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2006年5月26日 (金)

チェコの旅行地図 II

Blog_ceskoatlas_1SHOCart社はチェコ東部の小さな町ヴィゾヴィチェ Vizovice に本拠を置く地図出版社。看板商品である観光地図 Turistická Mapa は、官製地形図のデータを使いながら、独自の味付けを施しているので全くのオリジナル作品のように見える。

道路網や地名をくっきり縁取りして目立たせる代わり、市街地はトーンを落として錯雑感を弱める。地勢表現にはぼかしを加えて立体感を出す。ハイキングルートは縁取りなしのカラフルな線で一目で分かるように表現する、といったように、よく考えられた大胆なデザインだ。等高線は補助曲線を含めてもとのまま使用しているので、地形図の機能も失ってはいない。同じ観光地図シリーズでも、地形図を素のまま使っているKČT(2006年3月23日の項で紹介、下記リンク参照)との違いは顕著だ。KČTが普段着なら、SHOCartのほうは、きりっとしたスーツ姿か。

同社の区分図はチェコ全土を72枚でカバーしているが、それを1冊に仕立てた地図帳も作られている(写真)。チェコ共和国の面積は約79,000平方キロで日本の5分の1程度の広さ。しかしこれを縮尺1:50,000で表現すると、A4判の地図が627ページ、地名索引30ページというボリュームになる。かくして厚さが5.5cmもある電話帳並みの旅行地図帳が出来上がった。とうてい旅行に持っていける代物ではないが、各ページは4穴のバインダに綴じてあるだけなので、着脱自由。行き先の分だけはずして手軽に携帯できるところがミソだ。

区分図1枚の価格はオンラインショップの割引で71Kč(チェコ・コルナ)、日本円で約350円。全国集めると25,200円かかる計算だが、対する地図帳は1,199Kč、日本円で約6,000円と容易に手が届く価格だ。同社では、地図帳と同じ体裁の「チェコ旅行百科 Turistický lexicon Česko」「チェコ・ウォーターマンズ・ガイドブック Vodácký průvodce Česko(カヌー、ボート等の愛好家のためのガイド)」を3点セットで売り出している。チェコ語が読めさえすれば、これで国内旅行は鬼に金棒となるところだが...

■参考サイト
SHOCart http://www.shocart.cz/
本ブログ「チェコの観光地図」
http://homipage.cocolog-nifty.com/map/2006/03/post_ee59.html

2006年5月19日 (金)

ポーランドの1:100,000旅行地図

Blog_poland100k ドイツの地図通販店 MapFox.de から取り寄せた地図を紹介するシリーズの第2弾は、ポーランドの旅行地図。1:100,000官製地形図に観光情報を加刷したもので、WZKart (Wojskowe Zakłady Kartograficzne) が発行している。

■参考サイト
MapFox.de http://www.mapfox.net/
紹介した地形図の索引図は、左メニューのPolen > Polen: Amtliche topografische Landkarten 1:100.000
WZKart http://www.wzkart.pl/ 関連記事は少ない

この旅行地図シリーズの一部は下記サイトで画像提供されている。
http://www.lemko.org/maps100/

もとの地形図の図郭は、旧共産圏で共通化された経度30'×緯度20'だが、これを横に2枚貼り合わせて1°×20'の横長図郭にしてある。ベースの官製図の上に、観光施設や公園・自然保護区域、ハイキングルートなどが記号で示されている。7色刷り(ブラック、グレー、ブラウン、ブルー、レッド、アップルグリーン、パープル)なので多彩な地図を想像するが、全体の印象は意外に地味。線画が中心で、ぼかしや段彩など絵画的な要素に乏しいのが原因だ。平野部は描写対象が分散しているのでまだしも、山地は等高線と公園域の網目がかぶって、ごちゃごちゃしている。とはいえ、ポーランドの地形図で外国向けに売られているのはこれと1:50,000の区分図ぐらいなので、あまり文句は言えない。

写真はシリーズの1枚で、ポーランド南西部、チェコとの国境付近を描いた図。このあたりは第2次大戦まではドイツ領で、ニーダー・シュレジエン Niederschlesien(低シレジア)地方と呼ばれていた。図名となっているイェレニャ・グラ Jelenia Góra は、ドイツの測量局BKGが発行する当時の復刻図ではヒルシュベルク Hirschberg と注記されている。チェコとの国境を限るのは1509mの主峰を擁するカルコノチェ Karkonosze 山地だが、これも筆者には、ドイツ語のリーゼン・ゲビルゲ Riesengebirge のほうが馴染みがある。というのも、象徴主義の画家、フリードリヒがこの山の風景をよく描いているからだ。キャンバスの中のリーゼン山地は、なだらかな山容が幾重にも連なり、はるか遠く朝もやの、あるいは夕映えの空に溶けている。暗く神秘的な作風で知られる画家だが、この山を描くときは穏やかな希望が感じられる。実際はどんな場所なのか、一度この目で確かめてみたいものだ。

ついでながら鉄道ファンとしては、西隣のイーゼル・ゲビルゲIselgebirgeとの間の鞍部を越えてイェレニャ・グラとチェコのリベレツ Liberec を結ぶ鉄道の、極端な蛇行ルートに興味を引かれる。しかし残念なことに、今は運行休止になっているようで、趣味の両立は果たせそうにない。

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