユーラシア大陸、さらにアフリカ大陸にまで及ぶ地図集成に対するに、このインデクスマップはあまりにも小さく、また国境以外に目印になるものがない。1:500,000程度の縮尺ならまだしも、1:50,000の1図葉を特定するのは針穴に糸を通すがごときだ。

そこで、同じ画像を閲覧できる別のサイトがある。

■参考サイト
Поехали! (Poehali!) 英語版 http://en.poehali.org/maps/

【追記 2011.12.4】
Poehali!は、2011年12月15日をもってサービスを終了する。Poehali! は vlasenko.net に比べて提供面数が多かったので、サービス休止はたいへん残念なことだ。なお、vlasenko.net(無料ダウンロード)と、mapstor.com(有料ダウンロード)は継続している。
以下の『 』内は、Poehali! の2008年当時のサイトデザインに基づく操作ガイドだ。アーカイブ代わりに残しているが、必要なければ読み飛ばしていただきたい。

Blog_genshtab_hp1

『ここではインデクスにベクトルマップが使われており、主要な都市名も記載されている。ロシア語と英語版を切り替えられるのが、非キリル文字圏の人々にとっては何よりありがたいシステムだ(地名はロシア語版のほうが多そうだが)。

使い方は画面右に書かれている。初期画面の地図はベラルーシのミンスクだが、地図は拡大縮小自在なので、スライドバーを下(マイナス)側に動かして、できるだけ広域表示にしてから、見たい地域を絞っていくといい。スライドバーを再び上へ動かすと、地図上にグリッド(方眼)が現れる。グリッドの左上隅にあるプラスまたはマイナスの記号をクリックすると、地図の右欄に閲覧可能な地形図の一覧が表示される。

地図の上欄のラジオボタンで縮尺の選択ができるので、もし右欄に Maps are not found とメッセージがでたら、小さい縮尺(分母の大きいもの)を選びなおす。たとえば西欧エリアは1:500,000が最大縮尺なので、たとえ1:100,000を選んでも地図は見つからない。また、それとは逆に、右欄に多数表示されたときは、地図上でエリアをさらに絞りこむ必要がある。スライドバーを1段階上へ動かしてから、もう一度グリッドの+-をクリックしてみる。これを繰り返して、右欄が Founded: 1 map になれば、当該グリッド全体をカバーする地図を選択できたことになる。

では、画像を表示してみよう。Download(2.70Mb)などとあるリンクをクリックすると、次画面でウェイティングサインが5秒ほど現れた後、プロテクションコード(自動サイトからのアクセスを防ぐ手入力コード)の入力を求められる。半角数字で入力すると、開くか保存するかを聞くポップアップが表示される。これに応答するとGIF形式の地図画像がダウンロードされる。ちなみに、縮尺に200kなどと使われているのは、200kilo(200×1,000)=200,000のことだ。』

Poehali! で得られる画像は vlasenko.net と同じもの(ただし vlasenko はJPEG形式、Poehali! はGIF)だが、惜しいことに左上と右下にウォーターマークが刻まれている。vlasenko.net の方はほとんどそれがないか、痕跡は残るもののマークが潰されているので、より「きれいな」画像を好むなら、Poehali! のプロテクションコード画面で表示される図番を調べて、vlasenko.net で直接ファイル名を指定するといい。
<例>
1:100,000の場合 モスクワ
http://download.maps.vlasenko.net/smtm100/n-37-004.jpg
1:50,000の場合 サンクト・ペテルブルク
http://download.maps.vlasenko.net/smtm50/o-36-001-2.jpg

vlasenko.net、Poehali! とも、1面ごとに図葉を地図で指定してダウンロード操作する必要がある。広いエリアの地形図画像をできるだけ手間をかけずに入手したいという場合は、有料サイトである mapstor.com を利用するしかない。1面当り4米ドルかかるが、国単位のセットで購入すれば割安になる。支払はクレジットカードで行うので、即座にダウンロードすることが可能だ。なお、画像は Poehali! と同じGIFファイルで、ウォーターマークも入っている。

■参考サイト
mapstor.com http://mapstor.com/

これらのサイトから提供される画像は、詳細を読取るのに不自由を感じさせない程度の鮮明さを保っているが、それでも現物には劣る。不満を解消するには、現物を所蔵している図書館等を訪問することだ。日本では、岐阜県図書館の収集が充実している。同センターはコピーの郵送サービスも行っている。

■参考サイト
岐阜県図書館 http://www.library.pref.gifu.jp/map/top.html

Blog_genshtab_index 参考までに、ソ連軍参謀本部地図の図番体系Nomenclatureを、1958年の米軍総司令部資料に基づいて説明しておこう(右画像参照)。

1:1,000,000の各図葉は極北を除いて緯度4度、経度6度のエリア(1グリッド)をカバーし、「M36」あるいは「M-36」のように付番される。Mは赤道から北へ4度ごとに区切って(アルファベットで)13番目、36は経度180度から東回りに6度ごとに区切って36番目という意味だ。

それより大縮尺の場合は、次のように付番される。
・1:500,000: 1グリッドを4等分した図郭。図番は後ろにА Б В Г(ロシア語アルファベットの最初の4文字)がつく。例:M36-В。なお、閲覧サイトではアルファベットの代わりに1,2,3,4を使用している。例:M36-В→M36-3。

・1:200,000: 1グリッドを6×6=36等分。図番は後ろにローマ数字のI~XXXVI(36)がつく。例:M36-XXXI。閲覧サイトではアラビア数字でM36-31。

・1:100,000: 1グリッドを12×12=144等分。図番は後ろに1~144がつく。例:M36-133

・1:50,000: 1:100,000の図郭を4等分。図番は1:100,000の図番の後ろにА Б В Гがつく。例:M36-133-А。アラビア数字でM36-133-1

・1:25,000: 1:50,000の図郭を4等分。例:M36-133-А-3。アラビア数字でM36-133-1-3。

なお、旧ソ連はベルヌ条約に署名しなかったため、ロシア政府が遡って主張しているものの、ソ連時代に作成された地図の著作権はあいまいなままになっている。

次回はソ連図でユーラシア大陸を散歩してみる。

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