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2008年1月 3日 (木)

香港の地形図

香港Hong Kongがイギリスの植民地だったことは記憶に新しい。1842年に香港島が当時の清朝からイギリスに割譲されたのを始まりとして、2度にわたり領域が拡張され、深圳河以南の九龍半島と周辺の島嶼を含む1072平方キロの面積(1989年現在。埋立による陸地化でその後も増加)を有していた。共産主義中国誕生後は西側諸国との窓口の役割をも担ったが、1997年7月、ついに中国に返還された。しかし、基本法により、高度な自治権を行使できる特別行政区 Special Administrative Region と定められ、中国本土とは別の行政、立法、司法権をもち、50年間は資本主義の制度・政策を維持することになった。

官製地形図もその例外ではなく、イギリス施政当時とほとんど変わらないスタイルで刊行され続けており、外国からも容易に入手できるのは嬉しいことだ。ちなみに、中国本土では地形図は機密扱いとされ、市販されているのは市街図や道路地図のような実用地図が中心だ。

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1:100,000地形図の一部
(c) 2005 Survey and Mapping Office, Hong Kong

香港の基本図といえるのは縮尺1:5,000だが、中縮尺図では16面に分割された1:20,000、東西2面に分かれた1:50,000がある。1:100,000からは1面で全土をカバーし、さらに、よりコンパクトな1:200,000、本土の広州市あたりまで図郭を拡大した1:300,000「香港與其鄰近地區 Hong Kong in Its Regional Setting」を揃えている。すべて等高線が入り、1:50,000より小縮尺の地図には地勢を表現するぼかし(陰影)が加えられて、鑑賞に堪える仕上がりだ。言語は公用語となっている中国語(繁体字)と英語の併記で、これは地名、凡例その他の説明文まで徹底している。

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1:20,000地形図 香港及九龍

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1:20,000地形図の索引図

筆者はイギリス時代の1994年に一度購入したことがあったが、そろそろ新しいものをと思い、先月改めて発注した。発行元の地政總署測繪處 Survey and Mapping Office, Lands Department のサイトではオンラインショップも案内されているが、うまくつながらないので、昔ながらのFAXによって発注した。送金は行政区政府宛、香港ドル建てという指定に従い、銀行で作った送金小切手を郵送した。郵便局の香港向け国際送金は、USドルしか取り扱わないからだ。

香港特別行政区は、島嶼部を含めると東西約60km、南北約45kmの広さがある。東京駅を香港中心部の香港島 Hong Kong Island、九龍 Kowloon あたりとすれば、東西はほぼ千葉~立川間に相当し、意外に広い。その中に各種の鉄道が時には山を貫き海を渡って四通八達しており、地図上でそれを追うのも大いなる愉しみだ。

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1:50,000地形図 図則2(東部)

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1:50,000地形図の一部
(c) 2005 Survey and Mapping Office, Hong Kong

前回入手した1992年版の1:50,000と今回の2005年版を比較すると、この間の変貌ぶりが一目瞭然となる。まず香港の空の玄関は1998年に、市街の懐ろに突っ込む形の啓徳(カイタック)空港 Kai Tak Airport から、西部のランタオ島 Lantau Island(中国語では大嶼山)の沖合いを埋め立てた新空港に引き継がれた。2005年版では旧空港の滑走路やターミナルビルは残っているが、滑走路の先端に描かれているのはゴルフ場だ。新空港と九龍・香港島を結ぶ連絡鉄道と快速公路(高速道路)の道程には、新名所となったディズニーランド、本土へ渡る全長2160mの青馬大橋、青衣から九龍西にかけての大規模な埋立地が出現している。鉄道と道路はヴィクトリアハーバー Victoria Harbour に各3本目の海底トンネルを追加して、香港島に達する。

北に眼を向けると、九廣鉄路(2007年12月から香港鉄路が運営)の大圍駅で分岐してニュータウンへの足となる馬鞍山線が完成し、上水駅で分岐して落馬洲へ行く支線が建設中とされている。後者は2007年8月に開業して、川向こうの広東省深圳Shenzhenをつなぐ2つ目の連絡路となった。一方、新界西部の元朗 Yuen Long、屯門 Tuen Mun は山向こうの飛び地のような印象の土地だったが、2003年12月に九廣西鉄 West Rail が長大トンネルを伴って開通し、一気に都心と結ばれている。この近辺には20年ほど前からLRTが導入されていたが、新旧の地図を照合すると天水圍方面などにさらに路線の延長が図られているようだ。

わずか10数年でこの変わりようは凄まじいばかりだ。そういえば、地形図そのものも配色は同じだが、全体にトーンが濃くなって、エネルギッシュなイメージが押し出されているように感じる。次の10数年後には、地図はどんな姿を見せているのだろうか。

■参考サイト
地政總署測繪處 http://www.landsd.gov.hk/
官製1:300,000、1:200,000については、最新版をJPEGファイルで無償提供している。
http://www.landsd.gov.hk/mapping/en/download/maps.htm
また、以下のサイトに香港の官製地図に関する情報をまとめている。
「官製地図を求めて-香港」 http://homepage3.nifty.com/homipage/map/map_hongkong.html

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