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2007年4月26日 (木)

チャンネル諸島の鉄道

Blog_jersey_railway ジャージー島の地形図を眺めていたら、首都サンテリエ St.Helier(英語読みはセントヘリア)から東に伸びる一条の線に目が止まった。道路ではないが、地籍界が直線的に断続し、その先でコンパスでなぞったような正確なカーブを描いている。明らかに鉄道の廃線跡だ。たどっていくと、島の南東端ラ・ロック La Rocque で北に転じ、河岸段丘が行く手を阻むゴレイ Gorey の村まで続いているようだ。
これは1873年に開通したジャージー東部鉄道 Jersey Eastern Railway の跡だ。サンテリエ~ゴレイ間6マイル(9.7km)を走る標準軌の路線だったが、会社がバス事業に乗り出して失敗したあおりを受けて1929年に廃止されている。

サンテリエから西方へはサイクリング道が、遠浅の海岸沿いに小さな港町サントーバンSt. Aubinまで伸びる。さらに町の裏から谷を分け入り、台地の上を島の南西端ラ・コルビエールLa Corbièreまで続いている。

これは東部鉄道とは別会社の、ジャージー鉄道 Jersey Railway の路盤だ。1870年にサントーバンまで開通した当時は標準軌だったが、1884年、採石運搬用として建設中に倒産した軌間3フィート6インチ(1067mm)のサントーバン・ラ・モワ鉄道 St. Aubin & La Moye Railway を引き継いだとき、同じ軌間に改修された。1885年に両線の接続が完成して、延長は12.5kmとなった。1936年まで残っていたが、サントーバン駅の火災で車両を焼失したのを機に廃止となった。廃線跡は地図上に「推奨自然歩道 Recommended Walk」の表示があるとおり、砂浜、港、短いトンネルを抜けて緑の谷、そして岬の突端へと、進むにつれて景色が変化する魅力的なルートのようだ。

Blog_alderney_railway こうしてジャージー島の鉄道はすべて過去の記憶となったが、面積では3番目の島、オルダニー Alderney には現役の鉄道が存在する。その名もオルダニー鉄道 Alderney Railway は、1847年という比較的早い時期に開通した、由緒ある標準軌鉄道だ。ブレイ湾 Braye Bay の防波堤を造るために、島の東端にある石切り場との間に敷かれ、その後も港へ石材を運ぶために使われていた。ずっと貨物専用だったが、1980年3月に観光客向けの旅客営業を始めて今に至る。

前回紹介した地形図にも当然描かれている。線路は、1/2マイル(800m)も続く長い防波堤 Breakwater の突端を始点として、島の中心にある唯一の集落サンタンヌ(セントアン) St.Anne には見向きもせずに、東の方向へ延びる。東海岸は大陸に面しているので防御用の古い砦が点在しているのだが、内陸側は長年の採掘で地形がすっかり変貌してしまっている。鉄道記号はその中に突っ込む形で終わる。

現在、観光列車が運行されているのは、港(ブレイロード Braye Road 駅)からマネ石切り場 Mannez Quarry まで約2マイル(3.2km)の区間で、片道の所要時間は15分。イースターから9月の終わりまでの毎週末、小さな島には不釣合いな広いゲージの上を、ずんぐりしたロンドンの地下鉄車両が小型ディーゼル機関車に牽かれていく。マン島にも負けないたいへんユニークな鉄道風景だ。

■参考サイト
ジャージー東部鉄道の資料 http://www.jeron.je/Local/RAIlwaysEastIllus.htm
ジャージー鉄道の資料 http://www.jeron.je/Local/RAIlwaysWestIllus.htm
オルダニー鉄道公式サイト http://www.alderneyrailway.com/
同鉄道の写真(ファンサイト) http://www.sbrobinson.pwp.blueyonder.co.uk/Alderney.html

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コメント

はじめまして。
地図と鉄道が好きなので、ちょくちょくオジャマしています。
ところで、オルダニーの鉄道なんですが、突堤の先の点線は連絡船ですか?

コメントありがとうございます。
オルダニー島の地図で突堤の先が点線になっている件ですが、
ここは遠浅の湾で、周辺海域は干満の差が激しいことで知られています。港にするには、水深を十分確保できる地点まで防波堤を延ばす必要がありました。防波堤の先端まで荷役用のレールが敷かれていて、地図の点線はその様子を表しています。

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