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2008年1月24日 (木)

立山黒部アルペンルートを行く II

立山トロリーバス 室堂→大観峰

室堂ターミナルでは少し時間をとって、外に出た。空気はきりっと冷たいけれども、風が弱くて日差しは暖かい。空は澄み雲は高く、立山連峰が目の前に銀白のみごとな大屏風となって展開する。雪が地面をすっかり覆っているが深く積もってはいない。遊歩道の路面はいったん融けたのがまた凍ったのか、磨いたように光っている。地獄谷あたりまで散策しようと軽い気持ちでウォーキングシューズを履いてきた筆者は、足もとがつるつる滑るのを必死でこらえながら、みくりヶ池の縁までたどり着くのがやっとだった(写真下)。

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室堂にて
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みくりヶ池から立山連峰を望む

■参考サイト
室堂付近の1:25,000地形図
http://maps.gsi.go.jp/#15/36.576900/137.596400

室堂ターミナルビルの地下からは、トロリーバスで立山雄山の直下を抜けて、黒部川峡谷の中腹に出る。トロリーバスは無軌条電車(レールのない電車)ともいうように、架線から電気を取り込んで動力とするバスだ。日本では1960年代まで各地に存在したが、72年の横浜市営の運行廃止で都市交通の舞台からは完全に姿を消し、以後は関電トンネルを走るものが唯一になった。これから抜ける立山トンネルは1971年に開通したが、当初はディーゼルエンジンのバスが運行されていた。しかし、1996年にトロリーバスに転換されて、トンネルにこもる排ガスの匂いを解消した。

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立山トロリーバスに乗る

立山黒部貫光の事業案内によると、バスは73人乗り、最大8両を続行運転する。運行距離3.7km、所要時間10分。起終点間の高低差を134mとしているが、室堂の標高を2450mとして計算したもので、地形図を見ると、これは東500mの室堂山荘が建つ地点の数値だ。ターミナルビルの三角点標高は2432.6mになっている。勾配は最急5.0%、平均3.6%というから、東に向かってかなりの下り坂となっているのだ。

10時30分発の臨時便に乗車した。この時点でアルペンルートの中間点を通過する人はまだ多くないと見えて、4台が縦列になったトロリーバスはいずれも着席定員内だった。トンネルは単線で、中間地点に対向場所がある。窓外に眼を凝らしていると、破砕帯と書かれた標識を通過した。しばらく行くと進行方向に光が見え、出口と思わせるが、直前に左へ大きく曲がってさらにトンネルが続く。この「偽出口」は立山を貫通した地点で、雷殿駅といって以前は客扱いもしていたが、接続する東一ノ越への登山道が崩壊して以来、使用中止となっているのだそうだ。しばらく進み、再び右に急カーブ(終端ループの一部)する地点が大観峰のターミナルだった。

立山ロープウェイ 大観峰→黒部平

立山雄山東尾根の斜面にある大観峰駅では、黒部川の峡谷と後立山連峰のパノラマが広がる(写真下)。バスを降りて階段を上るとテラスがあり、ここで人々の足が止まる。さらに施設の屋上に展望台もあるそうだが、ここは写真だけ撮って足早にロープウェー乗り場へ向かった。単位時間当たりの輸送力が小さいボトルネックで、待ち時間が長いと聞いていたからだ。

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立山ロープウェイと黒部湖

行列は二手に分けられ、到着した箱に左右両側から詰め込まれる。押し寄せる客をさばくために、乗り込む時間を節約する策だろう。箱は81人乗りで、運転時分は7分、延長(斜長)1710m、高低差488m。この間に支柱はなく、ワンスパンで500m近い高さを一気に降りていく。

10時50分発。運良く最前部に張りつけたので、出発時のヒューンと下方に引っ張られるエレベーター感覚と視覚が合致して、迫力満点だ。うたい文句は、360度の大パノラマが楽しめる「動く展望台」だそうだ。ロープウェーはたいてい動く展望台を売りにしているものだが、前方後方ともに間近にアルプスの雄姿が見られるという点では、他と一線を画している。オレンジの絨毯の行く手に黒部平駅の建物がじわり接近すると、時間を忘れる空中遊覧も終わりだ。

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大観峰を振り返る

ここまで比較的スムーズに来て、時間に余裕が出てきたので、立山の展望を脳裏に刻み込みたいと思い、屋上への階段に足を向けた。確かに、大観峰で時間をかける必要はなかった。筆者が見たところ、黒部平が一番の展望台だ。この地点の標高は1828mで、ロープウェーでかなり下りてきたとはいえ、黒部ダムからはまだ500m近い高さがある。しかも黒部峡谷に突き出した尾根の先端なので、ここも十分に360度パノラマなのだ。

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黒部平より立山連峰を望む

西側には立山連峰が振り仰ぐ高さに雪を冠し、中腹は一面、黄と赤と緑のコンビネーションに彩られている。さっきいたばかりの大観峰のターミナルビルが唯一目立つ人工物で、折り返しのロープウェーが上っていくところだ(写真上)。東側を振り返ると、正面には針ノ木岳から鳴沢岳へと続く後立山の峰々が並び立つ。左遠方に軽やかな羽を広げるように鹿島槍ヶ岳が浮かび、右手はるか峡谷の奥にはどっしりと赤牛岳が構えている。眼下はミントグリーンの湖水を静かにたたえた黒部湖だ。ビルの前にはちょっとした広場も整備されて、訪問者は思い思いのアングルで記念写真に収まっていた。

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東側を限る後立山の峰々
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鹿島槍ヶ岳遠望

黒部ダムへは次回

■参考サイト
立山黒部アルペンルート http://www.alpen-route.com/

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