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2006年6月15日 (木)

ウクライナの1:100,000地形図

Blog_ukraine今回は黒海の北側に位置するウクライナの地形図を見よう。同国は1991年のソ連崩壊まで連邦を構成する一共和国だったので、地形図も当然、純ソ連仕様だ。キエフ軍用地図製作会社 Киевская военно-картографическая фабрика が、官製地形図を集成した一般向けシリーズを刊行している。右写真は1:100,000地形図 Топографическая Карта で、首都キエフが含まれる図葉だ。表紙は全国の索引図になっていて、図葉名は左肩に斜めの帯で記されている。

索引図の拡大写真を下に掲げる。格子の中のオレンジに塗られた区画がこの図葉(キエフ及びヴァシリコウ Киев, Васильков)で、黄色は2003年10月現在で刊行済み、白は未刊行の図葉だ。以前紹介したポーランドの観光地図と同じように、1:100,000官製地形図を横に2枚貼り合わせた極端に横長の図郭になっていて、さらに裏面に隣接図郭が印刷されている。すなわち、表が64番キエフ図葉、裏が79番ヴァシリコウ図葉で、索引図の縦2段の番号表記もそのことを表している。結局、本来4枚分の地形図を1枚に集成するという、いかめしい名前をもつ会社の製品にしては何ともお徳用の造りになっているのだ。

Blog_ukraine_indexmap 内容は、軍用の数値情報こそきれいに削除されているが、20m間隔の等高線が入り、行政区画、交通網、水部、植生などが記載された6色刷りの、精度の高い地形図だ。詳細な凡例もついている。1:100,000の縮尺であれば、土地の形状や道路、鉄道、市街地の状況もリアルに把握できるし、ウクライナ全土をカバーしているというのも利用価値がある。

キエフ図葉を眺めてみると、このあたりはドニエプル川の中流域を占める広大な低地の南端で、さらに南下すると右岸(西側)は比高90mにもなる台地の崖となっている。キエフの旧市街は川の西側に築かれたが、その後市街地が川を越えて東側にも拡大したため、鉄道(地下鉄1号線)が主要道に沿って一直線に新市街へ伸びている。この縮尺では地下式鉄道は描かれないのだが、川から東では電車が地上に顔を出しているのだ。

キエフの図上表記は Киев(キーイェフ)、国土を貫いて流れるドニエプル川の表記も Днепр(ドニェープル)とロシア語綴りになっている。ウクライナ語ではそれぞれ Київ(キイフ)、Дніпро(ドニプロー)となるそうだから、ソ連時代の図版がそのまま使われていることがわかる。この地図の現地での販売状況はよく知らないが、ヨーロッパの地図通販サイト(例えばドイツのMapFox.de)などで扱っているので、容易に入手可能だ。

ビートルズがウクライナの女の子達 Ukraine girls に圧倒されると歌っていた頃は、この国を図上旅行することなど夢のまた夢だったはずだが、いまや、クリミヤ半島南岸のリゾートであろうが、カルパチア山脈を越える鉄道の軌跡であろうが、自由に見ることができる。それもまた夢のようだ。

■参考サイト
キエフ軍用地図製作会社 http://www.kvkf.org.ua/
本ブログ「ウクライナとベラルーシの地形図閲覧」
http://homipage.cocolog-nifty.com/map/2008/03/post_5a83.html
 このシリーズをはじめ、ウクライナの旧ソ連時代の地形図が閲覧できるサイトを紹介している。

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